絶体絶命のピンチの時に空の彼方から宝剣が飛んできました
げっ、失敗した。やっぱり腐っても魔王は魔王だ。
そもそもお父様とお母様はそれぞれ元々魔王並みの化け物なのだ。
いや、言わせてもらえればお母様は魔王以上の化け物なのだ。
それが二人がかりでかかってこられれば魔王もサンドバックにされよう。
私は魔王には少しは同情した。
でも、私はお母様は愚かお父様にも勝てた試しはなかった。それが魔王と一対一で戦っても勝てる気がしないんだけど……
それでも、私は武のルブランを背負っているのだ。負ける訳にはいかない。
「どうした小娘。でかい口を叩いた割には大したことはないではないか」
魔王が余裕を持って笑いやがったのだ。
さすがの私もムッとした。
「燃えちゃえ!」
私は渾身の力を振るって爆裂魔法を放ったのだ。
私の必殺技だ。これで燃えないものは今まで無かった。
しかし、魔王はその炎にあっという間に包まれた。
しかしだ、魔王は熱さに泣き叫ぶわけもなく、平然としているのだ。
「ふんっ、小娘、それが貴様の全開か?」
余裕で魔王は笑ってくれたのだ。
燃えながら……
魔王にとって炎の魔術は効かないみたいだ。
「凍れ!」
私は不得意だが今度は氷の魔術を繰り出したのだ。炎でダメなら凍らせれば良いのだ。
パリ、
魔王の一部が凍った。
「ふん、小娘、少しはやるな」
でもまだ、魔王は笑っていた。
「えい、やっと」魔王はそう言うと、体を動かした。
パリンっ
氷が簡単にくだけ散ったのだ。
「凍れ!」
パリっ
「ふんっ」
パリンっ
「凍れ!」
パリっ
「ふん」
パリンっ
「凍れ!」
パリっ
「ふん」
パリンっ
私が必死にやっても、簡単に魔王はその氷を砕いてくれた。
私ははあはあ息を荒げていた。
「小娘、では今度は私から行くぞ」
魔王はそう叫ぶと塊が伸びて、私に迫る。私は必死に障壁で防いだ。
パリンっ
しかし、障壁は一瞬で砕け散った。
私はその塊を避ける。
しかし、次々に魔王は攻撃を仕掛けてきたのだ。
私は防戦一方になった。避けても避けても触手のような塊が飛んでくるのだ。
このままじゃヤバイんじゃないのか。
さすがの私も、危機感を感じた時だ。
「ふふふふ、どうした? もう終わりか?」
魔王は笠に着て更に攻撃してきたのだ。
防ぎきれずに私はその塊に直撃されて、弾き飛ばされた。
地面に叩きつけられる。
私は慌てて跳ね起きたがそこにまた塊が襲ってくる。
ダンっ
私はまたはじきとばされた。
そして壁に叩きつけられる。
起き上がって、また、叩きつけられた。
「おのれ、化け物!」
その隙をついて、私の騎士のエリクが斬りかかってくれた。
が、エリクは手前で、障壁に阻まれる。
「ふんっ、雑魚は引っ込んでいろ!」
魔王はそう叫ぶと、エリクを弾き飛ばした。
エリクは壁に叩きつけられたのだ。
そして、ピクピク動いているが、それ以上は動けないみたいだ。
「このやろう!」 私は雷撃を魔王に浴びせた。
しかし、多少はしびれるみたいだが、魔王の体液のような液体に防がれる。
「げっ、何このぬるぬるしているものは」
私は悲鳴を上げた。
グチャ、グチャ
触手が、地面に激突する度に、そこに体液のようなものが残る。
歩きにくいこと、この上無かった。
しかし、次々に魔王はその攻撃を繰り出してくる。
「しまった!」
私は避けようとして、そのぐちゃぐちゃの粘液に足が取られてしまった。
盛大に転けてしまって、その私の足を気持ち悪い粘液もろとも触手が掴んでくれたのだ。
「凍れ!」
私はその触手を凍らせる。
しかし、つぎの瞬間には、別の触手に堂を掴まれてしまった。
そのまま、ずんずん、魔王の本体に引っ張られる。
「あは、は、は、は」
魔王は高笑いをしてくれた。
どんどん、魔王のパクリと開いた、口のような所に私の体が引き寄せられる。
大きな口が目の前に現れた時だ。
ダンっ、
大きな音がして、何かが飛んできた。
伯爵だ。
伯爵は私を追い越して、その大きな口の中に食べられたのだ。
「ギャーーーー」
伯爵の悲鳴が響いた。
そして、私の振り上げたての中にガチャリと飛んできたエクちゃんが収まったのだった。
つぎラノ2023大賞にノミネートされたこの話のヒロインたちの学園生活が本になった
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