表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
841/1000

聞いていませんけど?

 かなり強引というか、それとも贅沢と言いますか。

 あのピラミッドは、ケチラス号に積み込まれたランダーだそうです。

 そして特別製… なんですよ。

 だって、乗っている人が……


「余は、アヴォニア王アイ・Nが息子、ハイ・Eである」


 ……こうですからねぇ。


 着陸したピラミッドから出てきたパイロットっぽい女の子──と、言っても人間ではありませんね。どう見ても人造人間ですが、ハイファ達とは毛色が違うと言いますか…… 彼女から事情を聞いた私たちは、再び浮き上がる事に成功したピラミッドをイズワカ城に誘導して。


 本来の乗客だという男の人を本丸御殿に案内したんですよ。

 とりあえずお茶でも… という事になったのですが。


「願いを聞き届けてくれた事に礼を言う。まさか移住が認められるとは思ってもいなかった事なのでね」


 こんな風に気さくに話す、人懐っこい笑顔の人ですが…… 王様のムスコ……


 えええええ?


「まさか次期国王陛下が御出座(おでまし)になるとは、思ってもいませんでした」


 聞けば、王様は別の──ヴィルマーナに乗っているのだとか。

 1番偉い人がネームシップ──1番艦に乗るのはまあ当然ですけど。

 と、いう事はケチラス号って……


「うん。これは2番艦だよ」


 ケチラス号はコペ・Pさんやスチャラ・Kさんから、王都で建造されていたと聞いていましたが…… まさか2番艦だったとはねぇ。

 たしかに言っていましたね。これはヴィルマーナ級打撃戦艦… って。


「うむ。全部で10隻が建造される運びとなっていたんだ」


 それはともかく、ハイ・Eさんって… 皇太子殿下という事になりますかね。

 連れてきたのは、後ろのおふたりだけですよねぇ。それって王族としてはどうなんですかね。

 大胆といえば聞こえは良いですが、ちょっと不用心すぎませんか?


「あのピラミッド(ランダー)には、それほど余裕がなくてね」


 定員5人って… あれ、3階建てのビルくらいの大きさはありますけど。

 エネルギー・タンクが全体の6割。太陽水晶もラークッジ級のものを使っているって…… 王族スペシャルって感じですかね。


 で、皇太子殿下が地上まで御出座(おでまし)になる理由を伺っても?


「家来がなかなか帰ってこないのでね。心配になって様子を見に来たのだが」

「もしかして、コペ・Pさんとか?」


 やっぱりね。彼はケチラス号の船長だし、スチャラ・Kさんもそれなりに立場のある人だと思うし。いちばん地球に移住したがっているのは、あの人かも。

 でも、そういう人たちが出ずっぱりというのは問題ですね。


「……ハイファ、悪いけどあの2人を呼んでくれる?」

「かしこまりました」


 これでよし、と。

 まさかとは思いますが、あの人達は医務室で寝ています。

 それはね、病気でも何でもなくてね。


「二日酔いでダウンしていますから、時間がかかるかも知れませんが」

「はっはっは…… 二日酔いだって? 我らアヴォニア人が二日酔いなど…

 にわかには想像できないな」


 ふむん。


 症状なんかを聞き返してこないという事は、アヴォニア語にも二日酔いに相当する単語はあるのですね。

 ならば、それがどんな症状かも分かると思いますが……

 あれだけ呑んでいますから、相当にキツいと思うんですよ?


 体内のアルコールは薬で強制分解できますけど、その時に出来る二日酔いの原因物質まではどうにもなりません。本当はこれだって対処が──魔法を使えば何とかなるけど、そんな事はしてやらん。


 頭痛と吐き気でのたうち回っていればいーんだ。

 まさかあの人数で、一斗樽を2本も空にしたのが悪いんだい。


 まあ、興味があるのなら、今夜にもお出ししますよ。どのみち殿下も泊まっていくのでしょう? ピラミッドのエネルギータンクが一杯になるのは、明日の朝までかかりそうですから。


 そうそう。エネルギータンクの洩れ対策は、何とかなるかも。まだ実験中なんですけど、魔石の粉末が混ざった塗料でコーティングすれば……

 当座しのぎでしかありませんけど、無いよりはマシでしょう。


「かさねがさね、済まないな」


 いえいえ、それほどでも。

一斗樽の容量は約18リットル。1升瓶にして10本分。

さらに言うなら、中身はあの液体燃料もどきだったりしますから……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ