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39ピッチ目 クライミングの天才”ラズ”


「ラズ、久しぶりだな。元気だったか?」


「おぉ、ノボルじゃないか!ひさしぶりだね!あれからどうしてたんだい?」


俺はマシカラに登ってからのことを話した。


そしてこれからリーゼホルンに登るために再びブラスハイムに向かうことも。


「それでだ、ラズ、リーゼホルン、一緒に登らないか?難しい登山になることは間違いないが、君だったらついてこられるはずだ」


ラズは見るからに驚いた反応を見せた。


だが俺は以前ラズにクラックの登り方を教えた時に気づいていた。


ラズはクライミングの天才だ。


初めて教わってクラッククライミングが簡単に出来るなんてことは普通はあり得ない。


ジャミングを効かせることの難しさはクライミングをやったことがある人ならわかるはずだ。


それなのにラズは初めて触るクラックで、初めてやるジャミングで、いともたやすく登って行ってしまった。


なぜだ?


そういわれてみれば考えていなかった。


なぜそんなにも上手なんだ?


「ラズ、君は以前、クラックをいともたやすく登っていた。俺は君が、クライミングの天才だと思っている。だがなぜだ?なんで君はあんな簡単にクラックを登れたんだ?」


「なんで、なんでって言われるとなかなか難しいなぁ…あ、でも俺のスキルが関係あるかも」


「スキル?何のスキルなんだい?」


「俺のスキルは"鮫肌"なんだ。普通の人間の肌からザラザラの鮫肌まで肌質を自在に変えられるんだ。あの時は少しザラザラしている状態だったから、もしかしたらそのおかげで人よりクラックを登りやすかったのかも」


合点がいった。


鮫肌か。


ザラザラの鮫肌なら、確かに岩に良く食いついてジャミングも普通の人間より良く効くだろう。


もちろん、持って生まれたスキルも才能の一つだ。


やはりラズはクライミングの天才だ。


クラックどころか、鮫肌のスキルがあればフェイスクライミングでも十分に有利に登れるはずだ。


「それはクライミングに最高にマッチしたスキルだな。それなら君は本当に最強のクライマーになれるかもしれない。やっぱり俺と一緒にリーゼホルンに登ろう」


ラズは迷っている様子だった。


当然だろう。


彼はリーゼホルンを見たこともない。


どんな山かは話したが、それでも見たこともない山に行くのは不安だろう。


「現地に行って、無理そうならふもとで待っていてもいいかな?」


「もちろんだ。登ることを無理強いはできないよ」


「わかった。それなら一緒に行く。マシカラには登れなかったけど、ノボルと一緒なら登れると思うから」


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