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第194話 良い話


「……それじゃあ、いい話からお願いします」


 いい話と微妙な話か。微妙な方はあまりいい気がしないな……


 とりあえずいい話から聞くとしよう。


「以前にテツヤ達が王都へ行った時、ルハイルに教えた方位磁石の作り方だが、どうやら無事に完成したようだぞ」


「おお、それは良い話ですね!」


 以前に王都へ行った際、王都の冒険者ギルドマスターのルハイルさんに方位磁石の作り方を教えた。この世界には魔法があり、雷魔法をこちらの世界の鉱石へ放つことにより、人工的に磁石を作って方位磁石を作れるのではないかと考えたわけだ。


 俺達が王都からアレフレアの街へ戻る際にはすでに目途が多少たったと言っていたが、どうやらそれが完成したらしい。


「ええ。何でも雷魔法を一度かけるだけではすぐに方向を指し示さなくなるようですが、素材の鉱石を加工してから雷魔法を長時間当て続けることにより、今のところは永続的に同じ方向を指すようになったようです。詳しい説明はテツヤさん達が王都へ来た時にお伝えすると言っておりました」


「なるほど、分かりました」


 パトリスさんから詳しい説明が入る。


「それとテツヤさんにひとつご相談したいことがあるそうで、冒険者ギルドで作った方位磁石を商業ギルドの方にも卸したいとのことです。あちらの方位磁石は冒険者だけでなく、様々な村や街を訪れる商人たちにもとても便利ですからね」


「むしろ方位磁石は冒険者よりも商人の方が助かるかもしれねえな。もちろん商業ギルドから販売する方位磁石の利益の一部もテツヤへ渡すようだぞ」


 確かにまだ方位磁石がなくて方角が分からないこの世界では、多くの村や街を渡り歩く商人の方が方位磁石の需要はあるだろうな。なにより、目印が何もない海路では特に需要があるだろう。うちの店でも、冒険者だけでなく商人の人たちも方位磁石を購入していってる。


 方位磁石の製法を教えることによって、冒険者ギルドが販売した方位磁石の利益の一部をもらえる契約となっている。前世の特許のような感じだな。それが商業ギルドでも販売してくれるなら、俺にとってはありがたい。


「ええ、もちろん構いませんよ。方位磁石があれば商人の方たちも道に迷うことが減りそうですもんね。道に迷ってしまう人が少しでも減ってくれるのなら何よりですよ」


 森で迷うことも命に係わるが、村や街の間を旅している時に迷っても命に係わる。それに海上で迷ってしまったら、それこそ助からない可能性の方が高そうだもんな。


「ふふ、さすがテツヤだな!」


「ああ、テツヤならそう言ってくれると思っていたぜ!」


「ありがとうございます、テツヤさん」


 3人がそんなことを言うが、たぶん俺でなくとも普通の人ならそうするだろう。


「ルハイルのやつには伝えておくぜ。これであいつも喜ぶだろ。おっと、ルハイルのやつから預かっている金も渡しておくぞ」


「……お金。ああ、完成した方位磁石の分ですか?」


 普段王都や他の街へ卸している商品のお金については冒険者ギルドを通してもらっている。だけど、今月分はもう貰っているから、たぶんそれとは別のお金だろう。


「実際に商品として販売する分は今後毎月の分と一緒に渡すが、こいつは方位磁石の制作方法の報酬分だな。ほれ、()金貨30枚分だ」


「はい、ありがとうございます。……んっ、今白金貨って言いませんでした?」


「おう、白金貨だ。実際に見るのは初めてか、ほれ。普通の金貨に換算すると3000枚分だな」


「………………は?」


 そう言いながらライザックさんは机の上に普通の金色の金貨よりも一回り大きな白と金の中間の色をした白金貨を30枚置いた。あることは知っていたけれど、実際に見るのはこれが初めてだ。


 そもそも物価がとても低いこのアレフレアの街で白金貨なんて硬貨はほとんどと言っていいほど流通していないからな。


 白金貨1枚が金貨100枚分、ということは金貨3000枚……


「確かに方位磁石が完成できた際には金貨500枚をもらう契約でしたが、金貨3000枚は多すぎです。さすがにそんなにはもらえませんよ」


 あの時にルハイルさんと交わした契約は俺の伝えた製法によって方位磁石が完成したら金貨500枚をもらう契約だ。そしてそれとは別に方位磁石が売れるたびに利益の一部を俺に支払う契約だったはずだ。


「あいつからの手紙には契約書面では金貨500枚以上と書いてあるから3000枚でも問題ないって話だぞ。だいぶテツヤに感謝していたし、どちらかというと今後のことも考えてのことだろうな。あいつもいろいろと鼻が利くから、テツヤにいろいろと恩を売っておきたいんだろ。それと王都でなら金貨3000枚なんてすぐに回収できるからな」


「もちろん方位磁石を商業ギルドへ卸さなくてもテツヤさんへ渡すようにお願いされておりました。こちらの白金貨を受け取ったからといって、テツヤさんに何かをしてもらうというわけではございませんからご安心ください」


 契約書の書面だとそうなっていたのか、さすがにそこまで見ていないって。いや、500枚以上と書いてあるからといって、まさか3000枚も支払うとは思わないだろ……


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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