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第231話 転移者とクエトのダンジョン


「さて、まずは先日テツヤくんから頼まれた件を王都の図書館で調べてきたよ」


「ありがとうございます!」


 俺にとっては一番気になっていた転移者の情報だ。


「なにせ300年も前のことで、その者の記録はほとんどなく、名前すらも残っていなかったようだね。辛うじて性別が男ということと、当時はかなりの戦闘能力を有していたことは分かったよ」


「300年前……」


 そもそも異世界に来ている時点で時系列がどうなっているのか分からないけれど、300年前といえば日本では江戸時代か。というか、日本人なのかも分からない。


「彼は別の世界から来たと記録には残っていたけれど、テツヤくんみたいに不思議な道具を使ったり、商売をしていたという記録はなかったよ。そう考えるとテツヤくんとは異なるのか、そもそも転移者と言っているだけなのかもしれないね」


「もしかしたら俺とは異なる能力を持っていたのかもしれません。戦闘能力を有していたと言っていましたが、何か特別な力や魔法を使っていたのですか?」


 俺の場合はキャンプをしていた際にこの世界へ転移してきたから、アウトドアショップという能力を得ただけで、個別に特別な能力や魔法を得た可能性もある。


 300年前だとそもそもアウトドアショップなんてないだろうから、万屋とかの能力名だったりして。戦闘系ということだからさすがにそれはないか。


「残念ながらドラゴンを倒したなどの功績は記載されていたけれど、彼の戦闘スタイルなどの記録は残っていなかったよ。あとは彼が病によって60代でこの世を去ったことくらいしか情報はなかった。功績を残したと言っても、英雄と呼ばれるほど大きな功績を残したわけではなかったみたいだね」


「そうですか……」


 どうやらそこまで大きな情報が残っていたわけではないみたいだ。能力も分からないし、本当に俺と同じ転移者であるのかも分からないな。この世界には方位磁石がなかったし、少なくとも俺と同じ時代から同じ能力を持った人が来たわけではないようだ。


 その男が本当に転移者だったとすると、唯一分かったことはその人がこの世界で生を終えたということだ。俺がこの世界に転移した時と同じように突然元の世界へ転移して戻るなんてことはないのだろう。転移のことについては何もわかっていないから確実ではないけれど。


「これくらいのことしか分からなくて申し訳ないね」


「いえ、とんでもないです。調べてくれて本当にありがとうございました。ルハイルさん、ひとつお願いがあります。もしもその人と同じように別の世界から来たという人の情報があったら教えてください。それと俺みたいに何か特別な能力や不思議な人がいたら、その情報も教えてほしいです。積極的に調べなくてもいいので、もしあればといった感じでお願いします」


 もしかしたら、他にも転移者の情報が見つかるかもしれないし、俺のように別の世界から来たことを他の人には黙っているかもしれない。もしも不思議な能力を持っている人がいたら、俺の同類かもしれない。


 王都の冒険者ギルドマスターであるルハイルさんの下にはアレフレアの街とは比較にならないほどの情報が集まるだろうから、何かあれば情報を集めてもらいたいところである。


「もちろんだよ。テツヤくんという別の世界から来たという人を実際にこの目で見ることができたわけだし、何か気になることがあればライザックを通して伝えよう」


「ありがとうございます」


 とりあえず現時点でできるところはこれくらいだろう。まあ、ほとんど何も分からなかったと言っても過言ではないが、俺と同じ転移者がいたという情報を得ることができた。




「今度はこちらからテツヤくんへの頼み事で例のダンジョンの件についてだね。王都から馬車で5日ほど進んだところにあるクエトのダンジョンでテツヤくんの能力である地図と図鑑を試してほしい。アレフレアの街の帰路から少しだけ遠回りになるから、フェリーの召喚獣がいても2~3日余分にかかってしまうだろうね」


「ええ、それくらいでしたら大丈夫ですよ」


 アレフレアの街に戻るころにはグレゴさんたちの工房に頼んでいた新規店舗が建て終わっているはずだが、そこから新規店舗のオープンに向けてどちらにせよいろいろと準備が必要になる。


 元々かなり余裕を持った日程だし、まだ新規店舗をいつオープンするか発表をしていないから、アレフレアの街に帰るのが数日遅れても問題はない。


「おお、それはありがたい! テツヤくんの能力による結果がどうあれ、報酬は金貨200枚でどうだろうか?」


「……わかりました。そちらで大丈夫です」


 数日寄り道しただけで金貨200枚は多い気もするけれど、俺の能力がバレるリスクもゼロではないからな。というか、事情が特殊過ぎて相場がまったく分からないので、報酬金額はルハイルさんに任せるとしよう。


「それと今まで以上にテツヤくんの情報の取り扱いは注意しないといけないね。基本的にはベルナとフェリーが王都へ来た際に連絡をして、緊急時や重要な情報は連絡を暗号化してアレフレアの冒険者ギルドのライザックを通して伝えるとしよう」


「了解です」


 どうやら今後の連絡手段もより注意しないといけないようだ。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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◆アウトドアショップin異世界店◆
◇冒険者の始まりの街でオープン!◇

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