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隠しきれなかったモノ

 俺は長老衆とナギの試合の見届け人を引き受けた。

 モダテの里の武士団長の俺を前にして、卑怯な振る舞いは決して許さん。

 たとえそれが長老衆のジジイ共であったとしても、だ。

 そう意気込んで臨んだ試合だったんだが。


「ソルナック… 家老のお前まで試合見物かよ」

「ま、結果は見えていますけどね」


 ふふんと笑うと、いつの間にか持ってきたポップコーンの袋を押し付けた。


「カロリーナ姫のお気に入りの味付けですよ」

「ふん、そうかい」


 たしかに旨いな、コレ。


「10人の長老が相手ですか。……どう見ます?」

「たった10人じゃねぇか」


 ヤスト会戦の生き残りってだけの事だよ。火力重視の独立部隊だったらしいな。


 それよりも、あいつ… ナギと言ったか。やつが身にまとった魔力だ。

 量といい質といい、色までもが「あれ」に似ているんだよ。

 試合が始まった時は偶然かと思ってたんだがよ。


 フードを深くかぶり、ボロボロのポンチョ姿だが、あの動きは……


「なあ、イザック」

「団長も『そう』思いますか?」

「間違うはずがねえ」


 あの体捌きを忘れる事なんか、ぜってぇ無理だよ。

 俺達が全滅覚悟で対峙していた魔物が、まともに相手をしてもらえなかった。

 その姿は、まるで舞っているように美しい動きだった。


 強いて言うならば、あれは闘舞(とうぶ)だ。

 剣を使う我々が、神前で剣舞(けんぶ)を奉納するように、奴は闘いを舞っていやがった。


「あんな事が出来る奴なんか、他にいる筈もねぇだろうよ」

「だとすれば、ちょっとした驚きですね」


 あの時のアレの正体が、あんな華奢な女の子だったとはな。

 とはいえ、ジャアックのジジイ、ついにキれたか?

 残りの手勢をすべて試合場に入れちまったじゃねぇかよ。


「ソルナック、あれは反則です! やめさせないと……」

「まあ、無理でしょうね。ジジイ達には好きにさせとけばいい」

「多勢に無勢では…… まるで弱い者いじめじゃないの」


 里長とご家老(ソルナック)が揉めているのか。

 なにぃ、試合を止めさせろぉ? 無茶な事を言うんじゃねぇよ。

 そんな事をすればジジイどもの陰湿な嫌がらせが待ってるだけだろ。

 それにな…… ソルナックの奴、はなで笑い飛ばしやがった。


「弱い者いじめ? ははっ、それだけは、ありませんね」


 とりあえず割って入るとするか。

 お互いに子供の頃からの付き合いだ。突っ込みどころは心得ている。


「どういう事です? たしかに初戦での魔法は見事でしたが…」

「さっきの試合では使いませんでしたね」

「……あれだけの大魔法です。きっと魔力が尽きたのに違いありません!」


 たしかに威力があったな。魔力量の多いエルフ族でも連射は無理だろう。

 あんなデタラメな威力の魔法は、そうそう撃てるもんじゃない。

 エルフ族のジョーシキって奴ならば。


「……だ、そうですが。どうしますか、ザーラック」

「ソルナック。おめー、知ってて聞いてるだろ?」

「もちろんです。あなたは止めないし、家老としての判断も試合続行ですね」


 ひょっとして、見物人の中に色々と『混ぜて』いないか?

 ヤツの事だから何か仕込みがあると思うんだが。


「まさかおめぇ…… ?」

「いやですね、私がそんな非道をするとでも?」

「……証拠がなければオッケー、ってわけでもねぇだろうよ」


 おっと、試合が動いたか… って?


「ああっ…… ナギぃ!」


 ジジイども、ナギに向けてファイヤーボールの集中攻撃かよ。

 あれをまともに喰らったら、骨も残らねぇな。


 あれが普通の相手だったら、な。

さすがはザーラック様。

伊達に武士団長はしていませんね。

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