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天鏡海を渡るには

 結局のところ、エキゾチック・スカウターを使う事に。

 レオノールとアーロイスがリモート操縦すればいいのです。

 無人輸送機として使うのなら、観測機器やコクピットは全部降ろしてしまえばいいことですし。


「ユニット化しておいた強みでしょう?」

「元々の設計も汎用機でしたからね」


 話がまとまったら、あとは土鍋の中での打ち合わせです。

 ヘルマさんや。どことなくノリノリですねぇ。

 そんなに嬉しいですか?


「私もお出かけしたいんだけど。ナギばっかりお出かけなんて、ずるくない?」

「神気の垂れ流しで災害が起きたらどうするんですか!」


 だから、次元断層に拠点を作ったんでしょうが。

 さっきまで拝殿の中の時間も止めていたでしょう?

 神気が漏れなければ問題ない? まあ、それは間違いありませんけれど……

 万が一という事もあり得ますよ。


「そのあたりは、おねーさんに任せなさい」

「神様としての行動は、私には止められませんからねぇ」


 なんだかんだ言ってもヘルマは神様ですからね。

 それも上級神の行動をどうにか出来るのは創造神様の御言葉か、自らの良心くらいのものでしょう。

 あとは感情に訴えるか、理詰めで説得するしかありません。


「エキゾチック・スカウターは急ぎで製造するとして……」


 それでも右から左という訳にはいかないと思います。

 基本的にはジュラルミンで作り出せばいいのですけれど、機体に組み込むエンジンがないのですよ。あの機体は水中でも活動できるジェット機なのですから。

 だから普通の飛行機に比べて、部品点数も多いのです。


「それは大丈夫でしょ。データーはあなたの名前で送り込んであるから」

「えぇえええ?」


 いつの間にそんな事をしていたんですか。

 レオノールは何も言っていませんでしたよ?


「あの子なりに楽しんでいたのではなくて?」


 普通に考えるなら水空両用機というのは、水上機か飛行艇ですからね。

 エキゾチック・スカウターはジェット戦闘機として、ふつうにドッグファイトも出来ます。でも、この機体には水中でも、高い機動性を発揮出来る、いわば水中戦闘機とでも言える能力があるのです。


 レオノールに、そんな万能機の設計データーを渡したら、きっと舞い上がるでしょうね。航宙艦母艦の艦載機は、大気圏に飛び込むことが出来れば高性能とされる宇宙戦闘機なのですから。

 アジサイ号の時もそうでしたからねぇ……


「ただの兵器オタク化と思っていたのですけれど」

「航宙艦母艦って、45世紀あたりまでは人類最強の機動要塞なのよ。レオノールはそれに搭載された人工知性体なの。忘れてたでしょ?」


 兵器としての本能が、そうさせている… ってワケですか。


「ちらっとだけ、未来を教えてあげる」

「ふぇ?」

「コストの関係で、最後まで量産され続けたのはマンエイ級なの。エスポーサ級ではないわよ。それでも2ケタ止まり」


 運用コストとか、費用対効果の問題ですか。

 たしかに戦争と言うのは、採算度外視で無茶なことをしても許される事がありますからね。でも、星間紛争程度の小競り合いを解決するのに、戦略級の機動要塞は必要ありませんから。


「平和な時代に、太陽を粉砕できるような戦力は必要ないもの」

「それで、行方不明… という扱いに?」


 老兵は死なず、ただ消え去るのみ…… ですか。


「まあ、いいじゃない。今回は本人もそれなりに楽しんでいるようだから」


 そうですね。

 今回の地面効果翼機だって、知的好奇心をくすぐるネタになるでしょう。

 ひょっとすると、専用の機体を新たに設計しているかも。

 そのくらいの事は…… してるな、きっと。


「とにかく、あなたはイズワカに戻らなくちゃ」


 そうでした。

 イズワカの土地神様に会いに行かなければならないのです。

 メンバーは水神様が決めてくれるでしょうけれど… たぶん眷属の皆さんという事になるかも。


 でも、眷属の皆さんは、寒さ対策どうするんですかね。

 下手をすると、天鏡海(あまかがみのうみ)が凍っているかもしれませんよ。


 いちおう、防寒服の支度でもしておきましょうかね。

爬虫人類の皆さんは、変温動物の名残りがあっても不思議はないと思うのです。

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