現れた両親によって、領地に強引に連れて帰られました
それからが大変だった。
魔王を消滅させたところで、ほっと一息ついた時に、アド達の大軍が到着したのだ。
アドは先頭で走ってきてくれた。
「フラン、大丈夫か!」
そう叫んで私に抱きつこうとしたところで、横から走ってきたお父様に弾き飛ばされていた……
そう、来なくて良いのに、このタイミングで両親まで来てしまったのだ。
「フラン、大丈夫だったか!」
思いっきり抱きついてきた、父を私はさっと躱したのだ。
お父様はそのまま壁に激突していたけれど。
「おまえ、魔王に変なことされなかったか? 父さんは心配で、心配で夜も眠らずに飛んできたんだぞ。なのに、何故俺から、逃げるのだ」
そう言って飛びかかってくる父から再び逃げる。
だって、お父様にまともに抱きつかれたら苦しくて、死んでしまう。前に一度真面目な話、死にそうになったのだ。それからはこういう時は、躱すようにしていた。
何しろお父様は馬鹿力なのだ。
「フラン、あなた、私がつけるように言ってあった、魔封じの腕輪を外したんですって。
どういうことなの?」
その父を横に弾き飛ばして今度は母が来たんだけど。
こいつが一番面倒だ。
「だって、お母様。相手は魔王だって言ってたから……」
「魔王だろうと女神だろうと関係ないわ。あなたはこの母がそんな雑魚と対戦しても、余裕で勝てるように教育してきたのよ。それをなんなの! そんな雑魚相手に全力で戦うなんて、恥を知りなさい」
なんか、母が言っているんだけど……
母は基本的にスパルタなのだ。でも、私はまだ6歳なんだけど……
「お母様。基本的に魔王は全人類の敵で、対戦する時はすべての国が協力して戦うのでは無いのですか? 私は学園長先生からその様に習いましたが……」
だから私は全力を出してよかったと言いたかったのに……
「何をふざけたことを言っているのよ。それは能力のない奴が戦う時でしょう。あなたはお父様からこの国の象徴宝剣エクスカリバーをも与えられているのよ。本来、その剣一本で魔王には勝てるはず。初代様はそうされたのよ。それがなんなのよ、あなたはこの母からも莫大な魔力を引き継いでいるでしょう。あなたが全力出せば可哀想に魔王なんて一撃だったわよね」
なんで魔王が可哀想なのか良く判らなかったけれど。
それ言うならばお父様とお母様の二人にサンドバッグされた時がそうだったかもしれないけれど、少なくとも私は一対一で魔王と戦ったのだ。決して卑怯な手を使ったわけではない!
なのに、本当に母は煩いんだけど。
「まあ、アンナ殿。フランはまだ、6歳なのだ。6歳の子にそれ以上を求めるのは流石に酷いのではないか」
アドが横から話してくれたのだ。
「はああああ! 殿下は何を仰るのですか? フランは私とテオドールの娘なのです。魔王なんて雑魚に手こずって良い訳はないのです。
一撃で倒せるだけの力があるのですから。
そもそも、殿下が将来のお后にどうしてもほしいと言われるから、このような所にわざわざ来させたのです。なのに、王宮には魔王の手先はいるわ、近衛も魔王の手先となっているとはどういうことなのですか? そんなぬるま湯に浸かっているからこのような軟弱な思考になるのです。フランは領地に連れて帰って一から修行させます」
「えっ、いや、アンナ殿。フランは私の将来の妃として婚約を認めていただけのでは」
「はあ? そう言う事は下々の者を全員納得させてからお話しいただけますか? 婚約させてほしいと言われるから少し考えたら、いつの間にか選考会に逆戻っていたとか。洒落にもなんにもなっておりませんわ」
「いや、そこは、本当に申し訳ない。今、鋭意詰めているところだ」
「ま、そう言う事は詰めきってから仰っていただきますか。フラン、帰るわよ」
私はお母様に手を掴まれたのだ。
「えっ、でも、皆にお別れを」
「そんな暇もないわ。一から訓練のやり直しです。良いわね」
「フラン!」
アドの驚いた顔が見えたときには私は強引な母によって強制的に転移させられたのだった。
ここまで読んで頂いて有難うございます。明朝完結予定です。
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