目が覚めても異界だった件
「お主…おい、大丈夫か?起きぬな、どうしたものか…」
頭上から声が聞こえたような気がした。女の子の声だろうか…?
それとも幻聴なのだろうか?俺は死んで女神にでも神託を授かっているのだろうか?できればそちらの方が楽な気もするが…
森の開けたところで横たわっていた誠はそんなことを考えていた。
昨日ゴブリンの目をくらますために、森に飛び込んで走り出したはいいものの、森の中で体力が尽き、足がもつれて倒れてしまったのだ。
誠自身死を覚悟して意識を手放したのだが。
目を開けると森だった。森だった件。皮肉にも神は私を生かしてくれたようだ。べ、別に死にたいとか思ってないんだからねっ!
体を起こそうとした瞬間に左目が何かを捉えた。
なんだろうか?手?そういや女の子の声がしてたし、人でもいるのだろうか…?俺を助けてくれたのならお礼を言っとかなきゃな。
と、思い左を向いた瞬間、顔面に平手が飛んできた。
ふぁ!?ぶふぉ!?
俺は平手の不意打ちに意識を失った。
「あっ…やってしもたの…お〜い大…夫……か………」
女の子の声をチラッと聞いて。
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「ハッ!生きてるか俺!?」
人生初気絶から回復して数秒しないうちに2度目って…俺って天災?
それよりここはどこだ?森じゃなさそう…ていうかなんで俺ベットっぽいのに横たわってるの?ここは家?ログハウスかな?
そんなことをボケ〜っと考えていたら部屋の外から声が聞こえてきた。
「お〜い?お主生きとるか〜?」
紺色の髪色をしたショートボブの女の子が中に入ってきた。
わーかわいい…え?誰?
「あ、あぁ、すまぬな、なぜ自分がここにおるか困惑しとるじゃろ?」
「えっと…?貴方が私を助けてくれたんでしょうか?」
「そうじゃな。まぁお主が森で運ばれておったときはぎょっとしたわ。何しろボロボロの身なりでゴブリンに攫われそうになっておったからの。とりあえず助けたまで。当然のことじゃ。」
えぇ…めっちゃいい人やん。いい人…いい子?
「まぁしかし…目を覚まさせようとして平手打ちをしようとしたら目が覚めるんじゃからな…勢いに任せてやってしもうたわ。すまぬな。」
あぁ〜だから起きぬけに1発もらったわけか。
あっ!そうだ、とりあえず名前を聞いておこう。先の男たちの名前を聞き忘れて騙されかけた…いや、騙されたからな。
「えっと…俺は雨宮誠って言います!助けてくれてありがとうございます!」
「ふむ、お礼を忘れぬとはどうやらマトモな人らしいの?わらわは【カムイ】じゃ。その名で呼んでくれ。」
カムイ?なんかすげぇカッコいいなおい。
「わかりましたカムイ…さん?えっと…俺はいつまでここにいていいんでしょうか?出ていったほうが?」
するとカムイがクフフと笑った。
「わらわのことはカムイで構わんよ。別に身寄りのないお主を何も持たせずとっとと追い出すなどと鬼畜な事はせぬわ。どうやらお主、異界人らしいしの?」
えっ!?バレるの早くね…?
カムイさんは誠が直感でかわいいと思うくらいなのでかわいいはず!
ヒロインは多分カムイさんですよ!
因みにカムイさんは14歳、誠は15歳です。
不純ではないはず…?