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100ピッチ目 ロープの完成と帰路へ


「ノボル、注文通りのロープ、できたぜ」


翌日ガルバンさんは意気揚々と俺たちが泊っている宿に乗り込んできた。


実はガルバンさんはこの二日間、ファブリシオさんの家で厄介になっていた。


そして今日、完成したロープを持ってきたというわけだ。


「本当ですか!?このロープが…これ、もう量産できるってことですか?」


「絶対とは言えないが俺の工房でも出来る。ワイバーンの翼膜がギバランの翼膜と同じ特性を持っていれば、だが、ほとんど亜種みたいな二種類の動物の翼膜の性質がそこまで大きく変わるとは思わん。つまり量産できるってわけだ」


朗報だ、この上ない。


これでロープを使って心置きなく登ることが出来る。


これまで使っていたスタティックロープともダイナミックロープとも言えないロープでは、リーゼホルンのような出来事が起こらないとは考えにくい。


でもこれで…


「ガルバンさん、ありがとう。それじゃあ、明日にでも帰路につきますか?」


「そうだな。一日も早く帰って、この感覚を忘れる前に自分の工房でマスターしてぇからな」





クルメイロスにいる時間は短かった。


ガルバンさんが欲しかった情報はそこまで複雑なものではなくて、方法さえわかればあとは熟練度次第でその精度が上がっていくものだった。


ディエゴが沼地を抜けるところまで送ってくれた。


「みんなが来てくれて僕は嬉しかったよ!三日で帰ってしまうのは残念だけど…またいつかクルメイロスに来てよ!みんなならいつでも大歓迎だよ!」


ディエゴは最後までいい人だった。


なんだかんだみんなクルメイロスを楽しんでいたようだった。


特にアーガイルさんは自分とは違う沼蜥蜴でも同じ蜥蜴人同士分かり合える部分があるらしく、意気投合して町の人の家に遊びに行ったりしていた。


俺を含む人間四人も最初はとまどったものの、食べてみたら美味しい料理や素晴らしい景色、親切な人々のおかげでまたクルメイロスに来ようという気になっていた。


「いい町だったね。この先のベガラガルもいい町だって聞いたから、いつかクルメイロスにまた来た時に今度はベガラガルも行ってみたいね」


完成したロープを手に、俺たちは沼地を抜けて荒野を進む。


フローデンに帰り着いたらいよいよクムジュンガに向けてトレーニングと装備、計画の準備を始めなければならない。


まだクムジュンガに完全に心が向いているわけではないが、確実に、俺の中に炎が燃え上がりだしていた。


冬はまだ半ば、山岳地帯では厳しい天候と気温が頂点に達する時期のことだった。


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