表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/274

第4話 アレフレアの街


 冒険者の始まりの街と呼ばれるアレフレアの街。付近にそれほど強いモンスターは出現せず、物価や宿代も安くて生活もしやすい。その上、大きな冒険者ギルドがあって治安も良いため、この国では駆け出し冒険者に一番優しい街としてとても有名らしい。


 ここまでの道のりでロイヤ達からいろいろと聞いて得た情報だ。物価が安く、街の付近にそれほど強いモンスターが出現しないのは、現在無一文の俺にとっては好都合だ。どうやら少しずつ運が上向いてきたらしい。


「止まれ、通行証か身分証を提示せよ」


「はい、俺達の冒険者証。こっちの人は森で道に迷ってゴブリンに襲われていたところを偶然助けたんだ」


「テツヤと申します。遠くの国から来たのですが、森で迷ってしまい、危ないところをこの人達に助けてもらいました」


「ほう、Eランク冒険者なのにそりゃお手柄じゃないか! それに兄さんも災難だったな。あの森は広いから助かっただけ運が良かったよ。悪いが身分証か通行証がないなら、簡単なチェックを受けてくれ」


「はい」


 ロイヤ達から聞いていたが、この街に入る時には身分証か通行証が必要となる。もしどちらもないなら、門番による簡単なチェックを受けなければならない。逆に言うと通行料とかは取られないので、俺にとってはとてもありがたい。


「それじゃあテツヤ、またな。もし困った事があったら、冒険者ギルドに来てくれれば会えるからな」


「それじゃあね、テツヤ。お昼美味しかったわ」


「この街にいればまた会うこともあるだろう。またな」


「ああ、3人とも本当にありがとう。また改めてお礼しに行くよ!」


 ロイヤ達とはここでお別れだ。無一文の俺にお金まで貸してくれようとしたお人好しだったが、さすがにそこまでしてもらうわけにはいかないので断った。その代わりにおすすめの商業ギルドのある場所を教えてもらった。


 3人に出会わなければ、あのままゴブリンに殺されていたか、遭難していた可能性も高い。それに街まで案内してもらったし、命の恩人であることは間違いない。あんな昼飯くらいで恩を返したことにはならないから、また改めてお礼をしよう。




 無事に門番のチェックを終えた。簡単な質問に答えたり、持ち物を確認するだけであった。持ち物や服装についてはかなり怪訝な顔をされたが、遠い日本という国から来たと言ったら、とりあえずは納得してくれた。俺には分からないが、魔法や魔道具のある世界だし、知らないうちに何か確認されていたのかもしれない。


「それじゃあ兄さん、改めてようこそアレフレアの街へ。何か困ったことがあったら、相談くらいは聞いてやっからな」


「はい、ありがとうございます」


 門番の人も俺のことをすごく心配してくれた。たぶんこの人も良い人なのだろう。


「おお〜!!」


 城壁の中にはこれこそ異世界と呼べるような景色が広がっていた。門の前には大勢の人々や荷馬車が所狭しと行きかうほど余裕がある広い道。その道を行きかう人々の格好も様々であった。


 大きな荷物を背負った商人のような人、農作物をたくさん持った農民のような人、プレートアーマーを身につけた騎士か冒険者のような人。


 そして頭から耳を生やし、長い尻尾をパタパタと振っている猫の獣人、ほとんど犬の姿のまま二足歩行しているような犬の獣人、毛むくじゃらの髭面をした少し背の低いドワーフなど、人族以外の様々な種族がこの街には存在しているようだ。


「これはテンションが上がる。さて、とりあえず無一文のこの状況をなんとかしないとな」


 とりあえず今は完全に無一文だし、食料も残りは非常食くらいしかない。まずは持っている物を売って、当面の生活費を確保しないと。




「ここがロイヤ達の教えてくれた商業ギルドか」


 少し市場を歩いて市場調査をしてから、ロイヤ達から教えてもらった商業ギルドにやってきた。かなり大きな建物で人の出入りも激しい。この街の商業ギルドなら、初めて物を持ち込んだお客さんでも、ボッタクられる可能性はほとんどないらしい。


 カラン、カラン


 扉の上部に取り付けられた鐘が鳴るが、誰もこちらの方を見たりはしない。中はだいぶ忙しく、多くの人で賑わっていた。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「あ、品物の買い取りをお願いしたいのですが」


「はい、それではこちらの列に並んで少々お待ちください」


 職員さんの案内で列に並ぶ。前に並んでいた人達は商人というよりは村人や冒険者といった風貌の人が多かった。ここは始まりの街って言っていたし、たぶんちゃんとした商人達は別の大きな場所で取引をしているんだろうな。


「次の方、こちらにどうぞ」


「はい」


 キョロキョロと新鮮な光景を眺めていたら俺の番が来た。カウンターの方へ進むと、そこには美人な商業ギルドの職員さんがいた。うん、やっぱり男として接客してもらうなら、綺麗な女性の方が嬉しいのは仕方のないことである。


 目の前の女性は赤みのかかった長い茶色い髪を三つ編みにしている。瞳の色も若干茶色いようで、顔立ちはとても整った美人さんであった。


「本日は商業ギルドにお越しいただきまして、誠にありがとうございます。本日はどのような品物をお持ちいただけたのでしょうか?」


「はい、これらの香辛料の買い取りをお願いします」


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。

誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆アウトドアショップin異世界店◆
◇冒険者の始まりの街でオープン!◇

(上をクリックで挿絵やキャラ紹介のある作品ページへ)


― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱ異世界と言ったら美人の受付嬢だよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ