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【外伝】あなたが教えてくれたこと  作者: 小林汐希
7話 許せない噂話
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【7-1】 あの子が何をしたっていうの!?

<高校2年3学期>




 年が明けて、結花があたしだけにこっそり教えてくれた。


 結花の一時退院と、試験的な通学を計画しているという内容だった。


「ちぃちゃん、いつもありがとう」


 久しぶりに見た結花の制服姿はやっぱり落ち着く。


 体育などは見学だし、髪型も短いままだったけど、やっぱり戻ってきてくれたことは嬉しかった。


 校門のところで小島先生が立っていて、表向きは他の生徒たちにも普通に挨拶をしていたけれど、内心は登校してくれたことにホッとしていたと思う。


 でも、そんな平和な時間はすぐに終わってしまった。


 それどころか、肝心なことをあたしだけじゃなく、先生にも伝えていなかったなんて知ったのはずっと後。


 もし、それを知っていたら、この時間はあたしも先生も止めさせていたし、その後の結果も大きく変わっていたんじゃないかと思う。



 結花が試験登校を始めてから数日後の体育の時間、女の子の日になってしまったあたしも見学で、結花とポツリポツリと話をした。


 本格的な復帰はなかなか難しいかなと言っていた。


 その時は、やはり1ヶ月以上のブランクだったり、体力的なものもあるのかと思ったから、少しずつリハビリしていけば大丈夫だよと答えた。




「ねぇ、佐伯さんも気をつけた方がいいよ?」


 その体育の時間が終わってお昼休みに入ったとき、クラスの子からこんな声をかけられた。


「なにが?」


「2組の原田さんの病気、近くにいるとうつるって。だから近寄らない方がいいよって」


「なにそれ!? 誰が言ってるの?」


「2組はみんな知ってるみたい。1組でも佐伯さんだけだよ知らないの」


「そんなバカな!」


 冗談じゃない。あたしは教室を飛び出して隣に向かった。


「遅かったか……」


 すでに結花の姿は教室になかった。そして、あたしを見る視線。


 間違いない。隣である1組ですら知っているのだから、2組で知らないわけがないんだ。


 もう昼休みとか昼食はどうでもよかった。


 結花を探さなくちゃ。中庭を見たけれどあの姿はない。


 「戻るのが難しい」ってのはそういうことだったのか。


 結花の病気は卵巣がん。がんという病気自体が基本的に自分の体の中だけで起きるものだから、生体移植などを受けるなどのよほどの特別なケースでない限り、ましてや学校生活で同じ教室にいる程度の普通の生活で他人に感染するなんてことは絶対にありえない。


 もしそんな噂の情報が現実のものだとしたら、今や世界中大変なことになっているはずで、そんな患者が入院している部屋は面会謝絶の個室でなければならないことになる。


 どうしてこういうばかげた情報ばっかり広がるんだろう。混同されやすいのがウイルスが原因となる子宮頸がんとかもあるけれど、それは直接うつるのではなくて、ウイルスに感染してから可能性が出るという程度の話だ。


 インターネットのいい加減な情報を見分けることもできないのか!


 だから、みんなうつりたくないって誰もお見舞いに来なくなったんだ。


「ふざけんな!! 結花が何をしたって言うの!!」


 結花を探しながら、あたしの頭の中は怒りで煮えたぎっていた。


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