表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

202/274

第202話 アイスクリーム


「おお、これは面白い味であるな!」


「ええ、初めて食べる味です」


 グレゴさんもパトリスさんもおいしそうにアイスクリームを頬張る。


 理想を言えばバニラビーンズなんかもあればよかったんだけれど、さすがにこの世界にバニラビーンズはなかった。まあ、香りは少し足りないかもしれないけれど、味は立派なアイスクリームだからな。


「テツヤ、このお菓子はいっぱいほしい!」


「うん、そう言うと思って材料はたくさん買ってきたから、あとはランジェさんにお願いしてね」


「ランジェ、お願い!」


「ランジェさん、お願いします!」


「はいはい、任せておいてよ」


 フェリーさんとベルナさんに頼みごとをされて少し嬉しそうなランジェさん。


 実際のところ、このアイスクリームを作るのには結構苦労したんだよね。材料はともかく、氷魔法でアイスクリームを冷やす時に結構温度がシビアらしい。単純に冷やし過ぎると、シャリシャリとしておいしくなかった。


 ランジェさんが普段氷魔法を使う時は温度なんて気にせずに魔法を発動しているらしい。それに材料を混ぜる時も、どれくらい混ぜて空気を含ませるかの割合によって舌触りが全然違うんだよね。


 いろいろとランジェさんと閉店後に試行錯誤をしているうちに、ある程度満足するものができあがったというわけだ。あとはどの魔物の乳が良いかもいろいろと試したものだ。


「こういう時に収納魔法持ちは羨ましいぜ」


「ええ。暑い日にこのアイスクリームというお菓子を食べられたら最高でしょうね」


 ライザックさんとパトリスさんが氷魔法と収納魔法を使用できるフェリーさんとランジェさんを羨ましそうに見ている。


 本当に時間が止まる収納魔法って便利すぎるよね。俺がこんなことを言うのも贅沢だと分かっているけれど、羨ましいものは羨ましい……


 一応ポータブルの冷蔵庫があるから、そこで氷を作って塩を加えればランジェさんがいなくてもアイスクリームを作ることができるけれど、めちゃくちゃ面倒なんだよな。それに比べて氷魔法は練習が必要だけれど、一度できてしまえば何も必要としないから楽だ。本当に魔法ってチートだよね。


「うん、こっちの黒いやつが一番おいしいかな」


「あら、私はこっちの赤い方がおいしいですよ」


「私は白いのが好き!」


 ブライモンさん、マドレットさん、アルベラちゃんが自分の好みの味を言い合うが、みんなバラバラだ。


 古からアイスクリームの好み問題はあるから、こればかりは仕方がない。個人的にはクッキー&クリームのやつが好きかな。あれはちょっとリッチなダッツだけど、おいしいんだよね。


 ……特に好みが対立しているキノコとタケノコのお菓子をこの世界で作ったら、いろんな意味で危険になりそうだから止めておくとしよう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ふあ~あ、よく寝た。おっと、もうこんな時間か」


 昨日のバーベキューではだいぶお酒を飲んだこともあって、目が覚めると時間はもう昼前だった。リリアには昼前くらいに起きると伝えていて正解だったみたいだ。


 明日には王都へ出発するから、今日はいろいろと準備をしないといけないんだよな。




「おはよう」


「おはよう、テツヤ」


「おはようございます、テツヤさん」


 自分の部屋の扉を開けてリビングへ行くと、そこにはリリアだけでなくフェリーさんとベルナさんもいた。


「おはよう、みんな早いね」


「……いや、明らかにテツヤが遅いと思うぞ」


 確かにリリアの言う通りだな。というか、ベルナさんは昨日俺以上にお酒を飲んでいたのにけろっとしているようだ。前回もそうだったけれど、俺以外はみんなお酒に強いらしい。


「いやあ、長期の休みだと思うとつい気が緩んじゃうよね。ベルナさんもフェリーさんも今日はよろしくお願いします」


「昨日はまた楽しませてもらいましたからね。これくらいお安い御用ですよ」


「昨日はとても楽しかったし、出てきた料理もとてもおいしかった。これくらい朝飯前」


 明日から王都へ行くため、人数分の食材を市場へ買いに行く予定なのだが、さすがに俺とリリアの2人では全部の荷物を持てないので、収納魔法を使えるフェリーさんとベルナさんにも手伝ってもらうのだ。


「……ランジェさんは来ていないから無理そうだね。それじゃあ、4人で出掛けようか。お昼は街の屋台でなにか食べよう」


 本当は収納魔法を使えるランジェさんも今日は来てくれる予定だった。ランジェさん自身もベルナさんとフェリーさんと一緒に市場で買い物をすることをとても楽しみにしていたんだけれど、この時間に来ていないということはまだ回復していないようだ。


 というのも、お酒にダウンしていたというわけではなく、魔法の使い過ぎでダウンしている。


 昨日のバーベキューのデザートで出したアイスクリームが大人気で、事前に用意しておいた分がすべてなくなり、氷魔法を使用できるランジェさんに現地で作ってもらった。


 アイスクリームを作る際の氷魔法は温度調整にかなり神経を使うのと、魔力というものを使うため、バーベキューが終わるころにはいつも元気なあのランジェさんがぐったりしていたもんな。


 明日からは当分の間みんなと一緒だし、王都に行けばギルドマスターのルハイルさんにも会えるから元気が出ればいいんだけれどね。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。

誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆アウトドアショップin異世界店◆
◇冒険者の始まりの街でオープン!◇

(上をクリックで挿絵やキャラ紹介のある作品ページへ)


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ