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ブルートアウス ~意思と表象としての神話の世界~  作者: 雅号丸
第六章 蒼之肉叢

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六話 エペソ学院へ

六話 エペソ学院へ


整備を終えて数分、志願兵数人とリンデ一行は、機関車の貨物車の前で整列した。シャノンがムタリカを連れて歩いてくる。


「諸君、よくぞ意向を示してくれた……その心臓、みなで守り、みなで使い、共に国を、あの穢らわしい怪物たちから救おうではないか。この作戦は国家救命のための第一段階に過ぎない。だがはじめ一歩を渋っていては、成功か失敗か、すなわち結果は出ないであろう。


成功の秘訣は、まず一歩、歩み、結果を積むことだ。だが貴様らの死体は積むな、積むとしたら敵だ、死神だ、蒼騎士どもだ。


命を賭けた諸君らの勇姿、しかとこの目に焼き付けよう。作戦室概要はこうだ。機関車に乗車後、エペソ学院へ向かい、糧食および、腐葉土など、植生に関するものを回収。続いて北上しサルディス工廠にて武器・弾薬を回収する。


利益を最大限確保するため、確地点で別動隊を編成し、同地点に存在するであろう機関車を利用、あるいは徒歩による港への帰還を行ってもらう。別動隊に削く人員が足りなくなった時点で、本作戦は撤退準備に入る。命を賭けてもらったところ悪いが、どうか死なないで欲しい。質問はあるか」


リンデが手を上げる。


「各地点の道中における障害を確認したいです」

「魔天教の存在は無視できないと言っておこう。それ以外はまったくといって良いほど分からない。ここからエペソ学院までの進路上だけは、瓦礫やバリケードなどの障害がないことは、私とムタリカによる斥候でなんとか確認できた。だがエペソ学院からサルディス工廠までの道は、線路があるかどうかも分からない。他はあるか?」


兵士たちは、意気揚々の表情をしている。


(すでに興奮状態になっているものが何人かいるな。兵士を鼓舞させて、冷静でなくなった者を優先的に別動隊にし、結果的に少数精鋭の部隊にしてペルガモに乗り込む。ムタリカの案は素晴らしいな、ん?)


リンデ、ノイ、フアンの、微々とも高揚しない様相がシュノンの目に入る。


(西陸で何があったらそんな顔になれる?彼らは、やはり大きなものを背負っているのだろう。部隊編成は決まったな)


シュノンはムタリカに渡された杖を地面に突き立てる。


「作戦開始、みな乗り込め!!」


兵士たちの返事は大きく、ただ一言だった。


「Yes,lord!!!」


リンデ、ノイ、フアン、シュノンは機関車の先頭に乗車する。兵士たちは貨物車の乗り込んでいく。緑色に塗装された機関車はギムレーのものよりやや大きく見えたる。リンデが操縦席に座る。配管という配管が血管のように張り巡らされ、あらゆる取っ手が何本もある。ノイとフアンが石炭を炉に入れていくなか。シュノンが指リンデに声をかけ、を指していく。


「バルブ、レバー、ペダル、ボタン、ハンドル。装置だけでもこれだけ名称があります。本当に……」

「大丈夫、整備しながらだいたいは掴めた」

「……国の問題が解決したら、飛び級でエペソ学院に入学しないかい?」


リンデはガラスと鉄板で補強された窓から外を見る。操縦席の、レバーを押したり引いたりを繰り返す。


「……たぶん、私じゃないけど、大丈夫?」

「えぇ、何を言って」


ノイがうつむいた瞬間、機関車は駆動を開始した。シャノンは舌をかんで、痛がる。


「……うぅ、しまった」


「あぁ、ごめん。操作から反応までこんなに早いなんて……いい性能してるわね」

「グレイテスト・ノーザンC5形蒸気機関車。ミルワードの代表的機関車。一時間で62マイル(100km)の驚異的な速度です」

「今30マイル……へぇ、じゃああのとき90マイルくらい出てたのかな」

「あのとき?」

「リヴァイアサンと戦ったとき、爆弾みたいな助燃材で強引に加速させたのよ。凄い燃料だったのね、アレ……」

「えっと……操縦、変わります?」

「いや、そこまで出さないわよ!」


シャノンが汽笛を鳴らすと、駅から線路を塞いでいたバリケードが撤廃されていき、あっという間に視界が開ける。奥から、ノロノロの大群で死体が線路上にも動いている。


「あれ、引いちゃっても大丈夫?」

「ご自由にどうぞ、車体は重く、安定してますから」


機関車の駆動音のなか大声で会話しながら、エペソ学院へ向けて、リンデたちは出発した。

2025年6月3日時点で、997,634字、完結まで書きあげてあります。添削・推考含めてまだまだ完成には程遠いですが、出来上がり次第順次投稿していきます。何卒お付き合い下さい。

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