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不思議な異空間の中で

 ナギがこの場を離れてしばらく──おおむね5分という所ですか。

 私もまたこの場を離れなくてはならないかも。

 かすかな… ほんの僅かですが時空間が揺らいだのを感じてしまったから。

 この場でそれに気が付いたのは私だけでしょうね。


「ごめんなさい、私もちょっと……」


 そう言って、私は森の中──ナギの消えていったあたりで……


「ふむ、ナギは大変なものを摘みに行ったのかも知れませんね」


 森の中にある小さな広場で見つけたものは、身長4メートルくらいの人の形をしたモノです。丸い頭に濃淡2種類の緑色に塗り分けられたそれは、決してこの時空間に存在してはならないもの。

 確率論の上では存在する時空間は存在しますけれど…… ちょっと、ねえ。


 可能性の分岐線の中には、たしかにコレが存在する時空間も無い訳ではありませんけれど……

 少なくともこの時空間では、この人型兵器は想像の世界の産物でしかないし、これからもそうでなければならない──


 そのくらいにヤバいモノなのですよ。

 目の前に転がっている最低のヤローというものは、ね。


 きしっ……


「……こっち… かな?」


 時の果ての世界で魂魄だけの存在となって眠っていた私が、創造神様の手で目覚めさせられた時に色々な力が与えられています。創造神様はお気付きになっているかどうかは分かりませんが、超越生命体から神族にクラスチェンジした私もまた上級神クラスの能力に目覚めていたのです。


 だから……


 この場に閉鎖空間が在るというか、疑似空間が生み出されている事に気が付いたのです。数日前にも似たような事がありましたね。

 目の前に展開されている──仮に空間X(くうかんエックス)とでも言っておきましょうか。

 これは、あの時の疑似空間と同じものと考えても良いでしょう。


「これだけ短い期間で、同じ現象が2度も起きたなら、偶然とは思えませんね。

 それも、これは時空間の入れ替わりではありませんよ」


 ふむん。


「あそこ… ですか」


 私が目覚めた能力は、原初の神と似たような性質のもの。グ・エディン・ナで創造神様と暮らしているうちに、色々と影響を受けた結果だと思いますけどね。

 たとえば、普通の神にさえ見る事の出来ない『色々なもの』を視る能力。

 今回はそれが役に立つようですね。


 それは、時空間の僅かな歪み。

 それはほんの僅かな──灰色の染料に1滴の水を落として、それが広がるくらいに僅かなものですが、今の私なら確実にそれを見分けるくらいは出来ます。

 そして、そこが疑似空間… 空間Xへの入り口でしょう。


「はて、どうしましょうかね……」


 入り口があれば、そこから中に入れば良いのですが、入り方が問題です。

 私にはそうっと扉を細く開けて中を覗き込むなんて芸当は無理。

 出来る事は、扉を蹴り破ってなだれ込む事だけですが……


 んっ? この気配は……


「……ヘルマ神におかれましては、ご機嫌ナナメの御様子。何かお困りでございますかな?」


 微かな気配と共に、高位の神の気配が生まれて。

 さすがに慣れたものですね。あなたのような上位の神が、神気の欠片すら洩らさずにこの場に現れるとは。


「オオトヒワケに御座います。私なら御身の役に立てましょう」


 オオトヒワケノカミは、内と外を隔てる全ての門を司る門の神。

 たしかに彼の能力なら、空間Xへの扉を、そうっと細く開けるくらいはお手の物ですね。そうすれば中で何が起きているのか分かるかも知れません。

 折角ですから、お願いする事にしましょうか。


「かような事なら、私にお任せあれ」


 流石は門の神ですね。右手のひと振りで空間の歪みが薄れるとは。

 これで、ようやく扉の向こうの様子が見えてきましたけれど……


「……何をやっているのよ、あの2人は」


 私の目の前に立っている人物の服…… 十二単衣のあちこちからは、ぷすぷすと煙が上がっているではありませんか。


 ばさっ……


 音を立てて、焼け落ちた左袖の下から覗くのは銀色の…… スキンスーツ。

 それは2年前に目の前の人物と一緒に時間旅行をした時に作ったものです。


 そして、対峙しているのは……

いきなりオオトヒワケノカミが登場したのですが……

彼の出番はここまで…かな?

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