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乙女は華奢な…

 部屋の隅に向かって三角座りをしている姉を無視して、カロリーナが話しかけてきました。


「祠でお会いした時から思っていたのですが…… 貴女は不思議な方ですね」

「そういう貴方も、ね?」


 やはりおかしい。とんでもない違和感があるのです。

 私は改めてカロリーナに向き直った。


「ちょっと失礼を致しますね」


 そう言うと、私は懐からレンズの部分に青いダイヤモンドがあしらわれている眼鏡を取り出した。

 寝室の枕元に、無造作に置かれていたアタッシェケースに入っていたアイテムのひとつである。

 ヘルマが置いてくれたのでしょう。装着してあたりを見回してみると……

 ほほぅ、ユーディったら立ち直りが早いわね。


「……どうしたのですか?」

「ユーディ。私たちは、色々な事を見た目だけで判断してしまうものですね」

「おっしゃる意味がよく分かりませんけど?」


 身近にいるはずの家族でさえ、正体を見極められないなら、それだけ魔法の使い方が上手だという事ですね。魔法を使う事に長けたエルフを騙すのですから、相当の使い手です。


 なんとなく、別の解釈が出来ないわけではありませんが、まさか、ね。

 エルフ族があんな体型になるというのは、にわかには信じがたいものです。

 だから、こう聞いてみた。


「何者かが、カロリーナの姿を真似ているとしても?」

「……どういう事です?」


 こいつの周辺だけ空間が歪んでいるのよ。

 たぶんシェイプチェンジの魔法で強引に体型を変えているか、光学的に何かの像をまとっているのでしょう……


「汝の正体見たり! …正体を現わせ!」


 眼鏡に魔力を集中すると、両目のダイヤモンドから青い光がほとばしった。

 その青い光はカロリーナの身体を包み込むと、彼女は悲鳴を上げるた。


「きゃぁああ!?」


 青い光によって魔法を無効化された「それ」は、どすっ、と尻もちをつくと…

 ねっとりと、私を睨みつけた。


「ぶあぁ~れ~た~かあぁっ!?」

「カロリーナ? あなた、また……」


 次の瞬間には、その姿がかき消すように消えると、私の正面に出現して。


 べちゃ!


 私がとっさに展開した、防御結界に張り付いたまま動かなくなりました。

 一瞬過ぎて、何が何だか分からなかったけど、とりあえずは凌いだようね。


「……これは一体何もn」 びしっ…… 「おぉおおお?」

 防御結界に亀裂が? アケパロイの突進にも耐えたのに?


「おやめなさい、カロリーナ!」

「……だって姉様……」

「そこに正座!」


 ユーディには、こやつの正体が分かっているようです。って… カロリーナ?

 マジで? 何かの成りすましじゃなく、ご本人? えええええ?


「毎日のように書庫に籠って、本を読みながら食っちゃ寝してれば、そうなる事くらいは分かっていた筈ですよねぇ?

 それに、あなた。また太りましたね?」


 にこやかに説教をしていたユーディは、振り向きながら私に話しかけた。


「こんな米俵ですが、私の妹です。よしなにお願いしますわ」

「米俵って……」

「その通りでしょ? 不満があるなら鏡を見なさい」

「ひどい?」

「そう思うのなら……」


 びしぃ! と指さして宣告した。


「絶食でも何でもして、痩せなさい!」


 たしかにね。早くダイエットを始めないと心臓に負担がかかりすぎますよ。

 体重を支えきれなくなって足首を骨折しても知りませんからね。


 他人事ながら、彼女の行く末が心配になってきました。


そして、2の姫・カロリーナ様の登場です。

姉に比べれば、充分にマトモだと思いますよ、はい。

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