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第210話 最高の朝食


「うわあ~とってもおいしいです!」


「ええ、焼き立てのパンはたまりません! テツヤさんはパン屋さんも開けそうですね!」


「気に入ってくれたようで良かったよ。パンはみんなが作ってくれた生地を焼いただけだから、みんなのおかげだよ」


 フィアちゃんもアンジュもおいしそうに焼き立てのパンを食べてくれている。アンジュはさすが兄妹だけあって、兄のドルファと同じことを言っているな。


 ちなみにピザは薪に火が付いた状態で直火と放射熱を利用して短時間で焼くのに対して、パンは燃えた薪を取り除いた余熱で10分近く焼くという違いがある。


 今回はシンプルに生地を丸めた丸パンだけだが、いずれは四角い食パンなんかを焼いてみたいものだ。実は食パンは丸パンとちがって綺麗に焼くのが難しいらしいんだよね。


「街で売っているパンよりもおいしい!」


「ええ、本当においしいですわ!」


「街のパン屋のパンも焼き立てはこれよりもおいしいですよ」


 フェリーさんもベルナさんもおいしそうに食べてくれるが、実際に街のパン屋さんでも焼き立てのパンは本当においしいのである。とはいえ、パン屋さんがパンを焼くのは朝早くだし、なかなか焼き立てのパンを食べることができないのは難しいところだ。


「こっちのサラダも目玉焼きもおいしいな。朝からとても豪華な朝食だ」


「ベーコンエッグはランジェさんが焼いてくれたんだよ、リリア。やっぱり卵とベーコンの味が違うよね」


 ベーコンエッグの卵とベーコンはベルナさんとフェリーさんの提供だ。アレフレアの街では新鮮な卵は少し手に入りにくいからとても助かった。


 それにベーコンの素材もとても良い肉を使っているから、シンプルだけれどそこいらのベーコンエッグとは味が全然違うぞ。ベーコンから出た自身の脂でカリカリに焼き上がったベーコンの上に卵を投入すると、卵もベーコンの脂をたっぷりと吸って最高にうまいのである。


 それに醤油を少し垂らして焼き立てのパンと一緒に食べると、朝からかなりの贅沢な味になる。元の世界ではよく食べていたベーコンエッグだが、素材がいいとこれほどの味に昇華されるのだから素晴らしい!


「こっちのジャムをつけても最高だね!」


「ああ、砂糖がたっぷりと使われていてとても甘いし、焼き立てのパンとよく合っているな!」


 ランジェさんとドルファが丸いパンを割って瓶に詰めた赤いジャムをパンに塗って食べる。


 最初は焼き立てのパンの味を試してもらい、そのあとは自家製のジャムをパンに塗って食べてもらう。アレフレアの街でイチゴに近い果物が売っていたので、それに砂糖を加えて煮詰めて自家製のジャムを作ってみた。


 本当はジャムもできたての温かいものが最高にうまいんだが、さすがにそれは手間なので、すでに出来上がっているジャムを持ってきている。うん、焼き立てのパンの小麦の香りと甘いジャムの相性が素晴らしい!


「甘くてとっても贅沢な味だね!」


「ええ、本当に素晴らしいです! でも砂糖はまだ街では高くて手を出しにくいんですよね」


「そうだね。香辛料はだいぶ安くなったけれど、あとは砂糖がもう少し安くなってくれると助かるんだけれどなあ」


 アンジュの言う通り、香辛料の魔法による栽培方法が確立し、アレフレアの街でもだいぶ香辛料の値段は安くなってきた。しかし、どうやらその栽培方法は砂糖に使うことができなかったようで、砂糖はまだ少しお高い。


 俺はそこまでお金を使わないし、食材や調味料なんかについては少し贅沢をすると決めているのである。


「ブルルル!」


「ワオン!」


 フェリーさんの召喚獣のスレプとシルフもおいしそうに朝食を食べている。今日も猛スピードで馬車を引き、夜通し見張りをしてくれるわけだし、たくさん食べて頑張ってもらわないとな。


 フェリーさんが言うには召喚獣は召喚者の魔力をエネルギーにしているから食事をとる必要はないらしいけれど、こうやっておいしそうにご飯を食べているスレプとシルフを見るとなんだか癒される。


 いいなあ、俺も召喚魔法を使ってみたいものだ。






「テツヤさん、もう少しでエイブラの街に着きますわ」


「早いですね。まだ、日暮れまでに結構時間がありそうなのに」


「スレプが頑張ってくれた」


 今日も特に大きな問題が起きることなく、今日の目的地であるエイブラの街まで到着できそうだ。


 確か前回王都へ行く時も予定は夕暮れくらいの時間だったけれど、スレプが頑張ってくれたおかげで早く到着してくれたんだっけ。前回は一晩だけ泊めてもらって次の日には出発したけれど、今回は余裕のある旅程なので、明日もこの街で一泊して明後日の朝に出発する。


 せっかく一月休みなわけだし、のんびりと過ごさせてもらうとしよう。


「……んん? テツヤさん、ちょっとこれを見てくれないか?」


「どうしたの、ドルファ?」


 馬車の中でドルファが声を掛けてくる。ドルファは馬車の中で俺が購入した植物図鑑を読んでいた。


 俺のアウトドアショップの能力によって購入できる地図と魔物図鑑と植物図鑑。これは俺が購入した場所付近の情報がこちらの世界の共通語で書かれているという優れものだ。


 前回王都へ行った時に発覚したこの性能なのだが、どれくらいの範囲なのかを確かめるためにも今回は道中でも何度か購入してみた。


 俺は乗り物に乗ると酔ってしまうタイプだから、アレフレアの街へ戻ってからゆっくりと読もうとしていたのだが、ドルファは馬車に揺られながら本を読むことができるので暇つぶしに読んでいたみたいだ。


「このベルマルコンはこの辺りで採れる野菜らしいが、砂糖の材料になるみたいだぞ」


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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◆アウトドアショップin異世界店◆
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