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そして始まるささやかな宴会

 話が終わって日が暮れて。


 オトコというのは悲しいイキモノですねぇ。

 ザーラックさんも言ってたけど、男が人前で涙を流すのは格好悪いとか。

 妙なプライドは身を滅ぼしかねないと思うのよね。


 というか、花粉病にでもなってしまえ。

 そして、盛大に格好悪い姿を晒してしまえばいーんだ。


「まあまあ、ナギ様もそのうちに分かりますよ」


 私のボヤきを聞いた女性陣は、けらけらと笑い飛ばすと、湯煎していた大きなやかんを持ち上げた。中には1升瓶3本分くらいのお酒が入ってる筈なのに。

 ううみゅ、旦那持ちは強いなぁ。


「じゃあ、これ。ついでだから持って行ってね」

「へいへい」


 私は、温まったお酒入りのやかんを片手に給湯室を後にした。

 今日のところはここまで、という訳で… 広間では、お食事会という名の宴会が始まっていたりする。

 ザーラックさんや、こういう段取りだけは完璧だな、オイ。


「料理は、着き次第持って行くからねぇ~」


 イズワカ城で、一番多く使われているのは2の丸になりますかね。

 ここの広間でユーディ達が奉納舞いの練習をしたり、そう言えば武士団の皆さんが将棋大会を開いたりしてますから、旅館やホテルにある多目的空間のようなものです。


 コペ・Pさん達の話を聞いていた広間だと、30人くらいは入れますかね。


 まあ、多目的な部屋ですから、お食事会だって出来ちゃいます。

 物置部屋からテーブルを運び込めば、会場のセッティングはオッケーだし、近くに給湯室があるから、お酒の入ったやかんを湯煎にかければいいし。

 そうそう、料理は他の場所で作っていますよ。


 この2の丸には、他にも色々な施設があります。城内に食事を供給するセントラルキッチンも、そのひとつです。3の丸にも食堂はありますけど、本丸御殿の裏に格納庫を作ったら、歯止めがかからなくなっちゃって……


 地上だけで戦争をする時代ならともかく、今はそうではありません。射程の長い武器が登場している時代に城内での白兵戦なんか、あり得ませんとも。

 だから、イズワカ城の見た目は古典的なお城ですが、石垣の内側には色々と仕込んでいます。


「はぁい、ご苦労様」


 広間に着くと、花音がやかんを引き受けてくれて。

 その中身はドワーフさん達が……


「……合成食糧プラントの他に燃料合成プラントも作っちゃゃおうか」


 そこで作るのはドワーフさんが特別の酒と言い、亀姫様が液体燃料もどきというアレですね。最初はランタンに使うために、ススの出ない燃料が必要だったから作ってみたんだけどね。


 純度の高いエタノールに茶さじ1杯分くらいのハーブの粉を放り込んだものだから、文字通りの液体燃料なのです。そのレシピをちょっと変えただけで、北極近辺の住民が愛飲していたお酒になるんだけどね。


 それをストレートでいくんだから、ドワーフさんの肝臓は特殊合金で出来ているのかも。肴は色々と味にバリエーションを持たせたエナジースティック。

 花音は試しに納豆味とイカの塩辛味を作ってみたと言っていましたが……


「需要は充分にあるみたいだから、新作にも挑戦してみたいわねぇ」


 あのね、花音。それってニマニマ笑いながら言う事じゃないと思うの。

 いや、これはマジで。心の奥底から真剣に。

 特に発酵食品(なっとう)はヤバいと思うのよ……


「そのあたりは、あと考える事にしましょ。

 広間に他の料理も届いた事だし、とりあえずはOKよねぇ?」


 うん、私もそう思う。あとは

 それより昼間の話だけど……


「コペ・Pとスチャラ・Kの話をまとめると、惑星アヴォニアはドラゴンの襲撃に会ったようだけど…… なんかスッキリしないなぁ」

「まあ、いいじゃない。そのうちに話してくれるでしょ」


 そうだといいな……


 ヘルマと付き合って、あの宝玉を取り込まされてしまった私だから分かる。

 地球を侵略した魔族の指導者と、惑星アヴォニアに侵略の手を伸ばした魔王ゲルベピーヨは同一人物だという事を。


 だけど、何となく違和感もあるのだ。


 惑星アヴォニアの侵略はドラゴンの群れによるものだが、地球での戦いは違う。

 序盤戦でこそドラゴンが出てきたものの、魔族と、魔族に率いられた魔物との白兵戦が中心だった。


 それは、全く違う戦略思想に基づいているのだ……

昭和時代の末に発売されたウオーゲームをしていて思ったのですけれど……


空軍が戦略爆撃してから陸軍が拠点を占領するか、最初から陸軍だけで戦うか。

これは戦術の違いですけど、現実にこんな事をしようとすれば大変な苦労をするのは間違いないと思うのです。少なくとも短期間での再編成は無理。

新しい戦略に対応できる人材の育成や物資の生産には、相応の時間が… ね?

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