表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

時期はずれのサービス残業

作者: Aju

 完全に時期はずれだ。

 まさかこんな時間外労働させられるとは思ってもみなかった。しかもサービス残業だ。

 両腕で体を抱えるようにして、俺は夜の星のもとに出た。

「寒・・・」

 いつもならぼやきまくるところだろうが、今日の俺の顔はたぶんだらしなく緩んでいるんだろう。

 こんな残業なら、たまにゃいい。


   ☆   ☆   ☆


 明日が、ありますように・・・。


「もう休まないと。体によくないわよ。」

 お母さんの声に、少女は小さくうなずいてキーボードをベッドの脇に置いた。

 モニターは少女の顔の正面にくるようにベッドに取り付けられている。お母さんはそれをスリープにして少女のベッドを操作した。ベッドがゆっくりと倒れて、少女の上体が水平になる。

 少女はお母さんをちらっと見て、少し微笑んだ。


 そう。ちゃんと休まなきゃ。

 そうして少しでも長く生きられれば、その方がたくさん物語を書いていられるもの。

 この胸の中にあるいっぱいの物語を、少しでもたくさん書きたいから・・・。


 少女はそっと目を閉じた。


 神様。

 ちゃんと明日がありますように。

 もう少しだけ、生きていられますように・・・。


   ☆   ☆   ☆


 俺はCEOのたっての依頼で、今ここにいる。

 新米のバカの尻拭いで再配達だ。

 でも俺は今日はぼやかない。気分がいい。こんなものを配達できるなんて。

 赤い制服がこれほど誇らしいと思ったのも久しぶりだ。

 思わず顔がにまにましちまう。


 見えないからって新米が配り忘れて戻ってきちまったそれを、俺は袋から取り出してたくさんの管につながれた少女の胸の上にそっと置いた。

 時期はずれのクリスマスプレゼントだ。

 それを取り込んだ少女の胸は今、静かに上下している。その寝顔に俺はそっとささやきかけた。


「神様からの特別プレゼントだ。成長して、大きくなって、たくさんの素敵な物語を子どもたちに届ける人になるんだぞ。」




『クリスマスのぼやき』の続編みたいなお話でした。

早朝、夢うつつの中で突然降ってきて、寝不足の頭で30分ほどで書き上げたものです。

ほんとは今日は休みだからもう一回寝ようと思ってたのに、突発的に用事ができてしまいました。

事故らないように行ってきます。。(*´Д`*)


よくわかんなかったような感想が来てたので、少しだけ加筆しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読み進めていくうちに、サビ残で頑張っている視点人物の職種が分かって「成程」と膝を叩きました。 配達業務は多忙で大変であると思いますが、その分だけ遣り甲斐もあるでしょうね。
神様じゃなくて君がプレゼントをあげたと言わなきゃ 神様か君にプレゼントをあげられない
このプレゼントは……寿命とか生命力的なものなんですかね? 新人が『見えない』って言ってますから、形のないもののような気がしました! 違うかな……(^◇^;)? 誰かにためになる仕事をしてるって実感は…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ