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公務員は着替えをする

 エスターにお呼ばれ(らち)されてイズワカまで来たまでは良いけれど……

 着替えは下着に至るまで、すべて用意されているのはデフォですけど……

 用意してくれた服は、さすがクバツ神殿の神官長のデザインとしか……


「いくらなんでも… コレは何なんですかぁ」


 寝間着はいいのよ。この姿で外を歩き回る訳じゃないからね。

 でもねぇ…… この防寒服はいかがなものかと。


「あら、嶺衣奈ちゃん。よく似合っていてよ」


 あのね、エスター。そんなに緩んだ表情で言われても説得力なんか無いって。

 いくら今年の干支がウサギだからと言ってもね、神官長がウサギの着ぐるみをデザインするとは思わなかったわよ。

 もこもこで暖かいのは良いけど、サイズがぴったりというのが気になるわ。


 それはともかくとして。このデザインは、とにかくヤバい。何かと間違えられたら、怪我じゃ済まないと思う。


「このあたりにも野ウサギはいるけど… 大きさが全然違わなくて?」


 うんにゃ、いる。

 歴史の授業でウサギバブルの事くらいは知ってる。あと、アンゴラ狂乱ね。

 あの時は、どこかの国でチューリップの球根が高値で取引されようにウサギが投機対象として扱われてたんだって。

 その関係からか、ウサギ税とか、よく分からない税金まであったそうで。


 ……じゃない。その時代から毛皮や食用にウサギは家畜化されていたし、ウサギバブルでは色々な種類のウサギが輸入されてた。その中にはジャーマンジャイアントとかフレミッシュジャイアントなんて巨大なのもいたし。

 あいつら、でかいのは私の肩くらいあるし……


「でも、羊に押されて数は減ったと思っていてよ」

「エスター、それは甘い。あいつらの増殖はネズミ並みだよ?」


 そんなのと間違えられて埴輪に槍でチクチクされる程度ならまだしも、銅鐸に攻撃されたら洒落じゃ済まないのよね。エクサイマーは射程が長いし、威力も半端ないし。


 前に装甲戦闘機(オウヴァ・ジーナ)を撃墜したのはアイツ。あの装甲が1発で駄目になるとは思わなかった。わたしゃあの装甲より丈夫じゃないと思うよ。


「そういう事なら仕方がないわね。じゃあ、パイロットスーツでも着ておく?」


 げ。アレを着るの? でもあれってオーダーメイドじゃなかった?

 それにね、アレには抵抗があるんだよね。身体の線がくっきり出ちゃうから。

 でも、そんな事も言ってられない… かな。


「他に防寒服はなくてよ? さもなければアレを着るしかないけれど?」


 ぐぬぬ… ええい、女は度胸! パイロットスーツを着ますから。


「…あ、ぴったり?」

「あなたの体型データーなら記録されていてよ。そうじゃないと、服どころか下着さえも作れないじゃない」


 ふぅん、意外と動きやすいし、妙な違和感も無し。

 簡易宇宙服にもなるって聞いてたから、もっとごついものを想像してたけど。


 じゃかっ。


「えっ?」


 振り向くと、メイドのひとりが重機関銃こっちに向けて? ちょっと待っt


 どががががが……


「ぎゃあああ!」


 ……あれ?

 撃たれた瞬間にぎゅっと目をつぶっていたけど、着弾の衝撃が… ない?

 私の周りには弾頭が? どゆこと?


「その程度でどうにかなるようなパイロットスーツではなくてよ」


 エスターはくすくすと笑いながら私に近づきながら、ヌカしやがりましたよ。

 重機関銃の弾丸が当たったら乗用車くらい簡単には粉々できるの。もしそれが私に向かって飛んできたとしたら…… 恐怖以外の何物でもないじゃない。


「そしてね、これは私たちが改良しているから… こんな事も出来るの」


 さわさわさわさわ……


「ひゃうっ!?」


 私のお尻に何をす…… んっ?


「いま、私のお尻……」


 指先でつつつーっと… わきゃきゃきゃ、くすぐったいじゃないのよう。

 ……んんんっ?


 重機関銃弾が当たたのに何も感じなかったけど、エスターに指先で軽く撫でられたのは分かるなんて…


 ひょっとして… こいつって、とんでもねー高性能な服?

鶏肉をかしわ、馬肉をさくらと言うように、ウサギの肉はヒノマルと呼ばれています。とても柔らかく淡白な味わいで、脂肪分の少ないヘルシーな食材なのです。

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