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2ピッチ目 転生





真っ白い世界。


雪の白さともまた違った、本当に純粋な白。


俺の視界は不気味なまでの白に覆いつくされていた。


「目が覚めたようですね。岩岡昇さん」


どこからともなく声が響く。姿形は見えない。声は続ける。


「あなたは不運な事故で命を落としました。しかしあなたがあなたの世界でで残した功績は後世に多大な影響を与えました。よって、あなたに再び命を与えることとします」


「まってください!あなたは、ここはどこですか?天国ですか?」


「いいえ、あなたの世界で言う天国や地獄ではありません。私は転生の女神。語れることは多くありません。それでは、岩岡昇さん、ごきげんよう」


「まっ…」


声が出ない、意識が…





「おい兄ちゃん、兄ちゃん大丈夫かい?」


見知らぬおじさんの顔があった。その横で若い女性も心配そうに昇の顔を覗き込んでいる。


「やっと目が覚めたか。おいオリビア、水を持ってきてやりなさい」


体を起こそうとしたが上手く力が入らない。


「おっと、無理するな。あんたが森で倒れてたからここへ運んできて丸一日寝てたんだ。急に体を動かさん方がいいさ」


昇は混乱していた。明らかに俺がもともといた世界とは時代が違うし、中世ヨーロッパくらいの時代感だろうか?とか予想してみる。


自分の体には特に変化はないようだ。


必死に状況を整理した。転生の女神とやらに再び命を与えると言われ、気づいたら今の状況だ。どうやら森で倒れていたらしいが、体が痛むとかはない。


「ありがとうございます。ここはどこですか?」


「なに、困ったときはお互い様だよ。ここはアルテール地方だ。私はここで木こりをしているギデオンだ。ちょうど水を持ってきたこっちが、娘のオリビア」


オリビアは微笑んで水を渡してくれた。


「ありがとう。ギデオンさん、僕はノボルと申します。ほかにもいろいろ教えてください」


それからギデオンはたくさんのことを教えてくれた。


アルテール地方のこと、普段の生活のこと、近くの町のフローデンのこと、そしてスキルのこと。


「スキル?」


「なんだ、常識じゃないか。あんた記憶でもどうかしちまったんじゃないかね?世界中の誰もが何かしらのスキルを持ってる。俺のスキルは剛力。だから力仕事の木こりをしてる。オリビアはつい先日スキルが開花してな。鑑定してもらったところ炎使いだった。将来は料理関係の仕事に就くだろうな」


なるほど、職業スキルみたいなものがある年齢になると開花するのか。便利なものけど、いまいちスキルって感覚が分からない。スキルがあるとどうなるんだ?


「ギデオンさん、スキルがあるとどうなるんですか?」


怪訝そうな顔をされたが、それでも俺の真剣さが伝わったようでギデオンさんは教えてくれた。


「スキルがあると名前どおりいろいろな能力が使える。大抵はシンプルな能力だが、応用すればたくさんのことに使えるんだ。例えば俺の剛力があれば、普通なら何度も木を叩かなきゃいけないところ数回斧を振るっただけで木が切れる。それくらい力が強いってことだ。オリビアの炎使いのスキルはある程度の炎なら自在に操れるんだ。火力から温度から自由自在。って言ってもいいとこ料理に使うくらいの大きさの炎を扱うのが精いっぱいだがな」


混乱してきた。俺もスキルを持っているのだろうか。


「俺のスキルを鑑定したいのですが、フローデンに行けば鑑定できますか?」


「あぁ。フローデンで鑑定できるな。鑑定は町のサービスの一環で、無料でやってくれるよ。ちょうど明日オリビアが町に行くから、連れてってもらうといい。オリビア、頼むよ」


「うん。ノボルさん、明日は宜しくお願いします」


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