菊の華道
掲載日:2020/05/12
「城」
疲れないのだろうか?彼ら
毎日のように同じ言葉を繰り返し
誰もが見てみぬふり
疲れないのだろうか?僕ら
夕闇に融ける涙 母の隈の痕
誰もが見てみぬふり
古城をつくり 毎日つくり
単簡に砲撃を開始する彼ら、女の汗を舐めたい
いい匂いしそうだ 欲情に
身を任せたことはない彼らと僕ら 女の愛を求める
冷えた侮蔑の目に 誰もが見てみぬふり
「菊の華道」
祖母の民家には 畠田には折れ曲がった菊波がある
一歩進み更に足をつけながら
一本だけ残っていた
夕陽を浴び
その菊の花は堂々と
最後に残った菊の花
蹴って折った
「秘境駅の」
ここは秘境駅 もう誰も使っていない
何の意味のない 襤褸になった駅
もう誰もいない ずっと昔の約束の場所
彼女が使っていた ハンケチがある
夏の熱気は相も変わらず ハンケチの匂いを嗅ぐと
自分のにおいがした




