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第188話 ドライシャンプー


 ドライシャンプーとは頭皮になじませることにより皮脂を吸収し、べたつきや臭いを抑えることができ、清潔感を保つことができるキャンプギアだ。アウトドアショップだけでなく薬局でも購入することができるから、キャンプギアと呼べるのかはちょっとあれだがな。


 このドライシャンプー最大のメリットは水を使わずに髪をスッキリとできる点にある。冒険者は外で活動する機会が多く、戦闘で動き回るからとても汗をかく。この駆け出しの街であるアレフレアでは少ないとはいえ、日帰りで街に帰れないような依頼もいくつかあるそうだ。


 そんな時にこのドライシャンプーがあれば、水場のない場所でも髪をスッキリとできる。この前王都へ行った時にも思ったが、この世界では水場を確保するのも一苦労だからな。


「加えて保湿効果もあり、パサついた髪をしっとりとした状態にできます。さらに消臭効果に優れていてさわやかな香りもするので、異性と会う時にも使えますよ」


「えっ、すごい! それはほしいです!」


「なにそれ、便利じゃん! 長い髪がベタつくのがすごい嫌だったんだよね!」


「へえ~そんな便利な物があるんだ」


「髪の臭いか……そこまでは気になんねえかな。だけどたまにどうしても髪がべたべたして不快になる時があるからいいかもしれねえな」


 予想していた通り、反応は男女によって異なるみたいだ。どちらかというとこの商品は女性向けの商品である。男はあんまり臭いとか気にしなそうだし。とはいえ、男でも髪のべたつきは不快には違いないからな。パーティでひとつくらい売れればいいといったところか。


 あるいは長期間様々な場所を移動をする商人やダンジョン攻略をしたり数日間かけて依頼を受ける中級以上の冒険者向けと言ったところだろう。それとは別に女性なら普段使いでも使える商品でもあるからな。


 実際のところ、元の世界でキャンプする時はたった1日か2日くらいなら全然我慢できるから、俺もこのドライシャンプーの存在は知っていたが、一度も購入したことはなかった。だが、この世界なら多少の需要はあると踏んでいる。


 それに俺も旅をしていた時に1週間近くシャワーを浴びられなかった時があった。自分の臭いは本人だからあまり気にならなかったが、髪は本気でべたべたしていて死ぬほど不快だったのはよく覚えている。この世界の人ならそれくらい髪を洗わないこともありそうだし、髪のべたつきがなくなるだけでも相当ありがたいはずだ。


「テツヤお兄ちゃん、どうぞです!」


「ありがとう、フィアちゃん。使い方はとても簡単で、こうやって粉を髪の毛と頭皮になじませるだけですよ」


 フィアちゃんから木筒に入ったパウダーを少しだけ手に出してもらって、自分の髪でお客様に見せて実演をしていく。


 ドライシャンプーには定番のスプレータイプ、ジェルタイプ、シートタイプなどに加えてこのパウダータイプがある。個人的にはスプレータイプが一番楽そうに思えたのだが、そちらはスプレーの容器部分がいろいろと問題になるから、お店で販売するのは粉のパウダータイプにした。


「本日朝から並んでくれた皆さまは後ほどお試し分がありますので、ぜひ試してみてください」


 いつもの商品と同じで、こういったものは言葉で説明するよりも自身で感じてもらうのが一番早いに違いない。今日は30~40人ほどが朝から来てくれたから、そのお客さんには試してもらうとしよう。


「へえ~そいつは楽しみだな」


「ええ、試してみて良かったら買わせてもらうわ」


 お客さんの反応は実際に試してみてもらってからだな。


 今日はドライシャンプーの他にいくつかのセットになったクッカーを発売する。これらのクッカーは同じような物が多く売られているが、こちらのキャンプギアはかなり高品質で軽く重ねて持ち運ぶことができるので、冒険者には重宝されるだろう。


 その分他のお店との競合を避けるために、少し値段は高めにしてある。


 ちなみにどうでもいい話だが、クッカーとコッヘルは呼び方が違うだけで同じ物である。クッカーが英語でコッヘルがドイツ語という読み方の違いだ。昔俺はそのことを知らなくて、ずっと別物だと思っていたんだよね。


「それではお店を開きますので、ごゆっくりご入場ください」






「「「ありがとうございました!」」」


 本日の営業が無事に終わり、最後のお客さんをみんなで見送った。


「ふう~やっぱり新商品を販売する時は忙しいね」


「ああ。だが、食品系を販売する時よりもまだマシだな。前回のカレーとようかんを販売した時は朝から大勢のお客さんが並んでいたからな」


 ランジェさんとドルファの言う通り、やはり新商品を発売する初日はなかなか忙しい。特に食品系の商品を販売する時にはお客さんが大勢並ぶ。このお店の知名度というかブランド力というものもだいぶ広まってきたみたいだ。


「それにしてもこのドライシャンプーはとても素晴らしいですね。良い香りもするので、普通にお化粧品としても使えちゃいそうです」


「女性の冒険者にとっては特にありがたいだろうな。私はそこまで気にしないが、男性とパーティを組んでいる女性冒険者は結構匂いなんかを気にしたりするものだ」


「確かにこれを買っていく人の大半は女性だったからね」


 アンジュとリリアの言う通り、この世界の女性にとってはだいぶありがたいキャンプギアだったらしいな。予想通りと言うべきか、購入してくれるお客さんの多くは女性だった。


 俺もこれまでに使ったことはなかったが、結構いい香りもするから、冒険者だけでなく普通の女性も購入してくれるかもしれない。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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◆アウトドアショップin異世界店◆
◇冒険者の始まりの街でオープン!◇

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[気になる点] 同じ木筒に入れてると食品の粉と間違えて食べちゃいそうだな
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