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花音が運んできたもの

 私がもらった道の駅の管理棟。見た目は廃墟ですが、中身はとっても快適。

 ここまでリフォームが出来たのも、地下にあったトンネルのお陰です。

 私が地球に降り立った最初の場所… あの洞窟の地下に作ったダンジョン。

 あそこから海へとつながっていますけれど……


「トンネルは、この辺りの地下を通っていたのです」

「なるほどねぇ…… あのトンネルには、こういう使い方も出来たのね」


 そのトンネルの一部を管理棟の地下につなげると、簡単な補給路が出来上がるのです。さっそく潜水輸送艦を使って、物資を配達してもらいました。

 主に管理棟のリフォーム用の資材とか重駆逐戦車のための消耗品ですね。

 特に大砲の砲弾は、戦車に積んでいる80発分しかありません。


 そして重要なのは原子力電池。周囲の空間に漂っている魔力と言うか、魔力の素と言うか… そういうものを魔晶石に送り込むシステム──充電器(チャージャー)に問題が出たのです。


 いざという時に充電器が使えなくなったら、重駆逐戦車の戦闘能力は半減しますからね。燃料切れで動けなくなった重駆逐戦車なんか、石のタヌキです。

 そこを何とかするのは原子力電池です。前にもらったサンプルで構造とかは分析済みです。だからレオノールの工場区画なら簡単に作る事が出来るのです。


 さっそく出来たものを潜水輸送艦で配達してもらったのですが……

 でも、まさか花音が乗っているとは。あのシリーズは無人制御が前提では?


「だってぇ、拠点防衛なんて暇なだけなのよぉ。たまたま降ってきた『隕石』のお陰もあるけど、地下道の方もねぇ?」

「う…… イズワカ城のダンジョンをアルーガに繋いだのは私ですけど……」

「お陰で物資の補給はスムーズだし、妖怪たちも手伝ってくれるもの」


 この地下トンネルを掘った時の経験から、シールドマシンで下穴を掘りながらダンジョンを伸ばしていったのです。それに加えて私のダンジョンマスターとしてのレベルも上がっています。だから、ここの地下トンネルを造った時に比べて数倍のペースで工事が終わったのは言うまでもありません。


「あとは山岳戦用の『新兵器』をどうするか。そっちはナギの仕事でしょ?」

「そうなんですけどねぇ…… 材料は充分にあるのですが……」


 鉄をはじめとする金属材料は、あり余っているのです。海底に沈んでいた軍艦のサルベージから始まった資源回収をするまでもありません。

 材料を大量に使う重駆逐戦車は平地での戦闘には向いていますけど、これから主流になるのは山岳戦ですから必要ないし。


「だから出番が無くなった潜水艦隊は、新しい拠点に引っ越ししたのよね」


 ナルハマの近くにあるツクラという港湾都市があったので、ここに潜水艦隊の拠点を作りました。アジサイ号だけならトンネルの中に仕舞っておけば良いのですが、潜水輸送艦までは無理でしたから。


「それから塩の製造プラントは無事に動き出したわよ」

「よかった…… 在庫が無くなりそうだから心配していたのよ」


 これで心配の種がひとつ減りました。

 あとは松戸教授から頼まれた共用飛行場ですね。時空間の転移に巻き込まれていなければ良いのですけど。


 ここで超兵器A1号──10キロの『反』鉄を運ぶ飛行機を作るのに必要だと言いますが、最低でもマッハ2は出せないと拙いそうです。

 ここまで速ければ攻撃は当たらないし、ドラゴンの追跡も振り切れます。

 問題は現在の技術手段で、戦前に活躍していた超音速機を再現できるかどうかですが……


 メイド部隊のサイクロンに積んでいる重力制御装置では出力が足りません。

 あれは重力を中和するだけのシロモノなのです。

 それに、装甲戦闘機(オウヴァ・ジーナ)の超加速システムが異世界で作動するという保証はありません。


「なるほどね。だから試験飛行をする場所が必要なのねぇ」


 あの辺りは無人地帯だから墜落事故が起きても問題ないし、超音速機を飛ばすには2000メートル級の滑走路が必要です。そうなると、この先にある共用飛行場があれば好都合なわけで。


「そのためにはあの森を通るしかないのね?」


 重駆逐戦車は大型バスほどもある、歴史上最大クラスの戦闘車両です。

 連合軍はこれを撃破したという記録もありますが、燃料切れや故障で動けなくなったものを破壊して、撃破したと吹聴しただけです。

 魔改造された重駆逐戦車は… 無敵です。


「でも、あの森では消耗した魔晶石に魔力をチャージできないかも」

「そのための原子力電池というわけね? セルの量を増やしたから、あれだけでも数日は動けるはずよ」


 たぶん、それで何とかなると思うのですが……


 クレーンのお陰で、原子力電池と予備の砲弾の積み込みは終わっています。

 明日にも、あの森に突入してみましょうかね。


「まあ、死なない程度に頑張って頂戴」


 重駆逐戦車が破壊される事は無いと思いますが、仮に致命的なダメージを受けた場合には操縦室をレオノールに転送収容する事になっています。

 軽戦車では容積が足りなくて積み込むことが出来なかったシステムです。


 大きい事は、イイ事…… なのでしょうね。

重駆逐戦車の寸法を大まかに言うと……

車体の全長だけで8メートル、幅4メートル、高さ3メートルくらい。

それに対して軽戦車やヘッツアーは……

車体の全長は5メートル、幅2.5メートル、高さ2メートルくらい。


身近にある物でたとえると、大型バスと軽自動車って所でしょうか。

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