表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/1000

方位探知を試みる

 猫神たちが頑張ってデータを揃えてくれたので、さっそくエスター様のお屋敷に。

 エスター様は用事があって、数日は還れないという話だけど、執事のセバスさんに話が通っていて、言ったらすぐに図書室に案内してくれた。


「猫神社からからだと…… 北西… ちょっと右かな?」

「やや北寄りでございますね。北西北で宜しいかと」

「ありがと」


 私は地図に定規を当てて、鉛筆を走らせる。

 白黒印刷された地図は、とても上質な紙を使っている。

 王宮で使っているものより厚みがあるし、つるつるとした手触りが心地よい。


 しゅる……


 地図の上に赤い線が1本増える。


「次は… このお屋敷からね」


 街道をたどり、川の流れをたどりながら、地図の一点を指さした。


「ここ… かなぁ」

「惜しいですな。お屋敷はこの辺りでございますよ」

「こっち?」


 セバスさんが示したのは、地形のよく似た別の場所だった。

 えええ? 川がこう、街道が… なんで? 間違ってないと思うんだけど。


嶺衣奈(れいな)様が示された場所には『梅林』がありませんな」


 あ! 前に芋ジャージで転移したとこだ。


「…ごめんなさい」

「いえいえ、初めての作業でここまで出来ればご立派でございますよ」


 セバスさんは、にこにこと笑いながら、私の見落としを指摘してくれた。

 地図の見方が分かっていないので、線をどこから引き始めればよいのか分からないのよね。ここまで精密な地図を見るのは、生まれて初めてだ。

 だから1本の線を引くだけの作業に10分以上も時間がかかる。


「……こういうの、簡単に覚える方法って無いかしらねぇ」

「ございますよ」

「えっ!?」


 真面目な顔をしているけど、目の奥は笑ってる。

 なんだ、セバスさんなりの冗談だったのね。びっくりした。

 いつも言っているもんね。

 学問は地道な努力の積み重ね、王道などございません…… って。


「地図の読み方について、短時間で習得する手段は無いことはありませんぞ」

「……マジですか?」


 彼は軽くうなづくと、言葉をつづけた。


「習得時間は数分程度でございますな。ただし、喪うモノもございますが……」

「……寿命とか、魂とかじゃないですよね?」

「勿論違いますとも。個人差はございますが、人格に変調を……」

「学問に王道なし、ですよねっ!」


 私はノータイムで話を打ち切った。

 これ以上深みにはまったらヤバい事になりそうな予感がする。

 知識は欲しいけど、対価として人格?

 そんなリスキーな手段を使うくらいなら地道に勉強した方がマシよ!


「……ここからだと方角は北西北… で良いのかしら」

「そうでございますね」


 セバスさんは心なしか満足そうな表情をしている。

 定規を地図に当てると、方角をチェック。時計が11時のあたり… ちょい左か。

 また一本、地図に赤い線が増える。


「次はガルセリオン翁…… か」


 大神殿を再建した後の彼は、シオカの先で隠遁生活を送っている。

 住まいは香取海(かとりのうみ)を見下ろす小高い山の上にあるけれど、街道沿いのため、生活に不自由はないと聞いている。


「ここからだと、ずいぶん西に寄るのね」

「左様でございますな」


 もしも私の想像は間違っていないとすれば。

 いくつも引いた赤線の交わるあたりが時空震の『震源』という事になるはず。

 データは残り6か所ね。


 さあ、頑張らなくちゃ。

地震の震源とか電波の発信位置なんかも、こんな方法で調べる事が出来るそうです。

実際の手順は、もっと複雑らしいですけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ