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62ピッチ目 屋外ボルダリング


前回通った時はそこまで着目してなかったから、こんなに岩がたくさん転がっているとは思ってなかった。


ラズの住んでいた村、シーカへ向かう途中の平野で俺たちはボルダリングをするのに手頃な岩を探していた。


今回はラズとイシタス、そして俺の三人で来ていた。


オリビアには店番をお願いしている。


不満そうな顔をしていたが、ぶーぶー言いながら引き受けてくれた。


「あの岩とか良さそうじゃないか?そんなに高さもないし、それでいてスパッと切れ落ちた悪そうなフェースだ」


目に入った岩は巨岩を鋭い刃物でスパッと半分に切ったような形をした岩だ。


そうだな、イメージするとしたら前世だと御岳の「嶺の夕」みたいな感じかな。


「あのつるっとした面を登るんですか?あれはなかなか難しそうですね…」


近づいてみないとなんとも分からなかったが、とりあえずあの岩に行ってみよう。





目の前に立ってみると正直思っていたよりも悪くて圧倒された。


高さはそれほど高くない、たぶん四メートルくらいだろうか。


クッションは四枚持ってきた。


ガルバンさんが手早くちゃちゃっと作ってくれた。


いつもながらさすがだ。


外岩のボルダリングで使うクッションはクラッシュパッドと呼ばれる。


二つ折りや三つ折りになった厚さ約十五センチほどのクッションで、数枚を隙間なく並べて地面に敷くことでクライマーがもし落ちても重大な事故にならずに済むというわけだ。


ただし、やはりジムで敷いているような本格的なクッションと違ってあくまで簡易的なクラッシュパッドは、落ち方によっては骨折や捻挫の事故は簡単に発生しうる。


あくまでクライマーが地面の石に頭を打って死なないように、だとか、ちょっとした落下で痛い思いをしないように、というような目的のものだから気を付けなければならない。


「地面も平坦だし、高さは四メートルあるけどこの岩だったら割と安全に登れそうだね。ここにクッションを並べてとりあえず登ってみよう」


その岩の表面はスパッときれいに切られているように見えて、よく見ると小さなホールドがいくつかある。


それはおよそ第一関節にも満たないような小さなホールドだが、ボルダリングではそうした小さなホールドを使って岩を登ることがままある。


まさに御岳の嶺の夕というルートをそのままトレースしたような岩だ。


嶺の夕は俺も登ったが、あそこは下地、つまり地面が平坦でなくて落ち方によっては怪我に直結する怖い課題だった。


それと比べれば難易度は同じでも地面がきれいに平坦なこっちならトライしやすくていいだろう。


「それじゃ登ってみよう、イシタス、君からだ」


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