さらに狼藉を働く者
三者三様の秘密というモノがあったようで。
荒療治が過ぎたようですが、無事に打ち解ける事が出来ました。
こればかりは、私も賭けでしたけどね。
ユーディが貴腐神だという事は、カロリーナから馬車の中で聞いていました。
初対面で、あれだけ欲望をさらけ出されたのですから、軽い仕返しくらいは許される範囲だと思うのです。
それにしても最初にお会いした時から全力運転でしたね。
いつもより多めに酷使されていたようです。……あの大きな猫は。
問題はカロリーナですね。水神様の祠で見た時から違和感はあったのですよ。
だって、足跡がね、くっきりと深く残っていたんですよ。
山の中とはいえ、祠のあたりの土は柔らかいのです。
水神様が頑張って土質改良をした成果ですね。
あの時は、水神様もあさっての方向を向きながら言ってましたからね。
――そういう事も、ある。
そういう訳で、なんだかんだ有りましたが、夕食をいただいて。
やはり、季節の旬の生鮮食品を使ったお料理は、美味しいものです。
亜空間要塞の自動調理装置が駄目だという訳ではありません。
あれはあれで美味しいのです。
そして、夜になって。
今はベッドの中にいるわけですが……
事情があって、亜空間要塞には行けません。
何があっても「ここ」に居なければならない理由があるのです。
転移… このあたりの人の言う『界渡り』ですか。
空間を出入りする時に生まれる時空震ですが、たとえ振動吸収ダンパーの出力を全開にしても、里長には空間転移を探知されるかも知れません。
彼女は想像以上にハイスペックな人物です。
他にもどんな隠し玉を持っている事やら。
「マスター、来ましたヨ」
「やっぱり?」
アーロイスからの念話が来た。
やはり、あの時のエルフが洞窟に侵入したのです。
帰ってくれるかも知れないと、ほのかに思ってもいたのです。
「映像と音声を送ってくれる?」
「……繋がりましたカ?」
「オッケーよ」
おお、臨場感が半端ないですね。
松明も付けないでよくもまあ……
夜目が効くとは聞いていましたが、洞窟の中に光源は無いはずです。
「ヒカリゴケが自生してますヨ」
それでもです。
そんな微弱な光じゃ、暗視スコープだって作動するか怪しいものです。
少なくとも光学ベースの機材は無理ですね。
空間走査が出来るマルチセンサーでも使わないと……
「カムフラージュの家具が壊されましタ」
ああ、適当に作った「あれ」ですか。
ろくに調べもせずに、ファイヤーボールの集中攻撃とは。
あれで奇襲のつもりでしょうかね。私じゃなくても気が付きますよ。
まるでお遊び気分です。
「あれは特殊部隊だと思っていましたガ?」
「戦争ごっこがしたいだけの『大きな子供』だったようね」
「人員不足でしょうカ? 学徒動員ですカ?」
「違うと思うわ。クーデターを起こす勇気もない、ただの不満分子に過ぎないわ」
いわゆる思想犯というやつ。
自分に都合の良い事だけを聞いて、お花畑な夢を見たがるタイプね。
そういう人物は得てして嘘で自分を塗り固めるもの。
都合が悪くなると、そんなことを言ったおぼえがない! ってね。
「つまり、毒にも薬にもならなイ?」
「それは違うわ。毒にはなるが、薬にはならない存在よ」
ああそうだ、そんな彼らにも存在価値はあるわよ。
ダンジョンに放り込めば、アーロイスの『お食事』にはなりそう。
そうしてしまいましょうか。
エルフ族が好戦的じゃないなんて……
私は、個人的には武闘派半分じゃないかと思いますよ?




