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眠れる神とナギと眠らぬ・・・

 それにしてもまあ、色々な出来事が起きるものですね。

 まさか神様が、あれしきのお酒で酔い潰れてしまうとは。

 でもまあ、それも仕方がありませんか。


 水神様も竜王様も厳しい修行の末に神にクラスチェンジしましたが、元はと言えば人間──ヒト族なのです。こういう事があっても不思議ではないかも。

 それよりもノギハヒメ様の方が酔い潰れたのが問題です。

 彼女は龍人族なのです。それも末姫とはいえ、龍王の血族です。


 龍神と人類の間に生まれたのが龍人です。特に龍王の血族は亜神──限りなく神に近い存在なのです。よくもまあ竜王様は彼女を娶る事が出来たものです。


「とにかく3柱をこのままにしてはおけないわよねぇ…」


 布団の中に押し込んでおけばいいか。朝になれば勝手に起きるでしょうし。

 花音もそう思わない? ……花音?


『あのままだと砂糖漬けになるかと思ったから、身体は艦内に回収したわよ』


 ああ、そういう訳ですか。

 じゃあ、私も…… んっ?


「んんんんん?」


 何か変ですね。

 まだまだ夕食時と言える時間なのに、物音ひとつ聞こえないのです。動きがあるとしたら、城内のあちこちに植えられている山桜。

 花の盛りのこの時期ですから、花びらが風に舞う風景は風流なものです。

 でも、それだけと言えば、それだけ。


 茜色の空を見上げれば、カラスすら飛んでいないのです。かと言って、いつぞやヘルマが降臨した時のように時間の流れが止まった訳でもないのです。

 生き物だけが、まるで……


 はっとした私は、レオノールに命じていました。


「すぐにイズワカ盆地の全域の偵察を始めて! なんか様子がおかしいのよ。

 あと、アルーガと亀ヶ城にも何機か」」

『わかった。第4ゲート、開放。エリントシーカーを出すわよ』


 本丸御殿の裏手にある物見台は航空機発着場です。擬装プレートを石垣の中に引き込むと、大きな立坑が口を開けるのです。

 1分と経たないうちにリフトアップされたエリントシーカーが四方に散っていきました。


「これでよし、と……」


 偵察用の小型ドローンは城内パトロールをさせる事にして。これは魔石を組み込んで石灯籠と連携させる事でレオノールがリモコン操作をしなくても自由に動き回る最新型なのです。


「まさか初飛行が実戦になるとは思いもよりませんでしたけど」


 私は… 私も出ますか。

 小白龍を装備していれば、大抵の事には対処できます。魔法や光線技は、イズワカ城の中で使うには威力があり過ぎるのです。

 そして…… ヘルマからもらったアミュレットも忘れずに装備して、と。


「さて、行きますか」


 本丸にいるのは、私たちとメイドロイド。貉さんたちもいますけど、彼女たちに任せてしまいましょう。とにかく目指すは2の丸です。ここには、モダテの里から来た人とか妖怪さんなどの、城勤めの人達がいるのです。

 まずは彼らの無事を確認してからですか。


「この時間だと、人がいるのは武士団本部と食堂…… 見事に眠っていますね」


 食堂では、食事の最中に寝落ちしてしまった人もちらほら。ご飯に顔を突っ込んでいる人はいないから、とりあえずは放置という事で。

 厨房のかまどだけは、火を落としておきますか。

 何かのはずみで火事になったら大変な事になりますから。


 こうなると、他の場所でも……


 武士団の詰所というか、主力部隊のいるのは西出丸という場所です。

 ここにいる50人ほどの武士が、有事の際の即応部隊という事になります。

 それなのに……


「ここも…… 眠っていますか」


 こうなると今のイズワカ城は、ほぼ完全に無防備です。辛うじて動いているのは石灯籠とドローンだけ。自我のある──人や妖怪だけではなく、ペットに至るまでの全ての生物が、この有様なのですから。


「あら、あなたは起きていられるの?」

「だれっ!?」


 私が振り向いた先には……

イズワカ城の3Dモデルは作ってみましたが、人様に見せられるようなレベルではないんです。

本丸御殿は頑張ってみましたが、本丸じたいは未完成だし……

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