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もっと狼藉をはたらく者

 モズマの里を出発した私は途中の森の中から亜空間要塞に転移しました。

 色々と収穫もありましたし、楽しい事もありましたが、やはり、家が一番です。

 洞窟の前の梅も、じきに花が咲くことでしょう。


「アーロイスもいい子にしていたわね」

「当然の事でス」


 あれほど拗ねていたアーロイスも、撫でてあげた途端に機嫌を直しました。

 ふふっ、可愛いものですね。

 そのうちに『お食事』専用のトンネルを作ってあげましょう。


 このあたりで魔物といえば… オーガやオーク、ゴブリンなどでしょう。普通に見かけますね。他にも居ないわけではありませんが、もう少し調べが進んでからにした方が良さそうです。


「あのダンジョンも使い方次第だったでしょう?」

「うン、あれはビックリしタ」


 モズマの里で捜索願が出され、武士団が中心になって、あちこち探している人達なのですが。たしかジャアック家の若様を含めて、全部で24人でしたか。

 やはり、あの時に洞窟に入り込んだ御一行様だったようです。


 そう言えば、あの時……


「ふはははは、ヒト族など骨も残らず灰にしてやったわ!」

「さすがドラン様」「お見事でございます」


 たしか、そんな事を言っていましたね。

 あの男性がドラン・ジャアックという人物なら、行方不明者リストに名前がありましたから、これはもう確定ですね。


 あの時には……

 何があったのか順を追って思い出してみましょう。


「……若様! 奥の方に、何か据え付けてあったようですぞ!」

「明るくして調べてみるとするか。松明をつけろ」

「はっ、ただいま」


 何やらごにょごにょと呪文を唱えていましたが、松明に火が付きました。

 …なるほど、ファイアーボールの下位になる魔法ですね。

 私は出力を落としたファイアーボールを使っていましたが、最初から出力が限定された魔法もあるわけですか。魔法も奥が深いですね。


「……ここの岩だけ、響きがおかしい」

「間違いないのか?」

「ああ」


 一緒にいた人も、こんこんと壁を叩いていますね。


「間違いないな。向こう側には空洞がある」

「なるほどな。やけに手ごたえが無いと思ったら、穴倉に逃げ込んだのか」

「ふはは、情けない奴らだな」


 ひとりの男性が隠し扉に気が付いたようです。

 黙々と槍の石突で壁を叩いてたのですが、壁の向こうに空洞がある事に気が付いたようです。叩いた時の音で何かを判定するという方法は、原始的に見られがちですけれど、確実なチェック方法です。


「ドラン様、どうなさいます?」

「決まっているだろう?」

「ははは、では離れていてください。この程度の扉なんぞ我が拳の前には…」


 ごがあぁん!


「ぐがああっ……」


 くっくっく。こぉの、脳筋ヤローめが。

 扉を殴った腕を抱え込んでいますねぇ。

 とぉっても、痛いでしょう? 骨折とか大丈夫?

 外側は岩石ですが、鋼鉄で補強したモノコック構造にしましたからね。簡単に壊れる筈がないわよ。

 ざ・ま・あ・み・ろ。


「なぎ、なぎ、おかしくなっちゃっタ? 怖いヨ……」

「どうしたの? 何か怖い事でもあったの?」

「……なぎ、なぎ? ご病気治っタ?」


 おっと、心の声が口に出てしまいましたか。

 だからと言って、アーロイスを怯えさせるのはダメダメですね。

 健全なダンジョンコアあってこその、ダンジョンマスターなのですから。


「…うふふっ、大丈夫ですよ、私の可愛いアーロイス」

「うひいぃィ……」


 あの隠し扉は、一定の手順を踏めば人の力で動かせるようにしてあります。


 いざという時に動かなかったら、何の意味もありませんからね。

モダテの里で、ナギが無双をしていたころ、ナギのダンジョンでもイベントがありました。

アーロイス君も満足してくれたようです(笑)

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