ダンジョン&マスター
時計を見ると… まだ大丈夫そうですね。
ひさびさに食べるエナジースティックは美味しいですね。
司令室に入ると、ダンジョンの確認しておきます。
果たして洞窟の奥にある隠し扉を見つける事が出来るでしょうか。
ある程度の痕跡… 焚き火の跡や、ちょっとした家具を用意しました。
この程度で騙されるとは思いませんけれど、ね。
隠し扉から先が本番です。
地下要塞改めダンジョンですが。
第1層はせいぜい50メートル四方で、広い部屋もありません。
簡単に踏破されてしまうでしょう。
第2層以降もそうですが、ちょっと広くなっただけで、中の風景は全く同じ。
魔法封じと、厚さ1メートルの岩石ブロックで出来た壁。
ブロックの表面は、特につるつるに仕上げてあります。
ものつくりの世界で言う、鏡面仕上げというやつです。
ふふふ、足を滑らせて転んでしまえ。
「でも、トラップがありませン。モンスターも配置されていませン」
「そんな面倒な事をしなくても対処できるものなのよ」
そうなのです。
現在のところ第6層まで建設中のダンジョンには、トラップのたぐいは、一切設置していません。
その必要があるとも思えませんから。
もしも私の考えが当たっていれば、こういうものは通路だけで十分に対処できるのです。
「そんなのダンジョンじゃない! トラップとモンスタールームが欲しいでス」
「いいじゃない、命を失った者を魂ごと吸収出来れば良いのでしょう?」
「でも、面白くないでス!」
「贅沢いわない!」
わがまですね、アーロイスは。まあ、仕方がありませんか。
ダンジョンコアが生きていくために、獲物を捕獲するためのモノです。クモの巣みたいなものですかね。クモは巣にかかった獲物を自分で捕りに行きますが、ダンジョンの場合は獲物を跡形もなく吸収するところが、違いと言えば違いですね。
誰に似たのでしょうか、結構ものぐささんなのですね。
「……どうやら洞窟を見つけたようね」
洞窟の入り口から100メートルくらいの所に、ちょっと開けた場所があるのですが、エルフ達はそこにベースキャンプを作ったようです。人数の割には物資が少ないですね。
私の存在がエルフの里に知らされてから、数日しか経っていませんけれど……
2の姫を護衛していたのとは別の部隊がいたのでしょか。
「……アーロイス?」
「何でしょウ」
「あの人たちは、近くにあるエルフの里から来たかも知れないわよ」
そう言えば、水神様が言っていましたね。あのあたりはモダテと言う土地です。
今後の事もありますから、あそこはモダテの里と呼びましょうかね。
……それよりも、何のためにここまで来たのかしらねぇ。
「偵察ロボを、周辺に配置しましタ。音声も拾えまス」
「ちょっと聞いていましょうか」
「そうですネ」
アーロイスとふたりで、じっくり観察することにしましょう。
しばらくしたら、私は祠に戻らなければなりませんけれど。
まさか祠で何かを仕掛けるとも思いませんけれど、念のためにスキンスーツを着ておいた方が良さそうです。
「なぎ、聞こえますカ?」
アーロイスからの念話です。
ダンジョンマスターとダンジョンコアの間には、ある種の繋がりが出来ました。
亜空間要塞という不自然な環境で成立させた繋がりなので、魂を縛られるとかダンジョンコアを破壊されれば私も命を失うなどという事はありません。
今のところ、映像音声込みの念話が出来る程度ですね。
「なぎ、なぎ、どこなノ?」
「私はここよ、まだ指令室にいるわ」
「楽しい事が起きそうだヨ」
「どうしたの?」
何か面白い事でもあったのでしょうか。
変に浮かれていますね。
こんな事は地下要塞を作り始めた時以来です。
「あの人たちガ、洞窟の入り口を見つけたノ。入ってくるかモ」
「なぁるほど」
ようやく探し当てましたか。
ダンジョンの攻略隊が出現しました。
んふふふふふ。




