表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/1000

今日は歩いて行こう

 水神様の言う『迷いの森』の近くまでは、短距離転移の連続です。

 初めて行く場所ですから慎重にもなろうというものです。


「ええと…… このあたりの筈ですけれど…… ん? あそこですか」


 ここは幾筋もの川の合流地点です。川の氾濫は林に囲まれたススキと湿原地帯を作り上げましたが、かなりの高低差がありますね。

 迷いの森の場所はすぐにわかりました。


「やはり…… 浅いとはいえ、次元断層に間違いないですね」


 このタイプなら中心部に向かって進んでいる筈なのに、気が付くと森の外に出ているという程度のものですね。

 難易度高めですが、これなら転移ポイントに使えそうです。


「座標登録… おっけ。あとは上から見てみましょうか」


 私はふわりと浮かび上がると、あたりの地形も確認すると、次元断層からさほど離れていない丘の上に着地しました。ここなら空間転移をしても問題ありません。

 あとで目印になるような何かを置きに来る事にしましょう。さっきから視線を感じますが、彼らに対しても牽制くらいにはなるでしょう。


 さてと。なぜ私が次元断層にこだわるかと言うと。

 不用意に転移すると、うっひゃはーいな状態になる確率が高いのです。


 我々(アルサーニ人)にとって空間転移は日常の一部でしかありません。

 私たちの種族では転移魔法が使えない人の方がおかしいのです。

 次元通路の崩壊事故で個人情報のほとんどを失った私ですが、アルサーニ人としての知識や常識まで失ってはいません。

 その私にとって難易度高めなのですから、あとは推して知るべし、です。


 こんな場所を紹介した水神(おじゃる)様には倍返しですね。

 たぶん『ナギなら出来ると思ったのでおじゃる』とか言いそうですが、過大評価する事(たぶんできるだろう)は事故のリスクを激増させるのです。


 生命というものはお花畑な判断をすれば簡単に喪われてしまうものです。

 死んだ経験すらないような能天気の妄想に付き合う気はありません。


 状況が分かった所で、ひと休みしましょう。

 色々と歩き回りましたから、服装もチェックしておきたいですし。

 亜空間要塞に帰れば簡単なのですが、ひとりで出来るようになりたいから。

 女性としてのたしなみと言うやつですよ。


 今回着ているのは古式ゆかしくつぼ装束(つぼしょうぞく)虫の垂れ衣(むしのたれぎぬ)という衣装です。

 このチョイスは水神様(おじゃる)です。


 古い時代(平安時代)には当たり前だっただろうデザイン重視の衣装は、今の時代には向いていませんでした。はっきり言って動きにくいだけです。

 まあ、たまには良いでしょう。


 それよりも、お昼御飯です。

 お弁当は水神様が用意してくれました。

 珍しい事もあるものです。明日は大雨が降るかも知れませんね。

 ランチボックスの中身は三色おにぎりですか。


 もぐもg……


「グぁ、ずっば……」


 中身は梅干しでした。ハズレを引きましたか。

 この酸っぱいのが身体に良いのは知っていますけれど、強烈な味ですね。

 こんなものを、よく平気で食べるものです。


「普通に美味しいじゃないの。それにこれは体に良いのよ?」


 クラウゼルさんも、そんな事を言っていたような気がしますが。

 ラーリッド(ちきゅう)人の味覚はなんか時々オカシイと思う時があります。

 他にもいくつかありますが、梅干しはこれでも前座の扱いです。


 ……これ以上はやめておきましょう。

 言霊というのは発した言葉通りの結果が表れる不思議現象ですから。


 食休みをしてから、街道を歩くこと2時間あまり。

 街道に出てからしばらく歩いていると、やがて立派な門が見えてきました。


 なるほど。


 これがモダテの大門ですか。

 ささいな事で壊れてしまいそうな優雅な見かけに反して頑丈な造りですね。

お寺の山門って、どーん、と構えていて迫力がありますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ