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第238話 ダンジョンボス


「それにしてもとんでもないね……魔物の生態や弱点まで書いてあるんだから、この魔物図鑑があればダンジョン攻略が劇的に楽になるよ」


「深い階層にいる魔物の情報までわかるのですから、本当にとんでもないことですわ!」


 ランジェさんとベルナさんの言う通り、まさにこれはダンジョンの攻略本と言っても過言ではないだろう。


 さすがにダンジョンの地図までは無理だったけれど、この魔物図鑑さえあれば、ダンジョン攻略が劇的に進むことは間違いない。


「ダンジョンボスの情報だけはないみたい」


「ダンジョンボスはダンジョンの中でも特別な魔物ですからね。ですが、他の魔物の情報を知ることができるだけでも素晴らしいことです。魔物の弱点がわかるなんて!」


 そしてどうやらダンジョンに出現する魔物の情報はあるが、ダンジョンボスの情報まではわからないらしい。


 みんなから聞いた話では、ダンジョンの最下層にはダンジョンボスと呼ばれる特別強くて強力な魔物が存在するようで、そのダンジョンボスを討伐するとダンジョンが攻略されたこととなり、報酬を残してダンジョンは消滅するんだったな。


 この魔物図鑑には特別飛びぬけた力を持つダンジョンボスらしき魔物の情報までは載っていなかった。それでもベルナさんの言う通り、他の魔物の情報を知れるだけでとんでもない能力だ。


「やはりこれは他の者には他言無用だろうな。もし知られれば、この魔物図鑑を利用しようとテツヤを狙う者が出てくると思うぞ」


「うん、さすがにこれは公表できないね。ルハイルさんにもそう伝えて、本当にダンジョン攻略が必要な時だけ協力するようにしよう」


 リリアの言う通りだ。


 ダンジョンボスの情報がないとはいえ、この内容を公表すると俺をいろいろと利用しようとする者が現れることは間違いないだろう。ルハイルさんの言っていた通り、早急に攻略が望まれているダンジョンがある時だけ協力するのが妥当なところに思える。


 ダンジョンでの探索は得るものが大きい分、リスクを負わなければならないみたいだし、ダンジョンの攻略自体を楽しんでいる者も多いだろう。そういった人たちにとってこの魔物図鑑は無粋だ。


 方位磁石や浄水器、携帯食料などと同様に冒険者の生存率を上げることができる情報かもしれないけれど、そもそもダンジョンに挑むかどうかは完全に自己責任となるわけだしな。


 ルハイルさんにも相談し、早急に攻略しなければならないダンジョンが現れた場合だけ協力するのが落としどころかな。


 そして植物図鑑については他の場所で購入したものとあまり変わらなかった。フェリーさんとベルナさんから聞いた話だと、ダンジョンの中に存在する植物はそのダンジョンの付近に存在する植物とほとんど同じらしい。


「とりあえず確認するべきことはこれで終わったから、みんなでお昼でも食べにいこう。これからどうするかはアレフレアの街に戻ってから考えよう」


 これでルハイルさんに頼まれていたことは無事に確認できた。これからどうするかはアレフレアの街に戻って、ライザックさんやパトリスさんとも相談をしてから考えよう。


 せっかくダンジョンのある場所へとやってきたのだから、ダンジョン産の食材を食べてみようではないか!




「へえ~これがダンジョンの食材かあ」


「見た目は普通のお肉と変わらないです、テツヤお兄ちゃん」


 屋台のような店に並んだ食材を見てみるが、見た目はあまり普通の魔物の肉と変わらないみたいだ。


「ダンジョンに出現する魔物はダンジョンの外にいる魔物と同様に食べることができますわ」


「……それにしても随分と高いようだな」


 午後は俺、フィアちゃん、ベルナさん、リリアの4人で食材を売っている店を回っている。他のみんなは冒険者用の店や、服なんかが売っている店を見てくるらしい。


 いろいろな食材が売られているのを見ているのだけれど、リリアの言う通り値段はかなり高めだ。まあ、一時的にダンジョンの近くにできた店はどこもこんな感じらしい。


「おう、兄ちゃん。ダンジョンへ挑みに来たようには見えねえが、金持ちの商人かなんかかい? うちにはこのダンジョンで出てくる魔物の肉が山ほど売っているから見ていってくれよ」


 店の通りを歩いていると、ガタイのいいおっちゃんに声を掛けられた。


 この通りを歩いている人たちの9割は冒険者のような格好をしている。そんな中でどう見てもダンジョンへ挑みに来たとは思えない格好の俺や女の子のフィアちゃんと女性2人のパーティということで、このおっちゃんには俺が観光に来た商人にでも見えたのかもしれない。


 特にフィアちゃんくらいの子供はひとりも見当たらないもんな。それにベルナさんは変装をしているから冒険者には見えないのだろう。


「ええ、観光でちょっと寄ってみたんですよ。このダンジョンのおすすめの肉は何がありますか?」


「おう。こっちの肉が15階層より深い階層で出てくる高級な肉だな。レッドホーンベアとブラックワイバーンあたりがおすすめだぞ。あとは比較的安い肉だとホーンラビットとグリーンスネーク辺りか」


 思ったよりも様々な肉があるんだな。そりゃたくさんの階層があるダンジョンだし、それも当然か。魔物図鑑も分厚かったもんなあ。


「それとこっちはダンジョンじゃないんだが、この辺りで育てられている名物のホワイトブルの肉だ。あっちの店で売っているこいつの乳は濃厚でうまいぞ」


 どうやらダンジョンに出てくる魔物の食材だけでなく、この辺りの名物もあるようだ。こっちの名物の方はダンジョン産じゃないから結構安めなのかもしれない。


 高価な肉もあるけれど、ここに来る機会はあまりないだろうから一通り購入しておくとしよう。

 

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