そして狼藉をはたらく者は
ナギは水神の祠に赴いたころ、時を同じくして、モズマの里から100名もの武士に護られたカロリーナ姫が到着。カロリーナはナギをモズマの里へと連れ帰るが、その間にナギが拠点として使っていた洞窟にエルフ族の若者が侵入していた。
果たしてナギの洞窟の中では何が起きていたのだろうか。
その時、その場所に焦点を当ててみる事にしよう。
連中が潜伏している洞窟に突入した我々は、視界を防ぐように立てられた板壁に向かってファイヤーボールを叩き込んだ。
ジジイ共が得意技だと言っていた、一点同時攻撃だ。
ふん、威力の調整が甘かったな。机の脚が焼け残ったか。
まあいい、この洞窟は俺達がアジトとして使ってやるよ。
あの忌々しいヒーノのババア共をモズマの里から追い出すためにな。
「……若様! 奥の方に何か据え付けてあった跡がありましたぞ!」
「明るくして調べてみるとするか。松明をつけろ」
「はっ、ただいま」
松明を用意させると、洞窟の中はそれなりに明るくなった。
我々エルフ族ならヒカリゴケが放つ光だけで充分だが、細かく調べるなら明るいのに越した事は無いからな。
「何かの台座があったようですな。動かされたのは最近のようです」
「ドラン様」ヨタックが走り寄ってきた。どうした、何かあったのか?
「隠し扉が見つかったようです」
「……ヨタック。巣穴に逃げ込んだネズミは駆除すべきだとは思わないか?」
「次期里長として当然の行ないですな」
鉄で補強した岩盤か。これならパパックが殴り割れなくても仕方がない。
時間はかかったものの、隠し扉を粉砕したぞ。
簡単な害獣駆除と思っていたが、なかなか楽しませてくれるじゃないか。
「なかなか凝った部屋ですね」
「天井も床も壁も、すべて花崗岩を磨いて作ったか。害獣にしては趣味が良い」
使われている石材は目がそろった質のいいものだ。
丁寧に磨かれている。まるで鏡のようだな。
これをドゥーラで売りさばけば、数年は遊んで暮らせそうだ。
素行は最低のドランだが、こういう所だけは鼻が利くのだ。
「けっこうな広さですな」
「ふん、所詮は見掛け倒しだ」
部屋は正方形か。全員で入っても余裕があるぞ。
どこかにライティングの魔道具でも仕込んであるのか、部屋の中は明るい。
暗闇よりはマシ、という程度だがな。
「松明は消すな。用心に越した事はない」
部屋の中を見回すと、正面の壁に古ぼけた扉があるだけか。
薄暗がりに潜んで待ち伏せ… は、無いな。人の気配すらない。
ばぎゃ!
古ぼけた扉を蹴りつけたら、一発で粉々になった。よし、行ってみるか。
「もろいな。ずいぶん安っぽい造りじゃねえか」
「若様、それは早計です。この扉はかなり古いもののようで。 …ミルック!」
残骸を調べていたボルックとミルックが、あれこれと言い合っているが。ようやく結論が出たようだ。
「……作り方の様式から考えると、ここは100年ほど前に築かれた砦ですな」
「砦だと?」
「隠し砦、もしくは避難所ですな。若様も老から聞いたことがおありのはず」
「こんな辺鄙な土地に、か?」
あいつら歴史学者を志しただけの事はあるな、説明もそこそこ分かりやすい。
つまり、祖先が作った軍事施設という事か。
まずいな。
「そうなりますね。もしもそうであれば、大まかな構造も見当が付きます」
「そうか、運が良いな。で、この先は?」
「倉庫が主なものになるでしょう。仕舞ってるのは武具のたぐいかと」
「という事は……その先もあるってのか?」
「当然、そうなりますな」
ここが地下に建設された砦だとしたら、出入り口は他にもあるに違いない。
やばいな。ここで時間をかけすぎた。
回り込まれて背後を突かれたら面倒な事になるじゃねえか。
さあ、ここから先が、ナギが設計した地下ダンジョンです。
さあ、さくさく進めますよぉ(笑)




