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41ピッチ目 ヨルハとの再会


「ヨルハ、久しぶりだね」


ヨルハは探検隊のメンバーたちと一緒にいた。


「ノボル、それにオリビア。一か月ぶりだ。それにもう一人増えているようだが?」


「ラズです。ノボルと一緒にリーゼホルンに登る」


「ラズ、よろしく。私はヨルハだ。ノボルから聞いているね?」


ヨルハの探検隊は二十人ほどだった。


それに車輪付きのそりが四台。


雪道に入ったら車輪を取り外すのだろう。


「おいヨルハ、そいつらがお前の言ってた登山家か?」


「ジーク、そいつらとか言うな。ノボルとオリビアとラズだ」


ジークと呼ばれたこの男、筋骨隆々のいかにもといった感じの男だ。


「俺は砲手のジークだ。あんたら、ワイバーンの胃袋におさまりたくなかったらそりに乗っておとなしくしておくことだな。ま、俺がいる限り探検隊にゃワイバーンを近づけさせやしねぇけどな」


この粗暴な雰囲気。


見た目通りすぎて逆に違和感がある。


「よろしく、ジークさん。あんたなら言った通り、ワイバーンを打ち落としてくれそうだな」


ぶすっとした男だが、腕は確かなのだろう。


「ともかく、私たちの探検隊は明日出発する。自分たちの荷物を積み込みな」


無骨者ばかりの集団だ。


オリビアは少々面食らっているようだが、ラズは特に気にしていない様子だった。


「ノボル、私はブラスハイムで待っているからね。私が行っても足手まといになる…」


「わかった。大丈夫、いつも通り必ず戻ってくるからね」


いつもながらオリビアと別れるこの瞬間は身を切られるようにつらい。


永遠の別れになってしまうかもしれないというオリビアの表情が脳裏に焼き付く。


ともあれ、行かないという選択肢はない。


俺はクライミング道具や食料をヨルハたちのそりに積み込んだ。





「よしそれじゃあお前ら、出発するぞ!」


ブラスハイムの北西の門が開かれた。


北西の門から町を出るものは少ない。


見物に来ている近所の町民もいた。


「ついに出発だな。リーゼホルンまでは丸一日あれば着くらしい。すぐに着く」


ブラスハイムを出発してしばらくは草原に踏み跡の道が残っている。


その先は雪原に変わり、さらにその先は氷河につながっている。


それほど傾斜もないし、氷河に入ったらそこからはそりで進むのだろう。


町で見たよりも近づいて山を見ると山々はまるで覆いかぶさるようにそびえ、冠雪した山頂は天を突いている。


その間の氷河の道もその真っ白な谷合全体に広がり、立ち入るものの行く手を阻んでいる。


まるでエベレストのクーンブ氷河のようだ。


その氷河の巨大な氷塊はいつ何時崩れるか分からない。


そしてその氷塊は大岩サイズのこともあれば村一つあるんじゃないかというくらい巨大なものまで多種多様。


いかに時間を掛けずに抜けてリスクを最小に出来るかが唯一の攻略法だ。


そして神に祈る。


あいにく俺には女神様がついてる。


俺は無事に抜けられるだろうな。


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