モダテの大門にて(後編)
モダテの里は住民の全てがエルフという事を除けば典型的な農村集落です。
だから、ここまで高度な町並みに迎えられるとは思いませんでした。
門を守る武士団の皆さんから、意外な頼みごとをされました。
カロリーナが病気らしいと言っていました。
調子が悪いのに、心配をさせないようにそれを隠しているようだ、とも。
だから診てやってくれ、と。
「それでは里長さんの屋敷に行きますね。ええと……」
「イザックだ。フォルナー・イザック」
エルフは美男美女が多いと聞いていましたが……
イザックさん、ですか。なかなかのイケメンですね。
ちょっと年が離れているようですが、このくらいは許容範囲だと思います。
シャイな感じがするところが可愛いというかなんというか……
「どうしたのですか?」
どうしたんでしょうね。
何やら良い淀んでいるようですが。
「ん? ああ…… 婦女子にこんな事は… ちいっと言いにくいんだけンどよ」
「些細な事で機嫌を悪くするほど沸点は低くないつもりですけど」
今ならユーディが初対面で示した反応が何となくわかります。
この場合は、私を女性として見てくれた、という事ですよ。
これはワクワクものですね。
「そうか、実はな……」
彼の心の中の葛藤が見えるようですね。
天使と悪魔のにらみ合いですか。さあさあさあ、悪魔よ頑張りたまえ!
「告白とか?」
きゃあああ~
たしかに今の私は誰もが認める美少女ですからね。
家事とか料理のスキルは伸びしろ100パーセントですけど何とかなります。
体力的にも自信がありますから、病気なんかとは無縁ですよ。
「いや…… それは無いんだけんどよぉ」
え?
無くないでしょ?
目の前に絶世の美少女がいるんですよ。
こんなチャンスは2度と無いかも知れないのに。
いいの? 後悔してない? 絶対?
「イザック様に限って、それだけはねェな」
「そうだな、あり得ねぇ」
いつの間にか皆さん集まってきちゃいましたね。
で、私のような美少女を前にして告白どころかまゆ一つ動かさないなんて。
ひょっとして、そっちの方でしたか?
「だってよぉ……」
「見ちゃってっからなぁ」
なにをですか?
「俺ら、あン時に森にいたし」
見ててくれてたのですか、私の可憐な闘いぶり。
すごいでしょ? 優雅だったでしょ?
水神様が奉納の舞のようだと誉めてくれたんですよ。
「……そーいうのと付き合ってたら生命がいくつあっても足りねぇって」
「そんなぁ、ガザックさんまで」
「いや、冗談なんかじゃねぇ。これマジな話な」
「だから告白とか、あり得ねーって」
うう、なんか気まずい。
イケメンエルフから告白されるのかと思ったら、お腐れ様みたいだし。
周りの人からも引かれちゃってるし。
……え? ちがう?
イザック様って結婚してたの? お腐れ様でもない?
「オメーが何考えてっか分かんねーけんど、そういう訳だ」
おーまいがー! なんて日だ!
イザックさんは何を言いたかったのよぉ?
「オメーが着てる服なんだけんどヨ、なんか周りから浮いてっから」
……こいつは好きで着てるわけじゃないんです。
水神様のリクなんですからねっ。
……ふん。
うわあああ……
やっちまいましたぁ。
アヒャヒャヒャ(゜∀゜≡゜∀゜)ヒャヒャヒャ




