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第241話 新たなるスイーツ


「……よし、今日も無事に到着したね」


 クエトのダンジョンを出てから2日目。


 今日も昨日と同じで野営だ。今回はクエトのダンジョンに寄ったこともあって、来た道とは別の道で帰っている。ちょうどいい場所に村や街がなかったこともあって連日で野営となった。予定通りいけば、明日の日が暮れる前にはアレフレアの街まで帰ることができる予定である。


「途中でまたブラックブルの群れに遭遇した時は少し驚いたな」


「あれだけの野生のブラックブルの群れはなかなか珍しいよ。でもベルナさんが一瞬で追い払ってくれたから全然問題なかったね」


「護衛としての役割を果たせてよかったですわ!」


 今日はトラブルという訳ではないけれど、道中ブラックブルの群れに遭遇した。こちらを襲ってきそうな雰囲気だったけれど、ベルナさんが火魔法を使って一瞬で追い払ってくれた。1体でもDランク相当の魔物で群れになると多少面倒な相手らしい。とはいえ、ベルナさんは現役のAランク冒険者だし、たったひとりでもまったく問題なさそうだったぞ。


 確かにドルファが言っていた通り、前回王都へ行った時にも遭遇した魔物だ。昨日の生クリームやバターを作った際に使用したホワイトブルの乳であるが、ホワイトブルは獰猛なブラックブルとは全然違ってとても大人しい魔物なので、クエト付近で酪農をしていて特産品となっている。


 ただし、肉はブラックブルの方がうまいようだな。以前は河原でバーベキューをした時に食べたけれど、かなりうまくて元の世界の牛の味に近かった気がする。


「さて、それじゃあ今日も手分けをして野営の準備をしよう」




「今日のご飯もおいしかったです!」


「ああ、やはり大勢で食べる料理はおいしいな」


「フィアちゃんもリリアも気に入ってくれたようで何よりだよ」


 昨日もそうだけれど、やはり屋外で食べるご飯もいいものだ。


 アレフレアの家で作って食べる料理もいいが、屋外でみんなと一緒に料理をして食べるご飯は一味違うんだよね。まあ、この異世界には魔物や盗賊がいるから、こうやって屋外で安全に食べられるのはAランク冒険者のベルナさんとフェリーさんやリリアとランジェさんがいてくれたからなのだが。


「テツヤさん、今日も昨日のクレープですか?」


「いや、今日は別のデザートだよ」


「そうですか……」


 心なしかアンジュは少し残念そうにしている。よっぽど昨日のクレープが気に入ったようだ。とはいえ、さすがにあの高カロリーなクレープを毎日食べるのは身体にも良くないもんな。


 そんなわけで今日は別のデザートを作ってみた。やはりベルマルコンによって砂糖が安価で手に入るといろいろなスイーツを作りたくなってしまう。今日のデザートは昨日より多少はカロリーが低いはずだ。


「今日のデザートはゼリーだよ。あのゼリー飲料みたいなものだね。今日もランジェさんが氷魔法を使って手伝ってくれたんだ」


 キャンプギアの大き目のテーブルの上に小皿へ取り分けた3種類のゼリーがある。それぞれ別の果物の果汁と砂糖を加えて固めたものだ。


「へえ~僕の固めたものがこんなに色鮮やかなものに変わるなんてね」


 どうやってゼリーを固めたのかというと、王都で売っていた寒天のような物を使った。そもそも元の世界のゼリーと言えば寒天よりもゼラチンを使ったものが多かったな。ゼラチンは動物の皮、腱、骨なんかから取れる動物性たんぱく質のコラーゲンだ。


 対して寒天はテングサという海藻などを煮詰めた汁を材料にしている。俺もさすがにテングサなんて実物は見たことがなかったけれど、王都での市場を回っている時に固まる効果のあると聞いた海藻を見つけたから、購入して試してみたらテングサかあるいは近い海藻だとわかった。


 確かこの煮詰めた汁をそのまま固めたものがトコロテンとなる。トコロテンのまま食べるのもよいが、トコロテンを凍らせるのと乾燥を繰り返すと水分や海藻独特の匂いを取ることができて寒天となる。


 それを砂糖を加えた果物の果汁と一緒に煮詰め、ランジェさんの氷魔法で冷やして固めたものだ。色が鮮やかなのは果汁の色である。


「ゼリー飲料と似ているけれど、あれみたいに細かくない」


「色も全然違いますわね。でも触ってみた感覚はゼリー飲料やスライムと同じみたいです」


 アウトドアショップで購入できるゼリー飲料はエネルギー補給目的だから、スポーツドリンク味のもの一種類しかない。せっかく砂糖と寒天が手に入ったわけだし、一からゼリーを作ってみたわけだ。


 元の世界の某料理漫画を読んで知っていた知識だけれど、まさか異世界で役に立つとは思わなかったぞ。


「さすがにクレープはカロリーが高いから毎日は食べられないけれど、ゼリーは果汁や砂糖の分くらいで、それらを少なめに入れればあまり太らないんだよ」


「それは素晴らしいですね!」


「ああ、これなら毎日でも食べられるというわけだな!」


「………………」


 アンジュとリリアはそう言うが、カロリーは少ないとはいえさすがに毎日はどうなんだろうな?


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いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


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― 新着の感想 ―
 生いちご(加熱してないという意味)と生クリームのクレープがジャスティス。ジャムは邪道だと思う(キリッ)
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