表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
551/1000

謎の幼女とお出かけを

 昨日は端午の節句という事で。

 みんなで、ちまきとかしわ餅でパーティをば。

 今日は、そのお祭りの2日目なのです。


「ちまきと言っても、色々なバリエーションがあるものですね」

「ご飯のはいったのが美味しかったの」


 幼女の中では、中華ちまきがベストでしたか。

 次点で米粉に甘味を加えて蒸しあげたものです。

 そのうちにういろうでも作ってみましょうか。

 作り方や材料は、ほとんど同じですからね。


『それはそうと、捜索部隊からの最終報告が来たわよ』


 レオノールが展開した捜索網は、かなり広い範囲をカバーしています。

 3日がかりの大捜索で分かった事は、昴がダンジョンの外に出ていないということ。でもダンジョンの中でも見かけなかったという事は……


「貴賓室にいるとしか思えませんけど」

『誰か来ていたかしらねぇ……』


 貴賓室は、イズワカ城のダンジョンの中にある特殊な領域のことです。

 最重要防御区画… いいえ、下手をするとマスタールームよりも厳重な警備と魔術的なシールドが施されている場所なのです。

 そのくらいの事をしないと、ねえ?


『さすがに本場の神様は、放射エネルギーも半端ないのよね』


 いわゆる神気というやつです。

 水神様クラスの神気なら距離をとれば何とかなりますが、創造神様やヘルマの場合はねぇ……

 特に前者の場合、天変地異が起こりかねないそうで。


 創造神様なら、神気を抑えきれずにやらかした事でもあったのかも。

 それでも、つい「うっかり」の範囲なのでしょうけれど……

 もしもそうなってしまったら、ささやかに言っても大惨事ですね。

 大陸が沈む程度で済めばマシな方かも知れません。


「という事で、一度イズワカ城に行くしか無いと思うのです」

『そうねぇ…… いまのところ手がかりを持っているのは昴だけだものねぇ』


 こうして消去法で考えると、昴がいるのは間違いなく、貴賓室でしょう。


 ダンジョンのセキュリティは、かなり高度なシステムです。

 防御とかそう言う意味ではなくて、個人の認証という意味で。

 ガチガチに硬いものを構築してしまったので、花音のスペアボディでさえも個別登録しなくてはならなかったとか。


 逆に、そのくらい厳重な方が有難いかもね。

 特に今回のような場合は、都合がよかったかも知れません。

 おかげで昴の居場所が特定できたのです。


『私も詳しい事は教えてもらっていないからしぃ……』

「……お手柔らかにお願いしますね」


 レオノールもやる気満々という所ですか。

 時間旅行から帰ってすぐに花音のスキンスーツも改良したのですが、ちょっと早まったかも知れません。

 いつもは綺麗なお姉さん然とした花音が、肉食女子の顔になっていますよ。


 花音が暴走しても、何とか出来るからオッケーです。

 私のスキンスーツも改良していますから、個人戦なら負けは無いと思います。

 じゃあ、幼女を連れて…… あれれ?


『どうしたの?』

「幼女がどこかに行ってしまったのです。さっきまでは両手でかしわ餅を持って、不思議な踊りを踊っていたのですけれど……」


 ……寝てますね。

 両手にかしわ餅を握りしめて、テントから両足を出して。



『踊りつかれて寝ちゃったみたいねぇ』

「……こうしてみると、ただの幼女なのです」


 でも、決して見た目に騙されてはいけない相手です。

 普段は幼女然としていますが、いきなり大人びた振る舞いをするのです。

 見かけと年齢が合っていないというか、幼女に何か混ざり込んでいるのです。

 特に昴がからむと、暴走幼女と化しますからねぇ……


 とにかく、あんこだらけになった顔をふいて身なりを整えて。

 こんな時はチャイナドレスのお子様版というのは、ある意味お手軽です。

 ワンピだったらちょっと……


『じゃ、出かけましょうか』

「そうね… 昴の所に行くわよ」


 これでオッケー。

 幼女は、がばっと身を起こすとキラキラした目でこっちを見ています。


すばる(ごしゅじん)さまのとこ行く?」


 ええ、居場所が分かりましたからね。

 会いに行きましょうか。

幼児というイキモノは無限の体力の持ち主なのです。

つか、一時的にはオトナを凌駕しているというか……

……身体が付いていけないのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ