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60ピッチ目 クライミングジム"パラレル"開店


記念すべき開店初日、午前中の開店時間から子供たちを連れた家族でにぎわっていた。


やはり大人たちの様子を見ていると子供が遊ぶもの、という認識があるみたいだ。


れっきとしたスポーツであり、大人がやっても楽しいものだというのをわかってもらわなければならない。


そのためにと言っては何だが、デモンストレーションと称して俺も一日登ることにした。


一級、初段あたりのルートを登る。


普段からトレーニングは欠かさずしているが、ボルダリングは久しぶりだ。


それにここ数カ月の体が動かなかった期間もある。


初段ルートでは登れないこともしばしばあった。


お客さんたちは俺が登っているのを見て声を上げていた。


クライマー、壁を登る人、そもそもそういうものを過去見たことが無いのだ。


時にはとても届くはずがないような距離のホールドにジャンプして飛びついたりもする。


体への負荷が大きかったり、飛びついた先のホールドが持ちやすいかどうかわからないギャンブル性などから苦手な人も多いムーブ(クライミング中の体の動かし方のこと)だが、初めての人には派手な動きだから見栄えがして人気がある。


子供たちも真似して飛ぶがなかなかうまくいかない。


その姿がほほえましかった。


昼ごろにはお昼ご飯を食べるのか、ちょこちょこ帰る家族も増えてきた。


まだやりたいと子供が駄々をこねて仕方ないわね、と渋々残っている母親もいたが、それも一時ごろになると帰っていった。


ラズも上手く店を回してくれている。


午前中の客が引いて一仕事終えて胸をなでおろしているといった感じだった。


「ラズ、繁盛してるな。この調子なら午後も多分忙しくなるだろうから、よろしく頼むよ」


「子供たちが多いね。俺のいた村では大人になっても岩に登る習慣があったけど、そもそも町の人たちは子供でも岩登りしたことない子がほとんどだもんね。無理もない」


ラズの言う通り、子供たちが多かったがこの中から将来この世界のクライミングシーンを牽引するような子が現れるかもしれないと思うとワクワクした。





午後になって登ってみたいという大人がちらほら来るようになった。


なんとなく岩壁を登ってみたいという人もいれば、体を動かすのが好きだから遊びに来てみた、と理由は様々だったが、みんな楽しんで登ってくれているようで安心した。


クライミングジム"パラレル"の滑り出しは順調そうだ。


そういえばパラレルという名前、これは俺が異世界から来たからそれでこの名前を付けた。


まあみんなには異世界から来たなんて言ったって信じてもらえないし、変な奴だと思われるから言わないが…


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