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10ピッチ目 課題


ガルバンさんの作ったカラビナは無事に強度を満たした。


でも一つ大きな課題があった。


重さだ。


前の世界ではカラビナは超超ジュラルミンが材質に使われていて、一枚が四十グラム〜七十グラムほど。


それに比べてガルパンさんの作ったカラビナは百五十グラム。


おおよそ倍の重量だ。


大量のカラビナを必要とするクライミングでその重量差は命取りになる。


「ガルバンさん、このカラビナ、たとえばこれ以上軽量化することは可能ですか?」


「軽量化か…正直、この素材でこれ以上の軽量化は無理だ。かといってさらに軽くて強度もあって加工も容易な素材となると…すまん、思いつかないな」


鍛冶を生業とする人間がそういうのだからそうなのだろう。


異世界とはいえ、そんな都合の良い材料がそうそうあるわけないか。


改めて現代文明の便利さを実感するな…


「あといくつか作ってもらいたいものがあるのですが、お願いできますか?こっちは難しいものじゃないですから」


こうしてガルバンさんにピトン、ハンマー、ナッツ、簡素ではあるがビレイデバイスの製造をお願いした。


それぞれの道具を簡単に説明すると、ピトンは岩の隙間クラックに打ち込む杭のことだ。厚さ二ミリ〜五ミリほど、幅は二センチ〜四センチが一般的だ。打ち込んだピトンにカラビナ、ロープをかけて命綱にするというわけだ。


ハンマーはそのピトンを打ち込むための道具。ナッツはこちらもクラックに挟み込んで使うものだが、ピトンよりも幅の広いクラックに使う。ワイヤーの先端に鉄のキューブがついている形状で、クラックがくびれているところに引っ掛けて使う。


最も重要なのがビレイデバイス。端的に言えば摩擦力を利用してロープを止めたり、ゆっくり送り出したりする器具だ。


クライミングはこういったデバイス、正しい知識、そしてこれらのデバイスと知識を応用して構築するシステムがあって初めてギャンブルでは無くなる。


クライミングをするうえで、これら三つはどれも欠けてはいけない大切なものだ。


これらがそろっていたとしても俺のように岩が崩壊して命を落とすことがあるのだ。


もっとも、岩質によって崩壊しやすい、しにくいといったリスク管理はできるが…


ガルバンさんの作ってくれてこれらの必要な道具類が一通りそろった。


ようやくマシカラへのトライの準備が整った。


あとはアプローチ(現地へ行く方法)、そしてルート開拓(人跡未踏のクライミングルートを拓くこと)がどれだけ上手くいくかだ。


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