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第141話 モツ焼肉


 いつもと同じように俺が作ったお手製の焼肉のタレもどきを用意してある。甘口と辛口、そして酸味のある果汁の合計3種類のタレだ。


 さすがに元の世界で有名な某焼肉のタレには敵わないが、それでも十分においしく食べられるくらいの完成度にはなっていると思う。それとシンプルに塩やアウトドアスパイスをかけて食べるのもうまいだろう。


「おお、噛めば噛むほど肉の旨みが溢れ出てくるぞ! それにこの甘辛いタレがよく合うのだな!」


 リリアが食べているのはブラックブルの大腸の部位だ。シマチョウやテッチャンと呼ばれている部位で、焼肉屋ではホルモンと呼ばれることが多い部位でもある。


 実際にリリアとベルナさんが解体してくれた部位の中でもさすがに腸の部位くらいは俺でもわかった。小腸と違って大腸は大きくてシマチョウというように表面が縞模様となっている。


 とはいえさすがに複数ある胃のほうはどれがどれだかいまいちわからなかった。みんなに聞いたところ、基本的にモツはどれも焼けば食べられるらしいので、他の部位も塩水で洗ってから一口サイズにカットしてある。


「うん、こっちもコリコリとした歯ごたえがあっておいしいよ! 普通の肉の部位とはだいぶ違うんだね!」


 ランジェさんが食べているのはハツと呼ばれる心臓の部位である。


「こっちのはちょっと苦いです……」


「フィアちゃんが食べているのはレバーと呼ばれる肝臓の部分だね。独特の味がするかもしれないけれど、栄養価は一番ある部位なんだよ」


 レバーはビタミンや鉄分が一番ある部位だ。本来ならばハツとレバーは生の刺身で食べたいところだが、王都までの道のりでお腹を壊したら悲惨なことになりそうなので、今回はやめておいた。


 ハツ刺しとかレバ刺しって本当においしいだけに残念なんだよな。ごま油に塩というシンプルな味付けでも本当においしいんだけどね。


「舌の部分が本当に食べられるとは思わなかったぞ……」


「とってもおいしいですよ。でも私はこっちの内臓のほうはちょっと……」


「普通の肉の部位もあるから無理して食べないで大丈夫だよ。内臓は好き嫌いがわかれる部位だからね」


 元の世界の友人はモツ系は全部駄目だった。新鮮なモツは臭みはないのだが、やっぱりあの食感はどうしても好きになれないそうだ。普通のロースやヒレなどの部位があるのだから好きなものを食べれば良い。


 ブラックブルのタンについては満足してくれているようだな。普通に考えると、舌を食べるという発想はあまりないかもしれないが、元の世界で仙台の牛タンといえばとても有名である。


「どれもとてもおいしいし、初めて食べる味!」


「ええ! ブラックブルの内臓がこれほどおいしいとは思っておりませんでしたわ! それにやっぱりこのタレがおいしいです。料理のできない私達でも肉を焼いてこれをかけるだけで、とてもおいしくお肉が食べられますからね!」


「内臓はとてもおいしいんですけれど、普通の肉よりもすぐに悪くなってしまって新鮮な状態で食べられないから、みんなあまり食べないんですよね。焼肉のタレも気に入ってもらえて良かったですよ」


 モツは普通の肉と違って鮮度が良くないと食べることができないから、街ではあまり食べることができないのだろう。


 それに下準備として塩水で洗ったりしないと血生臭くなったり、胃のほうは下茹でしないといけなかったりと手間も多少かかるから、魔物を狩って解体する冒険者達でもあまり食べないのかもしれないな。


 だけど新鮮なモツは栄養価も高くおいしいのでおすすめだぞ。俺も久しぶりにうまいモツを食べられて満足だ。それに今日はお店の裏庭みたいな狭い場所ではなく、広々とした河原の横で大勢のバーベキューなのでとても楽しかった。




「本当においしかったな」


「……いやあ、それにしてもみんなよく食べたね」


 肉だけでなく野菜を焼いたり、デザートに果物を焼いたのだが、最終的にはそれも完食してしまったからな。


 あのあとフェリーさんがスレイプニルのスプレを改めて召喚した。召喚獣は基本的にフェリーさんの魔力がエネルギーになるらしいが、普通の食事も食べることができるらしい。……というかスレイプニルって草食かと思ったら肉も食べられるんだな。


 あれほど大きなブラックブルの肉をもう半分近く消費してしまったのだから、このパーティの食欲は恐ろしい気もする……


「あとは冷えたお酒が飲めれば最高だったんだけどねえ……」


「ああ、この肉に酒があれば言うことなしだったな」


 ちなみにこのパーティで酒を飲むのは俺とランジェさんとドルファの男性陣全員だ。とはいえ今回はみんな果汁のジュースをランジェさんの魔法で冷やして飲んでいた。


「別にお酒を飲んでも構わない」


「ええ、夜の見張りは私達に任せてもらって大丈夫ですわ」


「ああ、いや、全然大丈夫だよ!」


「そうだな。別にこの果汁のジュースも十分過ぎるほどおいしいぞ」


「そうだね。さすがに今日はお酒がなくても大丈夫だよ」


 一応この世界では野営をする場合には見張りを置くことが常識となっている。というのもこの世界では盗賊や魔物なんかが普通に出没するらしいから、むしろ夜こそ気を付けなければならない。


 しかし、見張りに関してはフェリーさんの召喚獣がその役目を果たしてくれるのと同時に、ベルナさんは寝ていても盗賊や魔物の気配に気付くことができるらしい。


 とはいえ、さすがに俺達男性陣が見張りを女性2人に任せて酒盛りをして、明日は二日酔いなんてことにならないよう今日お酒はやめておいた。男にはいろいろとプライドがあるのだ。その分王都のおいしい酒を楽しみにしておくことにしよう。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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