第260話 国の許可
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今スヴィーさんはなんと言った? はっきり言って、俺の耳がおかしかったとしか思えない。
「さ、さすがに他国の要人であるスヴィー殿がこの国に長時間滞在するのは問題になるのではないか?」
「僕としては大歓迎だけれど、さすがにそれは国同士で問題になったりしないかな……?」
リリアとランジェさんの言う通りだ。スヴィーさんにはお世話になったけれど、さすがに他国と問題ごとになるのは勘弁だぞ。
「それについては問題ない。そもそも我がべリアノブ王国で賢者の称号を拝命する際の条件として、我の所在については制限を掛けることがないよう伝えてある。この国にいたとしても、べリアノブ王国の所属ということであれば問題ないはずだ」
どうやらスヴィーさんは賢者の称号を受ける際、国に条件を出していたらしい。国側に条件を出すとはすごいな……
そういえばスヴィーさんは師匠であるアースさんの情報をいろんな場所へ探しに行っていたんだっけ。それもあって、そんな条件を出していたのかもしれない。
「仮にスヴィーさんがこの国に残れるとしても、このお店を手伝う必要はありませんよ。アウトドアショップで購入することができる商品は渡しますし、原価を払ってくれれば大丈夫ですから」
スヴィーさんからアースさんの情報を聞けただけでとてもありがたかった。それにお金には困っていないみたいだし、スヴィーさんにならアウトドアショップで購入できる商品を原価で譲っても構わない。
「いや、テツヤ殿の世界の素晴らしい道具を、あんな金額ではとてもではないが受け取ることはできない。当然費用も払わせてもらうが、それ以外に店も手伝わせてほしい。その方が我もテツヤ殿に気軽に質問をすることができる」
この店で販売しているキャンプギアや食品なんかはだいぶ安く販売しているつもりではあるが、そこまで重く受け取らないでもいいんだけれどな。
ただ、店を手伝ってもらえるのならば、確かに気兼ねなく俺と話すことができるようになるか。
「……本当にべリアノブ王国の方は大丈夫なんですよね?」
「もちろんである。許可を貰えれば念のために国へ連絡もするし、こちらの国の王にも正式に話をさせてもらうつもりだ」
「……わかりました。とりあえず少し考えさせてください」
「いきなりとんでもないことになったなあ……。リリアとランジェさんはどう思う?」
スヴィーさんを見送って、リリアとランジェさんに率直な意見を聞いてみた。
「国同士の話が問題ないのならばむしろ歓迎すべき話だと思うぞ。あのゴーレムは話すことができないが、商品の品出しを手伝ってくれるだけでかなり助かる。それに店が大きくなって、私たちだけでは店内を警備することもできないから、どちらにせよ従業員を雇うつもりだっただろう?」
「うん。新規店舗はだいぶ広くなったし、少なくともオープン時のスタッフは雇うつもりでいたね」
店が大きくなったこともあり、新しく従業員を雇うつもりだった。お店を1月ほど休んでいることもあって、オープンから1週間はかなりのお客さんが来店してくれると予想していたから、オープン時のスタッフも併せて雇う手配もしている。
言葉を話せないから接客は厳しいが、品出しや店内の警備をしてくれるだけでもかなり助かる。店も大きくなると、万引きとか良からぬことを考えてしまう輩も増えてきそうだからな。
「僕としても可愛い女の子が増えるのは大歓迎だよ!」
「「………………」」
ランジェさんはランジェさんだった。
「まあそれも本音なんだけれど、国同士の関係が大丈夫そうなら問題ないと思うよ。所属がべリアノブ王国で期限を何年間とか決めたり、半年に一度べリアノブ王国に顔を出すなんて条件を付け加えれば、元からそういう条件で賢者になっていたらしいし大丈夫じゃないかな」
「なるほど」
ランジェさんの言う通り、そういった条件等を付け加えれば問題ないのか。
「こちらのラターニア王国側は問題ないだろうし、仮店員として雇って向こうの国が問題なさそうなら正式採用ということでいいのではないか?」
「……それが一番良さそうかな。とりあえず国同士の問題にならないようにだけ細心の注意を心掛けようか。ライザックさんとパトリスさんにも要確認だ。もし2人も大丈夫そうだったら、国王様と王妃様に相談しつつ、向こうの国の返事を待つ感じかなあ。それにしても賢者のスヴィーさんが店員になるのか……」
「ベルナさんとフェリーさんやルハイルさんも協力してくれているわけだし、それは今更じゃない?」
「ああ。現役のAランク冒険者に王都の冒険者ギルドマスターの協力を得られる店なんて存在しないと思うぞ」
「………………」
2人の言う通り、それは今更な気がしてきた。最近ではこの国の王妃様にまで協力を得られそうだからな。
最初に屋台で商売をしていたころが懐かしい……