97ピッチ目 蜥蜴人の皮革職人
「おう、ディエゴじゃん!どうしたお前が俺のところ来るなんて、珍しいな!」
ディエゴが案内してくれて皮革職人のところにやってきた。
「それに後ろに連れてる方々はお客様かい?」
「そうなんだ、君の翼膜加工の技術をぜひ教えてほしいそうなんだ。彼らはワイバーンの翼膜を加工したいそうだよ」
「なるほど、ワイバーンの翼膜か。俺もワイバーンのは扱ったことが無いから分からないが、ギバランの翼膜なら毎日扱ってる。ワイバーンもギバランも翼膜は大きくは変わらないはずだ。よろしく、俺はファブリシオ、見ての通り皮革職人だ」
ファブリシオと名乗った皮革職人、職人気質ではありそうだが比較的物腰も柔らかくて例に漏れず親切な感じだ。
彼の工房内はいろいろな種類の動物の皮が壁に掛かっていていかにも皮革職人の工房といった雰囲気だ。
中には剪打ちが甘いのか、においがキツイ皮もあった。
「ファブリシオさんは動物の生皮から処理をするんですか?」
「いいや、俺は狩人がある程度処理したものを買い取っているんだ。処理が甘いものは俺の方で手直ししたりもするんだがね。それより、翼膜加工を教えてほしいって言うのはどなただい?」
ガルバンさんが一歩前に出てきて言った。
「ガルバンだ。翼膜加工の技術を教えてほしいのは俺だ。もとは鍛冶屋なんだが、こいつに言われていろんなもんを作ってる。ワイバーンの翼膜を細長く加工してロープの外皮として巻きたいんだが、可能だろうか?」
「おぉ、ドワーフか、これは珍しい。いやいや、偏見があるわけじゃないんだ、気を悪くしたなら謝るよ、すまない。翼膜をロープの外皮にか…不可能じゃないが、難易度は高いと思うな」
そこからは職人同士にしかわからない専門用語の飛び交う会話だった。
見たところ、ファブリシオさんとガルバンさんは作るものは違うが、同じモノづくりの職人として気が合う様子だった。
「僕たちは外に出ていようか。時間もかかりそうだしね」
再びディエゴに連れられて、俺たちはガルバンさんを工房に残して外に出た。
「どこかご飯が食べれるところはあるかしら?私お腹すいちゃって…」
そういえば昨日の晩から何も食べていない。
これだけの町だ、どこかにレストランくらいはありそうだった。
「もちろんあるよ!ただ…人間の口に合うかはなんとも言えないところかな…」
正直、ちょっと思ってはいた。
彼ら蜥蜴人は人間と同等の知能を持っているし、似通っている部分も多々ある。
ただ、生物学的には蜥蜴に近い。
当然食べ物も人間と蜥蜴人では違ってくる。
人間の食べ物を蜥蜴人が食べるときは特に問題は無いのだろうが、蜥蜴人の作る料理は…
「ここなんだけど、どうかな…?」
ディエゴが連れてきてくれたレストランには虫の絵が描いてあった。




