お出かけしましょう
それにしても、話が大きくなったもんだ。
地球で暮らすための知識と隣接空間か。
隣接空間は、空間自体がエネルギーで満たされているような、ただしその全てが反物質で出来ている世界だ。数学的には存在すると予言されていた次元空間だな。
って…… とんでもない知識量を詰め込んだもんだなぁ。
よく身体が無事だったもんだ。
「そういう意味では、この身体も…… いやまてよ。たしか遺伝情報はヘルマのものだと言っていたな。ちょっとシミュレートしてみるか……」
『細かい事は後からにしなさいっ!!』
うぇ…… すんげー気迫! つか、妙に感情が入ってたんですけど。
何かコンプレックスでもあるのかな?
まあいい、後でわかる事だし。
『とにかく『むこう』で使う身体を創る準備が先ですからね!』
りっ、了解です。
地球で活動しようとしたら、精神体では駄目だ。肉体を作る必要がある。
現地の人口構成比から考えれば、ヒト族が無難だろうな。
何かあった時に目立ちすぎるのも問題だ。
『だいたいイメージ出来たようですね。身体の完成までだいたい1か月程度は必要になるでしょう。その間は無防備ですから安全な場所を選んでくださいね』
了解です。
つか、なんかなぁ、ううん……
『それから、普段から服を着る習慣を身に付けてくださいね。裸族は絶対にだめですからね。ぜーったい、ですよ?』
「むうぅぅぅ。面倒だなぁ」
服か…… 性別的にはどちらでもアリだから、選択肢は多いな。
……なんか面倒くさい。えっ、これもシミュレーターがある?
『私と同じ姿をした人物が、すっぽんぽんで歩き回るなんて、駄目ですからね!
おねーさん許しませんからねっ! やったら神罰下しますよっ!』
ふむふむ。身体が出来たらこんな感じの姿になるのか。
じゃあ、これなんかどうかな。スモックという奴らしいが。
ゲージツ家っぽくて良くないか?
『したっ! 下が見えてる! …あんたさあ、最初に下着くらい履かせなさいよ』
「両性用の下着のデータなんか持ってない」
『……わかったわよぅ』
ぴががが……
ぐおお! またか。一瞬で済んだけど、予告くらいしてくれよ……
まあ、気を取り直して…… どやぁ!
『……だぁかぁらあ! なんでフード付きのポンチョなんですか』
頭からすぽんと被るだけだから、とっても簡単なんだ。腕を出すためのスリットも作ったんだし、フリフリも付けたんだぞ。こいつは自信作なんだが。
『…っ、このフリルはとってもかわいく出来てるけど…… ポンチョは基本的に外で着るものですから、部屋着には向きませんよ。やり直しです!』
これで何回目のNGだよ…… いい加減に疲れてきた。疲労困憊。
……動きやすさ重視で、デニムのジャケットとサロペットでは?
『それなら、まあ… いいでしょう』
やっと合格点をもらったぞ。ここまでなんだかんだで、数日はかかったような気がする。部屋の隅で丸くなって居眠りしていた猫神もどこかに行ったみたいだ。
『最低限の準備は出来たようですね。最終チェックが終わったら、「むこう」に送りますよ。データは身体が完成するまでに目を通しておいてね』
ざっくり身体的なスペックを確認しておこう。現地人のものと比べると……
お、おぉおおおおお?
焦点温度35万度とかマッハ3とか、わけがわからん。
「ある意味無敵?」
『気を緩め過ぎると、思わぬ失敗を招きますよ?』
「肝に銘じます」
『それでいいわ』
ヘルマはにっこりと笑った。
『これで準備は終わり。さあ、行ってらっしゃい』
「はい、行ってきます」
その言葉を残して、俺の身体は光の粒子となって消え去った。
ここまで主人公の名前が出てきていませんんん(笑)
蘇生したばかりで人格とかが不安定だから、仕方が無いんですけど……




