なんてこった
…どれくらい経っただろうか…?
昨日の夜くらいにあの男たちから逃げ出してから夜が明けるまでずっと走り続けていたと思う…。
もう体力なんてほとんど残っていなかった。
こういうのを火事場の馬鹿力というのだろうか…?
既に森沿いの道を4時間くらい走っていたために誠の足取りはおぼつかなくなっていた。
昨日の夜から飲まず食わずだったからなぁ…。この鬼畜な状況下の中まだ考える力があるのは異界だからなんだろうか?
…ん?何かが道の先にいる…?
…なんだろう…あの人型の集団…緑色…の…
あぁ…考えたくもない…まさか…
「「グギャァァァ!グギィ!ガガガッ!」」
その人型たちもこちらに気付いたらしく猛スピードでこちらに槍やら剣やらを向けて突撃してきた。殺気ムンムンである。
「あぁ…クッソ、ここで死んでたまるかよっ!中学じゃ陸上部だったんだ!舐めんなよっ!」
俺はその緑色の人型…ゴブリンに背を向けてもと来た道を走り出した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はぁっ…はぁっ…ちきしょうっ…いつまで…追っかけてくんだよ…!」
既にゴブリンたちから逃げ出して数時間は経った。
誠の異界クオリティの無尽蔵な体力も既に限界に達していた。
ゴブリンたちに徐々に距離を詰められつつある。
どうする…?このまま村まで逃げるか?
いや、無理だ。あの男たちがいるだろうし、村につくまでにゴブリンに捕まるだろう。
ならゴブリンと戦うか?無理だ。そもそも武器が無い。
アニメみたいに向き直ってダメ元で「ファイアー!」と唱えれば撃てちゃったとか…やめておこう。そもそも期待などしていない。正直無謀すぎる。
身を隠そうにも障害物が無さ過ぎる…ん?待て…?
「森沿いの道」を走ってるんだ。障害物なんていくらでもある。
なら?飛び込むしかないでしょ!
俺は森に飛び込んで残り少ない体力を使って全力で走った。
〜ゴブリン〜
緑色の肌に小さな体をもった知能の低い魔物。
基本的には賊や狩りをして生活している。
知能の高いゴブリンはその小さな体と器用な手を活かして都市や村で働いている。