時期はずれのサービス残業
完全に時期はずれだ。
まさかこんな時間外労働させられるとは思ってもみなかった。しかもサービス残業だ。
両腕で体を抱えるようにして、俺は夜の星のもとに出た。
「寒・・・」
いつもならぼやきまくるところだろうが、今日の俺の顔はたぶんだらしなく緩んでいるんだろう。
こんな残業なら、たまにゃいい。
☆ ☆ ☆
明日が、ありますように・・・。
「もう休まないと。体によくないわよ。」
お母さんの声に、少女は小さくうなずいてキーボードをベッドの脇に置いた。
モニターは少女の顔の正面にくるようにベッドに取り付けられている。お母さんはそれをスリープにして少女のベッドを操作した。ベッドがゆっくりと倒れて、少女の上体が水平になる。
少女はお母さんをちらっと見て、少し微笑んだ。
そう。ちゃんと休まなきゃ。
そうして少しでも長く生きられれば、その方がたくさん物語を書いていられるもの。
この胸の中にあるいっぱいの物語を、少しでもたくさん書きたいから・・・。
少女はそっと目を閉じた。
神様。
ちゃんと明日がありますように。
もう少しだけ、生きていられますように・・・。
☆ ☆ ☆
俺はCEOのたっての依頼で、今ここにいる。
新米のバカの尻拭いで再配達だ。
でも俺は今日はぼやかない。気分がいい。こんなものを配達できるなんて。
赤い制服がこれほど誇らしいと思ったのも久しぶりだ。
思わず顔がにまにましちまう。
見えないからって新米が配り忘れて戻ってきちまったそれを、俺は袋から取り出してたくさんの管につながれた少女の胸の上にそっと置いた。
時期はずれのクリスマスプレゼントだ。
それを取り込んだ少女の胸は今、静かに上下している。その寝顔に俺はそっとささやきかけた。
「神様からの特別プレゼントだ。成長して、大きくなって、たくさんの素敵な物語を子どもたちに届ける人になるんだぞ。」
『クリスマスのぼやき』の続編みたいなお話でした。
早朝、夢うつつの中で突然降ってきて、寝不足の頭で30分ほどで書き上げたものです。
ほんとは今日は休みだからもう一回寝ようと思ってたのに、突発的に用事ができてしまいました。
事故らないように行ってきます。。(*´Д`*)
よくわかんなかったような感想が来てたので、少しだけ加筆しました。