表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

213/274

第213話 砂糖の取り扱い

【お知らせ】

いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


『第5回アース・スターノベル大賞』 にて《佳作》を受賞した下記作品がアース・スターノベル様より8月20(火)に発売となります。


詳細につきましては活動報告をご覧くださいませ!


「あとはこれを乾燥させれば完成だけれど、完全に乾燥するにはしばらく時間が掛かりそうかな」


「でしたら私にお任せください。皆さん、少し離れてくださいね」


 ベルナさんの指示でベルマルコンから抽出したドロリとした液体を入れたボールからみんな離れた。


「火魔法を調節してうまく乾燥させますので、しばらくすれば完成すると思いますわ」


「おお、そんな手が!」


 Aランク冒険者のベルナさんは火魔法の使い手だ。うまく火魔法を調整して短時間で乾燥させることができるらしい。


 「……できましたわ。なんだか固い塊になりましたわね」


「うん、これを削って粉状にすれば完成らしいね」


「ふむ、削るのは任せてくれ」


 そう言いながらリリアはベルナさんが固めてくれた個体を包丁で細かく削っていく。うん、俺がやるよりも全然速い。


「……うん、少し独特な甘味だけれど、これはこれで十分に甘いな」


「ええ、市販の砂糖と同じくらい甘いですね」


「甘くておいしいです!」


 アンジュとフィアちゃんの言う通り、これなら街で売っている砂糖の代替品に十分なり得る。ベルマルコンは街では銅貨3枚で売られているから、原材料もかからない。これは結構な大発見ではないだろうか。


 ……そして結構な大発見だけあって、どう取り扱うかが難しいところだな。とりあえず砂糖の利権とかがどうなっているのかを調べるのと、このベルマルコンがどの地域で採れるのかを確認しておきたい。


 製法を独占して工場を作って商売をするという手段もあるが、それだと絶対に面倒ごともついて回る。俺は大商人になりたいわけじゃなくて、のんびりとしたスローライフを送りたいだけだからな。


 やはりここは製法を売って、その利益の一部をもらうくらいがちょうどいいだろう。あとはこのことを発見してくれたドルファにも相談したいところだな。




「いや、さすがに今回の件で報酬なんて受け取れないぞ! そもそもテツヤさんの植物図鑑があってこそだ。俺だけだったら、砂糖ができるなんて知らないし気付かなかっただろうからな」


「とはいえ、俺だけでも気付かなかったわけだからなあ……せめてボーナスみたいな報酬くらいは受け取ってもらわないと、俺も心苦しいんだが……」


 ベルマルコンから砂糖を精製できるということが分かり、今はみんなでエイブラの街をぶらりと歩いている最中だ。


 ……相変わらず目立つ集団なので、すれ違う街の人たちから見られているので、小声で話している。


「テツヤさんたちにはお世話になっているし、今回も前回も王都までの費用や滞在費は全部出してもらっている。それで十分過ぎる。ベルマルコンの情報はすべてテツヤさんが使ってくれ」


「分かった、ありがたく使わせてもらうとするよ」


 今回の件に気付いたドルファがそう言ってくれるのなら、お言葉に甘えるとしよう。せめてものお礼にこっそりみんなの給料に少しだけ上乗せさせてもらうとするか。


 とはいえ、まずはこの砂糖が大量に生産できる目途が立ってからだがな。それとどこにこの製法を伝えるかも考えないといけない。


「……ちょっと待てよ。テツヤさん、ひとつこのベルマルコンについて頼みがあるんだが?」


「ああ。やっぱり利益の一部を回したりしようか?」


「いや、お金は大丈夫だ。というか、普段の給料だけもアレフレアの街で暮らすには多すぎるからな。頼みというのはこのベルマルコンからできた砂糖の名前をアンジュの名前から取ってアンジュ砂糖という名に……いてっ!?」


「なな、何を言っているんですか兄さん! テツヤさん、今のは忘れてください! 別に報酬はいりませんから!」


 ドルファの発言の途中で、アンジュが持っていたバッグで思いっきりドルファの頭を叩いた。


 普段冷静なアンジュが顔を真っ赤にしてここまで取り乱すのも珍しい。


「……えっと、たぶんそれくらいなら、可能だと思うけれどどうする?」


 料理人や発見者の名前を付けた料理名や食材なんかもあるし、多分製法を教える条件として販売する商品名を指定することくらいはできそうだ。


「テツヤさん、それならぜひ……いてっ!」


「兄さんは黙っていてください! テツヤさん、絶対に止めてくださいね!」


「わ、分かった。本人が嫌なら止めておくから安心してくれ……」


 再びドルファの頭を叩いて断固拒否するアンジュ。結構本気で殴っていたな、あれ……


「アンジュお姉ちゃんの名前がついて良いと思うのになあ……」


「フィアちゃん、お料理をする度に『アンジュ砂糖を取って』なんて言われるのよ……さすがに恥ずかしすぎるわ。そうね、よかったらフィア砂糖にしてもらう?」


「はわわ……フィアも恥ずかしいです!」


「そうでしょう……」


 言われてみると、自分の名前のついた調味料とかは少し嫌かもしれない。調味料だと、あまりに身近過ぎるからなあ……


 自分の名前を入れるのなら、普段あまり見ないような星とか彗星とかがいいかもしれない。テツヤ彗星とかならちょっと格好いい気がするよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆アウトドアショップin異世界店◆
◇冒険者の始まりの街でオープン!◇

(上をクリックで挿絵やキャラ紹介のある作品ページへ)


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ