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3-1 ニルスの望み


 往路より少しだけ時間はかかったが、特に大きな支障もなく、ニルスたちは無事に屋敷へと帰還した。


「おかえりなさいませ、お嬢さま。ニルス殿」

 相変わらずの、ピシッとした黒のスーツに身を包み、デューラが出迎える。

「ご苦労さまでしたわ。なにか変わりはなくて?」

 そんなねぎらいの言葉をかけ、旅の汗を流しに向かうところ――。

「ええ、屋敷には問題ございません。ただ――」


 デューラがそう切りだして告げたのは、ニルスたちがつかんだのと同じ、黒い宝石に関する情報だった。

 屋敷の管理のため、物資の調達などで王都に出向くことのある彼は、そこで色々な噂を耳にし、整理しておいたらしい。

 湯殿の支度もあるため、ひとまず入浴はあとに回し、まずはデューラのまとめた噂を聞くこととなる。


「それで――実際の石は、見つかっていますの?」

「あいにくと、持ち帰った者はおらぬそうです」


 まずは物証、というのは基本だ。

 けれどやはり、噂が流れているばかりで、黒い宝石を実際に目にした者はいないという。

 宝石商、あるいは鉱物商などにも出回っておらず、彼らもまた、冒険者を相手に情報を集めていたらしい。


「ふぅん……おかしな話ですわね。噂ばかりが先行だなんて――」

「同意いたしますが、噂だからこそという点もございます」

 デューラの言葉には、ニルスも理解できるところがあった。

「一種の娯楽でしょうか。おもしろそうで、しかも不思議な話なら、話題にしやすいですし……勝手に、アレンジなんかもできますから」


 最初は、黒く美しい宝石が見つかったというだけの話だったのに、集まってくる情報には、いくつもの尾ひれがついている。

 それが事実なのか、語り手が加えたものなのかはわからない。

 というより――どうでもいい、というのが正しいだろうか。


「興味を持たせるために広めている、ということでしょうけれど――ニルス?」

「はい、リスティアさま」

「人の視点では、こういった話を聞くと、どのように動きますかしら?」

「……行動力があって、古城という魔宮に臆さないのであれば、物見がてらに足を運ぶと思います」

 その動機については、いくつかのパターンが考えられるが――。


「それは、噂の真相を確認するために?」

 リスティアは、そんな人の行動原理を、正確に理解していた。

「いえ――話題に、新しい尾ひれを加えるためかと」

「ですわよね……度しがたい承認欲求、というところかしら」


 実際に宝石が見つかるのが最高だが、そうはならないだろうと判断した上で、足を運ぶのがほとんどだろう。

 そして見つからなくても、古城に行ったという証明ができれば、加える噂には信憑性が増す。

 広まる噂には、パーティやメンバーの名前が追加された上で。


「……噂を広めた者は、古城に人を招きたいようですわね」

 それについては、ニルスも薄々感じていた。

 そうなると、その目的とは――。


「――誰かを、殺そうとしていると?」

「あるいは、無差別の可能性もありますわ……狙った相手がいるのでしたら、噂の内容はもっと対象を絞るのではなくて?」

 たしかに――現状の噂は、尾ひれがつきすぎて荒唐無稽になったものもあるが、基本的には大勢を惹きつける内容になっている。

 誰か、ではなく――誰かれかまわず、といった目的が透けていた。


「だとしたら、すでに被害者が出てる可能性も――」

「……デューラ、失踪事件のたぐいは起きていまして?」

 リスティアの問いに、デューラは首を横に振る。

「現在のところ、確認できておりません」

「そう……まぁ、かまいませんわ。つまりは少なくとも、一般人への被害は出ていないということですもの」


 一般の、王都の住民がいなくなりでもすれば、すぐに騒ぎになり、事件として取り扱われるだろう。

 だがそれは、あくまで一般人の場合――。


「……冒険者の失踪は、どうなんでしょうか」

「聞くまでもありませんわね。冒険者という稼業は、そうなることを前提にした仕事ですもの」

 リスティアの言葉は無慈悲だが、非情な現実でもある。

 冒険者の実入りは、危険と表裏一体、ハイリスク・ハイリターンだ。

 しくじって命を落としたとしても、結果はあくまで自己責任となる。


 しかも、この王都は人の出入りが多く、冒険者の入れ替わりも激しい。

 仕事で出かけているのか、新天地を求めて旅立ったのか、引退してどこかへ去ったのか――ギルドの人間でも、そこまで把握できないだろう。

 誰が魔宮に向かい、誰がそこで命を落としたかなど、調べる人間はいない。

 一攫千金を求め、また新たな冒険者が集えば、死んだ人間など忘れられる。

 それが、冒険者という存在だ。


「まぁ――魔宮に人を招こうとする時点で、冒険者しか狙っていないのは明白ですわ。さすがに、目的まではわかりかねますけれど」

 ただの快楽殺人者、あるいは強盗――。

 いくつか可能性はあるが、どれも見合わないリスクがあり、なによりやり方が回りくどすぎる。

 外から見てわかる情報は、このくらいが限界だ。


「いずれにせよ……目撃情報もなければ、鉱石だという噂もありませんのね」

 デューラのまとめた書類に目を通し、リスティアが嘆息する。

 噂を書きとめたものだが、ただ噂のパターンを並べたものではなく、キーワードを抜粋し、数字としてデータにしたものだ。

 リスティアの欲しがる情報を選別し、伝えやすくしてある――この気遣いは見習うべき点だと、ニルスは心にメモを残しておいた。


「それでは、また別の地域に向かわれますか?」

 不要になった書類を回収し、デューラが問う。

「いいえ、もちろん古城にまいりますわよ」

「リスティアさまっ!?」


 鉱石はない、と確認したばかりではなかったのか――。

 思わず声を上げてしまい、慌てて口をつぐむニルスを、イタズラが成功した子供のような笑みで、リスティアが見つめる。


「落ち着きなさいな、ニルス。かわいい顔が台無しですわよ?」

「……いえ、失礼しました。リスティアさまが決められたことですから、もちろん異論はありません」

「あら、そうですの? 聞きわけがよくて助かりますこと❤」


 クスクスと笑うリスティアに、完全にからかわれているようだ。

 とはいえ、彼女の主張も理解できる。

 どの魔宮で、どんな財宝が発見されるかわからない以上、近くに魔宮があるなら探しに行くのが正しい。

 王都の周囲には、ニルスが知るだけでも七箇所の魔宮があるため、それらすべてを回ってもいいくらいだ。


 魔宮の形状によって、見つかる財宝の傾向に偏りがある――という話もあるが、いずれにせよ、ダークライトがどの分類に入るかはわからない。

 なるべく多くの魔宮を調査し、鉱石のたぐいが見つかりそうな場所を絞れるようなら、今後の探索もはかどるだろう。

 ゆえに――近くの魔宮へ向かうという彼女の方針は、なにも間違っていない。


「……なにがあろうと僕が、リスティアさまをお守りしますので」

「ふふっ、そうですわ――それでこそ、わたくしの忠実な従者でしてよ❤」


 実際に、彼女に危機を与えるような存在がいるかはわからないが、宝石を餌に冒険者を集めるなにかがいる――可能性は高い。

 それらに、死属性や霊属性の魔法が効果を発揮しなかった場合は、相応の手を打つ必要がある。

 そんなニルスの決意を知ってか知らずか、リスティアはうれしそうだ。


「首尾よくわたくしを守れたら、ご褒美をあげますわね」

「そのお言葉だけで十分です――リスティアさまをお守りできることこそ、従者にとって最高の栄誉ですから」


 キリッと表情を引き締め、従者として当然の心意気を語る。

 それを聞いたご主人さまはなぜか、鼻白んだ様子を見せていた。

 なぜだろう――。


「……ニルスはもっと、贅沢を言っていいんですのよ?」

「お嬢さま、私は新しい按摩器を頂戴いたしたく――」

「デューラには言ってませんわっ!」

 キィッと睨みつけられたデューラが、すかさずこちらに目配せを送った。

(なるほど――)

 完璧に理解し、ニルスは告げる。


「それではリスティアさま、マッサージ器をいただきたいのですが――」

「嘘おっしゃい! もっとひねりなさいなっ!」

 だめだった。

「なんですの、もぉぉぉっ! デューラと共謀して、からかってますのっ!?」

「ち、違いますっ、本当になにもなくて――」


 弁明しながら、リスティアの言いたいことを考える。

 彼女の立場からすれば、家臣に褒賞を与えると言って、なにもいらないと返されることは、自分の器を疑われているも同然なのだ。

 そのことを念頭に置き、なんとか頭をひねる。


「そ、それでは、えぇっと……物でなくても、よろしいでしょうか?」

「っ! かまいませんわっ、ドンといらっしゃいまし!」

 なにか希望がある、それを知っただけでリスティアが顔をほころばせた。

 ここまでは正解だ。

 とはいえ、具体的なアイデアがあるかと言えば――。


「では――そのときがくるまで、熟考させていただきたく思います」

「………………まぁ、よしとしますわ」

 一歩――いや、百歩ほど譲り、なんとか納得した様子だ。


「……それで、按摩器のほうは」

「あげませんわ! 前に買ってあげたのはまだ使えるはずでしてよ!」

 すげなく断られ、しょぼんと肩を落とすデューラだったが、チラリとニルスのほうをうかがい、にっこりと微笑んでいる。

 リスティアの意図は、なんとか汲めていたようだ。


「まったく……ニルスはどうして、そんなに欲がありませんの」

「皆が皆、お嬢さまのようではございませんので」

「あなたが言わないでくださいませんこと!」

 マッサージ器ばかり、何台も欲しがって――とぶつぶつ不平をもらしている。


(欲がない……かぁ)

 そもそもが質素な暮らしだったこともあるが、それを差し引いても、ニルスにあまり物欲がなかったのは事実だ。

 冒険者になったのも、一攫千金を求めてのことではない。

 平凡な自分が、特別ななにかになれるのではないか――。

 そんな夢を抱いてのことであり、いわば名誉欲の表れだ。


 そして――その夢はいま、まさに叶っている。


「僕にとっては……リスティアさまの傍にいることが、一番の望みだから……」

 美しく気高い主人、それもアンデッドの貴族。

 そんな方に仕えられる人間など、この世に何人といないだろう。

 もちろん、現状に満足するのではなく、従者としての務めを果たせてこそ、特別な生き方を実感できるのではあるが。


 そんなことを考え、感慨にふけっていると、なにやら強い視線を感じる。

 それも真横からだ。

 ふと顔を上げ、隣に視線を向け、衝撃にビクンッと身体が跳ねる。


「うぉっ、お嬢さまっ!?」

「リスティア」

「リ、リスティアさまっ……あの、なん……で、しょう?」


 気がつけばリスティアが隣に立ち、ジィッと自分を見つめていた。

 息のかかる距離で、頬を染め、瞳を潤ませてさえいる。


「ち、ちかっ……い、です……」

「よいではありませんの……あなたが言いましたのよ?」

「なにを……でしょう、か……」

 言わせるつもりですの、と彼女の唇が弧を描く。


「わたくしの傍にいることが、一番の望みだと……ふふっ❤ 無欲かと思っていましたら、ずいぶんと大胆で贅沢な欲求を、持てあましていましたのね?」

「へっ?」

 たしかに、そんなことを考えてはいたが――なぜ彼女が知っているのか。

 いや、まさか、そんなはずが――。


「……声に、出ていましたか?」

「ええ、バッチリと……いですわ、ニルス❤」


 はにかんだ、それでいて情熱的な笑みを浮かべ、リスティアが手を伸ばす。

 本音をもらした褒賞のように、その指が丁寧に唇をなぞった。


「その願い、きっと叶えてあげましてよ……これ以上ないほど近く、わたくしの傍にはべることを許しますわ」

「い、いえ、そのっ……それは、ですね――」

「ん?」

「……み、身に余る、光栄です……ありがとうございます」

「よくてよ、よくってよ❤ 忠実な従者がそんな風に思っていただなんて、主冥利に尽きますわね!」


 なぜこれほどに――と思いはするが、ここまでご機嫌なお嬢さまの気分を、台無しにするわけにはいかない。

(いや、まぁ……ほかに望みがあるわけじゃないから、いいんだけど……)

 ただ――常にこれほど近くにいることになれば、それはそれで困る。

 リスティアの美貌は、それだけでニルス特攻。

 間近で見続けると、精神的ダメージが大きい。心が持たない。しんどい。


 しかも――こういった屋内では、彼女は鎧をはずしていることがほとんどだ。

 つまりは、そのメリハリあるボディラインが、服を挟んで密着してくる。

 アンデッドであるはずの彼女だが、肌はとてもやわらかく、そして温かい。

 いまこうして、顔を寄せられ、腕に抱きつかれているだけで、心が狂わされてしまいそうだ。


 救いを求め、デューラのほうを見つめるが、救いはなかった。

 シャドーボクシングをしているのは、なにかの応援だろうか。

(だ、誰か……なんとかしてっ……)

 お嬢さまに捕らえられると、自分では逃げられないし、動けない。

 このまま彼女になにをされても、抗うことは不可能だ。


 一方で――なにをされるのかという期待もある。

 そんな不純な思いを振り払うように、ニルスはますます身を固くしていた。

 色んな意味で、硬くなっていた。

 旅から帰ったばかりで、湯浴みもしていないというのに、リスティアからは甘くかぐわしい香りが立ちのぼっている。

 その芳香も、ニルスの色々な硬直を助長する。


「……あぁ、ニルス……とても、かわいいですわ❤」

 囁く声が耳をうがち、ゾクリと背筋が震えた。

 身体の一部を除き、筋肉がたちまち弛緩してしまう。

 ただ声をかけられただけだというのに、熱い衝動が身体を駆け上がっていた。

(も――もう、だめっ……)


 その感覚に抗えなくなり、意識が遠のきかけた――まさに、そのとき。


「――お風呂が沸いたぞー。ニルス、入れ。背中を流してやるぞ」

 バァンッと勢いよくドアが開かれ、トイコがとことこと駆け寄ってきた。

 そしてあろうことか、リスティアを押しのけるようにして、ニルスの膝にちょこんと飛び乗る。


 飛び乗るといっても、トイコとてそこまで小柄ではない。

 同年代くらいの少女――リビングドールではあるが、生体と変わらないやわらかな身体が、膝に跨ってきた。

 鼓動は、また一段と大きく跳ねる。


「その前に、おかえりだ。トイコはちゃんと待ってたぞ、褒めろ」

「た、ただいま……ありがとう、トイコちゃん……えらかったね」

 お嬢さまに抱きつかれていないほうの手で、なんとか彼女の頭を撫でた。

 四白眼の仏頂面が、たちまちパァッと華やぐ。


 その後に待ち受けていたものは、なにか。

 もちろん、戦争だ。


「は・な・れ・な・さ・い・な~~~~~~~っ、トイコッッ!」

「んぉっ、おぉぉぉ……お嬢さま、すごい腕力だ……んぐぐぐぐ……」

「こちとら全力でしてよっ! なに抵抗してますのっ!」

「トイコもニルスの膝がいい。お嬢さまもそうなら、半分ずつでいいぞ」

「ちゃんちゃらおかしくてよっ! そもそも、全部わたくしのものですのに!」

「ご、強欲……圧倒的、強欲……っ……」


 首が曲がるほど押しのけられているが、トイコも一歩も引かない。

 そうすると、どうなるのか。

「いっ……いだっ、あっ……あっ、あぁぁぁ……お、折れ……ちぎれ、る……」

 トイコに抱きつかれているニルスの身体が、同じくらい強い力で引っ張られ、ひしゃげそうになる。


「……お嬢さま、どうか冷静に。トイコも、主人に譲ることを覚えなさい」

 見かねたデューラが、二人の首根っこをつまみ上げてくれなければ、ニルスは今日が命日となるところだった。


「デュ、デューラさん……ありがとうございます、助かりました……」

「いえいえ、私もおもしろがって――もとい、お嬢さまのご成長を見守っておりましたもので、ついお止めに入るのを遅らせて――遅れてしまいまして」

 なにやら不穏なことを言いかけていたが、聞かなかったことにする。


「と、とにかく、リスティアさま……お湯の支度が整ったようですし、お先に汗を流してこられてはいかがでしょう」

「む……」

 なにかに思いいたったように、彼女は鼻先を二の腕に寄せ、スンと鳴らした。

 それからやや顔をしかめ、頬を染めて距離を取り、もじもじと身を抱く。


「そ、そうですわね……道中では、濡れタオルで身体を拭いたくらいですし……たしかに、少し……においますかしら……」

「そうでしたか? 僕は気になりませんでしたが――でも、リスティアさま自身が気にされるのでしたら、そのほうがよろしいかと」


 反射的にそう答えてしまうが、いずれにせよ本音だ。

 それを聞いたリスティアは、瞳を見開き――唇をわずかに緩ませる。

 もちろん、顔は赤いままだ。


「ふぅん……ニルスは、不快ではありませんでしたの?」

「え、ええ、もちろん……どちらかといえば、その……いい香りで――」


 しまった――ここまで言う必要はなかったか。

 ハッと気づいて口を押さえたが、手遅れだった。


「……この匂いが、好きですのね?」

「っ……いえ、その……つまり……不快ではない、ということで――」

「なるほど……へぇ、そうでしたの――」

 リスティアはにんまりと笑い、先ほどのように身を寄せてくる。


「……ヘンタイさん、ですのね❤」


 囁かれた瞬間、雷に撃たれたように、脳髄が痺れた。

 思わず絶句させられるが、身体中は羞恥と興奮の熱に包まれ、汗が噴きだす。

 しばし、そんなニルスをジィッと観察していたリスティアだが、やがて彼女はニルスの手を取り、引き寄せた。


「よくてよ、先に汗を流しますわ――ニルス、背中をお流しなさい」

「は……えっっ!?」

 ショックが二度続き、逆に意識を取り戻したニルスの返事を待たず、身をひるがえした彼女は告げる。


「トイコもいらっしゃいな。あなたは、ニルスの背中を流すのですわ」

「おお、そうだった。行くぞニルス、三人で洗いっこだ」

「あっ、ま、待ってくださいっ――ああああああっっ!」

 二人がかりで引っ張られては、太刀打ちできるわけもない。

 両腕を持って引きずられるニルス、その隣にデューラがスッと近づく。


「デューラさんっ、助けて――」

「ニルス殿、これを……」

「デューラさぁんっ!?」


 差しだされたのは救いの手ではなく、木桶に入ったお風呂セットだった。


 嗅覚というか、匂いの好みは人と同じ。

 ただ、体臭についてだけ特殊。

 自分にとっては普通にお風呂入ってない臭いだけど、人間にとっては媚薬並の匂い。

 ゆえに、ニルスが特殊趣味に見える。

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