第266話 新規店舗オープン
「さあ、いよいよこの時が来たか!」
昨日は午前中だけ今日の為の準備を行い、午後はのんびりと過ごした。そして今日はついに新規店舗のオープンの日だ。
「き、緊張するです……」
「さすがにひと月もの間休んでいただけあって、外に並んでいるお客さんの数がすごいな」
ここしばらくは新規店舗の準備や王都へ出掛けていたこともあって、店を閉めていた。主要な商品である方位磁石や浄水器なんかは冒険者ギルドへ卸していたとはいえ、人気のある食品系の商品を購入できない期間がだいぶ空いてしまった。
このアレフレアの街で長期間店を開いていたこともあって、うちの店を知ってくれた常連のお客さんたちも増え、今も並んでくれている。
フィアちゃんはだいぶ緊張しているようだが、さすがに元高ランク冒険者のリリアは落ち着いている。俺もこれだけのお客さんを目の前にしても、緊張はほとんどしていない。
これまでにもいろいろとんでもない出来事があったし、この国の王妃様にも謁見したことだし、今更だな。
「すごいですね。この街でこんなに人が集まったのは初めて見ました」
「そうだな、これだけ人が多いと変なことを考えるやつがいないか少し不安だ」
アンジュとドルファは前回の店がオープンした時はいなかった。あの時も今回ほどではないが結構な人が集まってくれたんだよな。
ドルファの言う通り、人が多いとそれに伴って悪いことを考える輩もいるので注意しよう。まあドルファの場合は特にアンジュをナンパしたりセクハラしたりする輩がいないか心配しているのだろうけれど、確かにそっちも心配だ。
そういったトラブルが起きないように常に目を光らせておくとしよう。
「女性冒険者のお客さんも多いね! 残念だけれど、今日はあんまり話をする時間はなさそうかな」
『ふむ、女性客の割合も意外と多いのだな。我も頑張るとしよう』
……たぶんランジェさんはそういった意味で言ったんじゃないと思うけれどなあ。というか、ベルナさんとフェリーさんの時と同じようにランジェさんの素の性格はすぐにスヴィーさんにバレてしまいそうな気もする。
ちなみにスヴィーさんはすでに隣の家でスタンバイしてくれている。今日は店の前の護衛と店内でレジをしてくれる予定だ。さすがにお客さんがとても多そうだから、あまり動きの少ない入り口の護衛とレジを任せている。
あとこのお店の制服である緑色のエプロンはルーンゴーレムとスヴィーさん本人が身に着けているぞ。店が落ち着いてスヴィーさんの研究ができるようになればあまり付けなくなるかもしれないけれど、やはり最初は気持ちだけでもみんな一緒でいたいからな。
「きっと今日から1週間くらいは忙しいと思うから頑張ろう! それじゃあ店を開けるよ」
「皆様大変お待たせいたしました! ここ始まりの街アレフレアで冒険者のためのお店、アウトドアショップの新規店舗がオープンとなります!」
「待っていたぞ~!」
「この一ヶ月、いろいろと足りなくて大変だったぜ!」
「今日は朝からばっちり並んだわよ!」
ありがたいことに大勢のお客さんがアウトドアショップのオープンを待っていてくれたようだ。見知った冒険者も大勢いてなんだか嬉しくなる。
「まずは恒例の新商品を紹介させていただきます。もちろん後ほど試食もございますのでお楽しみに!」
「そうこなくちゃな、待っていたぜ!」
「前回はギリギリで食べられなかったからな。今回は気合を入れて並んだぜ!」
今回も新規店舗のオープンということで、様々な新商品を準備してある。グレゴ工房や他の工房に用意してもらったテントなどのキャンプギアの他に食品系の商品もあるので、そちらはお客さんが店に入るのを待つ間に試食してもらう予定だ。
お客さんも新しく店を開ける時は試食品があると分かっているみたいだな。
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