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000_ゴブリンの森へ行くのです

 はいどうも、クソ転生者です。

 チートも持たず、前世の記憶も役に立たない世界に生まれ落ち、早くも十三年が経過しました。

 今は騎士団に少年兵として動員され、一応の衣食住が保証されています。ですが若い身空で銃を持ち、軍隊式の情け容赦無い訓練を毎日毎日架せられる。

 戦時中、それも戦局が泥沼な時の軍隊なんて、そんじょそこらのブラック企業が裸足で逃げ出します。せめてシャワーぐらい浴びさせて! 美少女として体が臭うってのは沽券に関わります!!


 まあ、だからって前世で務めていた会社に戻りたいかって聞かれたらNOですね。

 前の人生の終局っていえば、上司とも同僚ともトラブルばっかの職場を退職し、ただのヒモでしかない彼氏を家から叩き出し、今日から新しい人生だ! ってパーッと一人飲み歩いていたらうっかり車道に転がり落ちて……って具合でした。

 なのでまあ、文字通りに新しい人生が始まり、充実しすぎて死物狂いな毎日も不思議と楽しく感じています。前の人生じゃ()()()()()()なんて経験、一生しなかったでしょうし。


 現在、私が所属する小隊はゴブリン討伐の為、奴らが潜む森を進軍しています。初の実戦にして初の遠征。訓練を受けているとはいえ、凄まじくハードであります。

 気が重い、なんてレベルではありません。気分は十三階段を前にした冤罪で捕まった無辜の民、といった感じです。


 ……みなさん、ゴブリンって聞いたらきっと、ファンタジーRPGでお馴染みなヤラれキャラ、時代劇での切られ役を想像するかもしれません。ですが私が生きるエクスペリス大陸においては、その常識は通用しません。

 まず全長約10メートル。この時点で並みの歩兵など役立たずです。

 人間と同じ五指のある()()()()()()()()で火器を携帯し、90ミリ機関銃とフレイムエンチャントされたマチェットを標準装備。マジックマテリアルアーマーという、ダンボールに強化魔法を掛けた装甲は大砲の直撃にだって余裕で耐えます。

 二足歩行とローラーダッシュを併用して、今回のような森林地帯、岩の多い山地でさえ踏破可能。オプションを付ければアメンボのように水上歩行すらやってのけます。


 ……もうお分かりですね。

 この世界のゴブリンは人間が乗り込んで操縦する人型機動兵器なのです。端的に表せば、ザ○とかス○ープ・ド○グみたいもの。


 それに対抗する私達の武器は、一番強力なので一発限りの光子バズーカ。直撃すればゴブリンでもイチコロではありますが、もちろんペーペーの私が持てる訳がありません。

 私の武器は体格的に扱いにくいアサルトライフルとマジックナイフ、後はワイヤートラップとか地雷とか。早い話が対人装備のみ。

 どうやら上層部は私に「死ね」と命令を下した模様。生まれ変わっても短い人生だった……。


 進軍する間中、私をこんな世界へ私を放り込んだ、あの忌々しい邪神(ヒキニート)への恨み言を百万回ほど心中で呟いているのでした。

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