石灯籠を作りました
なんだかんだでお昼御飯も済ませました。
それなりに気をかけてはいるのですが、前に来た時に比べて特に変わった所はありません。クラウゼルさんとカロリーナはもちろん、屋敷で働く皆さんもです。
違っているとすれば、常に何かの気配が近くにいる事くらいでしょうか。
今日は魔法のデモンストレーションをしておこうと思って、家令さんに頼みごとをしたのですが…… 早いですね。頼んでから2時間と経っていません。
「おうナギ様、頼まれだもの持ってきたけんど、どこさ置ぐだ?」
「ああ、すみませんね。この辺りでお願いします」
「おいよ」
リセット達がもっこで運んできたのは、カラーボックスほどもある岩塊だ。
適当な大きさのものをと頼んでおいたが、理想的なサイズである。
「大変だったでしょう。休んでいってくださいな」
こういう時には広い廊下は便利ですね。
軒先に踏み台になるような石でも置いておけば、ちょっとした応接間に早変わりするのですから。奥の部屋から飲み物とお菓子を持って来ましたから、饗応としてはパーフェクトですね。
「お、悪いなや」
「まだ試作品に近いもので悪いんですけれど」
「よがっぺぇ。…おいよ、ナギ様からだ。食って休んでったら良かっぺ」
リセットさんが連れてきた若者達は、この春から使用人として働き始めたばかりの新人さんだそうです。人材育成も家令の仕事ですか… 大変ですね。
採用した当日から普通に仕事をこなして当たり前だとほざいている世間知らずな老害とは次元が違いますね。さすがはヒーノ家です。
「いただきます」「おっ、うめぇぞコレ」
差し入れをぺろりと片付けた青年たちは、もっこを担いで帰っていきました。
そうそう。もっこというのは、頑丈な網などの四方に縄を取り付けたものです。
工事をする時などに重い物を運ぶための道具で、網の中に運ぶ荷物を入れて長い棒にぶら下げれば、米俵(重さ60キログラム)くらいは簡単に運べます。
後に残ったリセットさんは、運び込んだ岩塊を見て不思議そうにしています。
「こっただもの、何に使うだ? 庭石にすんならもっといげぇのがあっど?」
そうでしょうね。
庭石にするには小さいし、漬物石にするには大きすぎます。
言ってしまえば中途半端なサイズなのです。
「まあ、見ててくださいな」
ナギは適当に呪文っぽく聞こえる何かを唱えながら両手を岩塊にかざすと、岩塊の下に現れた魔方陣から青白い光が立ちのぼった。
立ち上った光は色彩を青く赤く変化させながら回転ながら岩塊を包み込む。
「ふう、無事に魔法が発動しましたね」
「これ大丈夫だっぺな? 爆発すねーげな?」
皆さん強い光を前にすると不安になりますね。
昨日は執務室で家老さんも言っていましたが、強烈な光…
やはり爆発でしょうかね?
だとするとアレかも知れません。
「大丈夫ですよ。古代語魔法には、こういうモノもあるんです」
「ほーげ、ならよかっぺ」
ナギがやっているのはズルである。
魔方陣を出現させて光らせるまではナギの魔法だが、実際のところ魔方陣が発する光は、ただの目くらましだ。
この間に何をしたかと言うと。
岩塊を亜空間要塞の工場で作っておいた石灯籠とすり替えただけです。
この程度の転送なら軽いものですよ。
「そろそろ出来ますかね」
魔方陣が消え去った跡に後に残されたのは、腰くらいの高さの石灯篭です。
基本的には丸雪見という様式なのですが、笠の部分は、かなり小さめです。
そこにすぼまった猫足を付けていますから、頭でっかちのクリオネというか。
まあ、そんな感じのモノです。
もちろん私が作ったですから、ただのエクステリアではありませんよ。
「見事な技だなや。これが古代の御業けぇ?」
「ええ、まあ…… それなりに見られるものになったと思います」
「いンやどうも。これなら十分、売り物になっぺよ。てぇしたもんだなや」
リセットさんは感心することしきり。
なんか背中がこそばゆくなってきたわよぅ……
神社お寺で見かける石灯籠。
昔は街灯のような使われ方をしていたようですね。
100均のソーラーライトでは風情がががが……




