表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

244/274

第244話 国の要人


 ラーメンやレトルトカレーか。確かにそれなら元の世界のことを知っている可能性はさらに高まった。


 俺だって他国でラーメンやカレーや寿司が売られていると知ったら、気になってその店のことを調べたり、直接その店へ行ってみたいと思う。


 それにしても、俺の故郷から来た人を知っているということはその人本人が転移者ではないということか? もしかしたらその人はその国から出られなかったとかかな。


「そいつはテツヤと話がしたいと言っていた。害を与えるつもりはなく、ただその人の故郷について語りたいと言っていたが、そいつについても真偽は分からねえな。テツヤたちがこの街へ戻ってきたら連絡が欲しいと伝えられ、それまでこの街へ留まると言っていたんだがどうする?」


 どうやらその人は今この街にいるようだ。


「そうですね、まずは話を聞いてみたいです。あっ、でも他国の要人と言っていましたけれど、その人はどんな人なんです?」


「ああ、そいつはだな――」


 コンッ、コンッ


 ライザックさんの話を遮り、冒険者ギルドマスターの部屋の扉がノックされる。この部屋は魔道具によって防音の処置がされているので、こちらの今までの話は聞かれてはいなかったはずだ。


「パトリス、頼む。テツヤ、話はちょっと待ってくれ。もしかしたら緊急事態かもしれねえ」


 ライザックさんの指示によりパトリスさんが部屋の扉へ向かい、職員から話を聞いている。俺たちがここで話をしているのを知ってこの部屋へノックをしてきたということは、何か緊急事態が起こったのかもしれない。


「……ギルドマスター、テツヤさん。どうやらちょうど話をしていたスヴィー様が今冒険者ギルドへ来ているそうです」


「ちっ、どこかからテツヤがこの街へ戻ってきたことを監視していたのかもな」


「えっ!?」


 監視ってちょっと怖いんだが……


「テツヤさんや他の皆さんはこの街では有名ですし、少し調べればわかることですからね。実は我々もテツヤさんたちがこの街へ無事に戻ってきたことは少し前に知っていました」


 ……俺はともかくベルナさんとフェリーさんは目立つもんなあ。フィアちゃんを家まで送っている間にすでに情報は冒険者ギルドへ伝わっていたらしい。そしてその人はスヴィーという名前のようだ。


「まったく、説明する時間もくれねえのかよ。テツヤ、他国の要人だけあって面会を拒むのはちと難しい。どこまで話すかはテツヤに任せるが、一度会うだけ会っちゃくれねえか?」


「……ええ、わかりました。俺も話を聞いてみたいですからね」


「すまねえな。パトリス、ここに通してくれ。ベルナ、フェリー、ランジェ、リリア、相手も妙なことをする気はねえと思うが、何かあった時はテツヤを守るぞ!」


「「「了解!」」」


 ……えっ? そこまで警戒する相手なの?


 ライザックさんは元Aランク冒険者だし、ベルナさんとフェリーさんは現役のAランク冒険者。ランジェさんとリリアも十分な実力者なんだが、それでも警戒するとはな。


 要人って貴族とかではないのか……?




「突然の訪問をお詫びしよう。我の名はスヴィー。べリアノブ王国にて()()の称号を拝命している」


「………………」


 いろいろと気になるところが満載である……


 パトリスさんに通されてギルドマスターの部屋へ入ってきたのは中学生か高校生くらいに見える女の子だった。そしてフェリーさんとランジェさんのように耳は長く尖っているのだが、その肌の色は2人のように白くはなく褐色だ。


 これはもしかするとダークエルフという種族なのだろうか? フェリーさんが着ているローブとは異なり、全身を包むような長いローブを身に纏っている。彼女は他国から来たと言っていたから、もしかするとそのべリアノブ王国の魔法使いはあんな格好なのかもしれない。


 そして彼女は自身を賢者だと言った。この世界の賢者といえば、魔法を極めし者に贈られる称号と聞いたことがある。冒険者とは異なり、戦う力ではなく研究に特に秀でた者が受ける称号らしい。


 ……その言葉遣いは妙に大人びているというか、達見した者のような不思議な感覚だ。リリアよりも背が少し低くてフェリーさんよりは少し高く、顔立ちはとても整っている。やはりダークエルフという種族もエルフと同じ美形しかいないチート種族なのだろうか?


「初めまして、アウトドアショップという店を経営しておりますテツヤと申します」


 スヴィーさんに向かって軽く会釈をする。


 今俺の前にはみんなが俺をかばうように前に出てくれている。たとえ研究者であっても、卓越した魔法使いであることは変わらないため、警戒は必要らしい。


「ふむ、初めましてであるな、テツヤ殿。心配せずとも、我はそなたの故郷について話を聞きたいだけで誰かに害を与えるつもりはない。必要であれば謝礼も渡そうぞ」


 見たところ敵意はないように思える。これだけの実力者に囲まれながら、淡々と話すスヴィーさんの様子は実に堂々としている。


「お心遣い感謝します。ですが、謝礼は必要ありません。早速お話をさせてください」


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。

誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆アウトドアショップin異世界店◆
◇冒険者の始まりの街でオープン!◇

(上をクリックで挿絵やキャラ紹介のある作品ページへ)


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ